1級建築士 松井秀夫の
ブログで言うDay!
「洛中洛外図」の「うだつ」を1級建築士の立場で見る前篇
つづきです、前回をご覧で無い方はここをクリック↓
http://ameblo.jp/matsui0816/entry-10753584778.html
「うだつがあがらない」という言葉で「うだつ」と言う事を
耳にされる方が多いのではないでしょうか
しかし、「うだつ(卯立・卯建・梲)」そのモノに関しては
色々と調べましても、防火壁と言う役割りとか、富裕な
家にしか出来ないので、お金持ちを現している、等の
事ばかり書かれていまして、建築学的に検証された
モノに見当たりません、そこで「うだつ」をもっと歴史的
或いは1級建築士1級瓦葺き技能士の専門家の立場
から検証してみる事に致しました
近江八幡市内を歩いて見ましても、残り少なくなって
はいますが、うだつはまだ存在しています。
家と家とのつづきにある「うだつ」
町並みの景観に埋もれてしまって「うだつ」の存在も
気付かないまま通り過ぎてしまうのではないでしょうか
そこで私はまず、
この「うだつ」のルーツとは何なのだろうか、
どうして必要とされたのだろうか
また、その効用は如何なるものなのだろうか?
と言う件を調べてみました。
すると以外なところに、そのルーツは発見されました
これは、室町時代末期からの江戸時代にかけての
京都の都が描かれてます「洛中洛外図」なのですが、
そこの町家の方に目をやりますと、
もう「うだつ」「うだつ」「うだつ」・・・・・・・
うだつのオンパレードです。
今までは見ていても気が付きませんでした。
昔の絵師の写実性は大したもんだと思いますね
キチンと町の姿を書いておられるわけです。
「洛中洛外図」
京都市中とその郊外の名所や風俗を俯瞰(ふかん)するように描いた絵画。室町末期から江戸時代にかけて盛行し、六曲一双の屏風(びょうぶ)絵を主として画巻・画帖(がじょう)などもある。「デジタル大辞泉」より
いるのは、町家であって、大名の屋敷には無い事が
わかります。
ですから、回りが高塀で囲われている様な区分がされて
いて、家と家の間隔が開いている様な大名など
の屋敷には「うだつは」見られず、
棟続きの家が密集する町並み
にたくさん見られる事から、京の都にある建築物の
火災対策として「うだつ」は必要な工作物だった
という事が考えられるわけです。
また、この写真の様な高塀と「うだつ」を見ますと
「うだつ」は高塀を屋根の上に置いた様な存在とも
言えるわけです。
ですから、防火壁は「うだつ」のみならず「高塀」も
その任を担っていたという事が言えるわけです。
また、洛中洛外図が応仁の乱等の後に書かれた
ようですので10年以上もつづいた都での戦火で
都にすむ人達は防火についても色々と学ばれた
のではないかと思われます。
では、実際問題として「うだつ」は延焼を防ぐ効果
は如何なものだったと考えられるでしょうか、
そこで以下の様な絵を用意して見ました
昔の日本の民家の屋根は、そのほとんどが木や藁など
で葺かれていたわけです。また都の町作りは長屋の様
な感じで、棟つづきになっていましたから延焼は必然的
に起こるわけです。
そんな炎が屋根を伝って燃えて来るわけですが、そこに
「うだつ」がありますと、図の様な炎の動きになってきます。
この図を私は書きながら、延焼もさることながら、炎や煙を
垂直に登らせる事から、火災を知らせる「のろし」の様な
効果もあったように思われます、
特に火災が分かりにくい良いお天気の昼間など少しでも
早く火災の発生が分かる事は、火災を最小限にする事に
つながっているわけです、またそれと
共に大変重要な働きがあった事を発見したわけです
このつづきは以下をクリック↓次回に続く
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松井秀夫(1級建築士・1級瓦ぶき技能士他)
滋賀県近江八幡市船木町968番地
TEL0748-34-6238
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