国宝(常楽寺)の修理で当時追加されたものとは? | はちまんMatsuiコラム

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一級建築士・一級瓦葺き技能士・宅建士・歴史研究 松井秀夫

ID:yqy414

国宝(常楽寺)の修理で

当時追加されたものとは?


京都の旅行でお寺を見に行かれる事がありませんか、もしかしますと、この様にな瓦葺きの上に瓦(平瓦)が、乗せられてある屋根がある事に気付かれるかも知れません、実は大事な意味があるんです、気をつけて見学されたら面白いですよ!


近江 マツイホウム 一級建築士日記-三重塔屋根

   現在の三重塔の屋根がこの様に裏の高台から見られます!


修理工事が行われましたのが昭和47~48年ですが、当時の県の文化財の方から、この様にしてほしいという事で、当時の施工資料の中に書かれています。


近江 マツイホウム 一級建築士日記-国宝の工事中

    

 昭和48年当時の現場写真(松井種治郎撮影)


工事のやり方が記されてます書類(仕様書)の中に「雨落ち箇所は捨て葺きをおこなう」とありまして、図面も書かれてます。


ですから、再建当時から、この様に上からの雨落ちや落雪の為の瓦が取り付けられていたのではないのでして、この様になってます現在の姿は、文化的に重要な建物の維持のために追加された、工事箇所という事なんです。


近江 マツイホウム 一級建築士日記-国宝工事中

      昭和48年当時の現場写真(松井種治郎撮影)


皆様も 例えば二階建てを想像して頂いても、大屋根から落ちてくる雨や雪が下の屋根に与える影響は大きいものです。特に三重の塔の様なものは、トイ(樋)がありません、雪は凍って硬い固まりの様になってどさっと、落ちてきますし、雨は高いところから、バチャバチャ・・・!と遠慮なく落ちてきます。


想像するだけでも、下の屋根が受けるダメージは大きいでしょうね。ですから、当時の県の文化財の方々は、直上にある屋根から落ちてくる、雨や雪のダメージを直接受けないようにしておこうと、他の事例も参考にされて、この様な工事の仕様(やり方の内容)を入れられたのでしょうね。


近江八幡市にも、歴史的景観の保存地区がありまして、そこに関係してます住宅の改修工事もさせて頂いてますが、本来は現状復帰、という事で工事前に戻すという事なのですが、前のままでは、維持が難しいと思われるところは、前よりも多く雨が流れる様にするなど、市の文化財担当の方と協議して、進めさせて頂いています。


近江 マツイホウム 一級建築士日記-近江八幡町並み
近江八幡の伝統的建造物保存地区での私どもの施工例(マツイホウム)


いずれにしましても、建物では下がシッカリしてないと上が持たないのですから、下に影響を及ぼすトイ(樋)は必ず必要なのです。


しかし三重塔の様に、歴史的建造物になりますと、下に影響が起こると分かっていてもトイ(樋)を架けられない建物も存在するわけです。


お寺や塔の多い京都に行かれますと、同じように瓦に瓦がのせられている屋根をご覧になる事があると思いますが、この様な理由があるんですね。


私が京都で工事の修業をしておりました時に、大きなお寺にもいくつか工事に行かせてもらいましたが、建物の特性から生まれます雨漏れをはじめとした、屋根の維持管理にはどこも頭を悩ませておられてました。

私の仕事は新築・リフォームで、よく壁や屋根やトイの改修・修理をさせて頂いてますが、これまでの体験から言いますと壁や屋根やトイという外回りの主要なところで、一番気をつけられた方が良いと申し上げられるところは、トイ(樋)と申し上げたいのですが


また機会をおってお話させて頂きたいと思います。


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ほにゃ