派閥解散問題から見えてくる自民党の本質と今後の政局…田村重信氏との対談 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 自民党で次々と派閥解散の動きになっている事態について、これで自民党はどうなるのか政局は?自民党のことはこの人に訊け、ということで政治評論家の田村重信氏との対談を配信しました。

この対談から浮かび上がってきたのは…自民党とはそもそも、各派閥それぞれが政党であり、自民党の上位の存在であり、その連立でできているのが自民党。だから、一党独裁のもとでも、野党に代わる必要はなく、自民党の中で政権交代が起きてきた。

ということは、派閥がなくなるということは、これまでの自民党はなくなるということだと私は理解しました。そもそも、こうした自民党の構造は中選挙区制だからできたもの。小選挙区制になっている現在は、派閥そのものが要らなくなっていると田村氏はおっしゃいます。

しかし、それだと、執行部に権限が集中し、執行部独裁体制のもとで、今でも議員のサラリーマン化が進んでいるのに、それを促進することにならないか?田村氏の答は、自民党は県連とかブロックとか、候補者の公認などでも地方組織が強い、そもそも自民党は分権的な組織だ、と。

でも、それだと、地方の事情でいろんなことが決まってくる「地方政党」なのでは?例えば、国政レベルで有為な人材を政界に登用していくという政党ではないことにならないか?私の疑問は拭えませんし、実際に、「自民党は市議会議員がいちばん強く、次が県会議員で、国会議員がいちばん下」などと言われている通りのことにならないか?

 そうなるとやはり、野党と政権交代する政治にならないとダメだということになると思います。いま、あまりに自民党が強い状況のもとでそれが無理なら、国政が地方の事情に振り回されたり、独裁集権組織の政党が与党であり続けたりする弊害を避けるためには、自民党分裂しかないのではないか?と私は思います。

 つまり、昭和の産物だった自民党政治そのものがもう終わっているということが、今回のパー券問題ではっきり露呈したのではないでしょうか。

 田村氏によると、岸田氏は派閥解散を決めた時点で、もう総理総裁を辞める腹は決めたそうです。ただ、意外と支持率が上がった場合は、今年春頃に衆院解散するのではないかということでした。なぜなら、野党の支持率があまりに低く、自民党の危機といっても、選挙をやれば勝てるから。

時代遅れの自民党支配がだらだらと続くよりも、ここは新しい時代にふさわしい政界再編が必要かもしれません。

 

◆『田村重信氏に訊く!”派閥”とは何か?』ゲスト:政治評論家 田村重信氏

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政局の動きが速い。派閥はそれなりの存在。岸田氏は派閥の長で総理総裁。普通なら総理になったら派閥を離脱するのに、あの人は残っていた。派閥の存在感が岸田には強かったからだ。総裁選で20人集めるのは結構大変。派閥の長ならできるが、そうでないと、高市さんも大変だった。

 

安倍派の不記載問題、二階派の会計責任者も、そして宏池会にも問題があった。そうなると、岸田さんは思い切りがいいところがある。安倍派二階派の解散の前に宏池会解散に打って出て、てんやわんやになった。残っているのは二つの派閥。これからも残る。

 

中選挙区制の時は党よりも派閥の存在のほうが大きかった。敵は党内だった。5人区で5人が自民党候補ということもあった。派閥のほうが自民党より上位に。派閥の連合が自民党。小選挙区になってからは、これが逆転し、派閥が要らなくなった。党の公認になればいいから。だから、無派閥の議員もたくさん出た。今回、意外と簡単に派閥解消にふん切れたのは、現在の選挙制度に起因する。

 

解散しない2つの派閥をみると、麻生さんは高齢、派閥の長でいる限り存在感。茂木氏は次の総裁を狙っており、派閥の長だから20人集められる。次総理では、国民の人気では、石破、小泉で、茂木氏はきわめて低い。なんとしても派閥を維持するのが、彼にとって総裁選の重要な一環。結局、いずれも自分の個人的事情。

 

何かのグループが出来ても、今までの派閥は維持出来ない。派閥とは、トップが総理を目指すために創るもの。所属議員が人事の時に派閥推薦、閣僚は総理がやるが、副大臣政務官クラスはぜんぶ、幹事長室でやる。総理はあまり関係なく、派閥が人事の推薦をする。

 

パーティをやめ、人事の推薦もやめるなら、派閥にいる意味なし。政策も熱心にやっていない。

宏池会は大平さんの頃は、下村治、高橋亀吉なんかを呼んで週一回の勉強会をやっていた。宮澤さんの頃も、宮澤総理が何かやるときには宏池会で検討したものをあげてくれと。その後、そういうものもなくなっていた。

宏池会は大蔵省の牙城、池田、前尾、村山…そういう人たち。それが大蔵官僚でなくなって変わってしまった。官僚出身の大物議員がズラリだった。お公家集団。

 

政権交代は派閥で起こってきた。中選挙区制では派閥の連立政権だった。他の野党を入れなくても政権を維持できた。宏池会党、清和会党…。宏池会は経済界と密接で資金十分、田中派はゼネコン、福田派は傍流だったから、政策研究のためのパーティーをやった。その後、政策をやらなくてもパーティーでおカネを集めるようになった。

 

リクルートのあと、政治改革大綱、党本部のリバティークラブで勉強会を。

それがもとに戻った。政党助成金が導入されても、やはりおカネが必要。活動費がかかりますから。

連座制は、結構、厄介だ。意図的に犯罪者に仕立てることができる。議論がある。

政治活動は自由でなければならないのが、国家権力で監視されるでは…バランスをどうするか。スパイのような秘書が入ってきたら、連座制なら政治家を簡単に葬り去れる。ただ、普通の会社では、秘書に任せていた、ではありえないこと。

 

派閥について考え方、それなりに機能していたという見方が確かにある。人が集まれば派閥ができる。もう一つの見方が、派閥は悪というもの。いまは派閥に依存しない立場の人が、自己アピールのためにこのことを言っている。

 

執行部への権限集中の弊害はそんなにない。選挙区で強ければいいし、全体主義的な政党ではなく、それぞれの県連とか支部の力が強い。比例ブロックが力を持っている。誰が候補になって選ばれるかは、ほとんどそこで決める。自民党の組織はそういうところ。共産党とはそこが違う。執行部が誰かを押し込むというのはそう簡単ではない。各地域に事情があるから。

 

自民党は分権組織です。組織は重層構造になっている。政策も、農林なら農林、国防なら国防の先生の集まりが色々とある。昔は族議員が役人より詳しかった。よく知っていて、力を持っていた。今でも派閥と違うところでそういう政策集団が自民党にはある。そこに自民党の強さ、底力がある。元々政策グループがあるから派閥がなくても全然困らない。

 

解散総選挙は支持率次第だが、いまの低支持率では、岸田氏は総裁選に自分が出るとはそう簡単にならない。岸田さんはもうやめると腹を決めた。だから派閥解散に出た。

 

カネが現にかかる。事務所、スタッフ、クルマ、広い選挙区ほど大変、文書交通通信費だけではとても足りない。やはり自助努力になる。そこで派閥に依存してパー券を売って、ノルマ以上のものは自分に。自分より偉い人に会えるよ、となると、売れる。

それがなくなると、各議員それぞれの知恵と工夫次第となる。自分で勉強会やるとか。

 

自民党は自助努力の党だ。やっぱりおカネはかかる。参政党は党員が党員がすべてボランティアでやるからカネがかからない。党が全部カネを出す。ほかの党にはできない。だから参政党が受けた。

 

政局…宏池会は池田、大平、鈴木善行、宮澤さんと総理を輩出したが、今や在職期間で岸田さんは鈴木を抜いて、池田さんの次になる。バイデンも国賓で呼んでくれる。花道になる。ただ、支持率があがると変わるかもしれない。支持率も下がれば上がる。岸田内閣支持率は23%で12月と変わらない。

 

問題は政党支持率。自民党は24%で、23%の先月とあまり変わらない。これに対し、立民は4%、維新は6%…これでは…。問題は野党。連合が立憲と国民に分かれていること自体ナンセンス。自分が目立つことばかり考えていて、まとまらない。それでは一人区で自民党が勝つ。

 

今回のことで一区切りつけて、派閥もなくし、どうですか、皆さん…支持率が上向いたら、解散総選挙を春にやれるかもしれない。補選と重ねてやる手もある。能登半島も予算がつけば4月ぐらいにめどがつく。ひょっとしたら春に。それも支持率如何。岸田さんのままやる可能性。

 

支持率低迷のままだと顔を変える。総裁選ということに。総裁選のあとの解散ということになる。茂木さん、早めにやれば、党員投票のあるフルスペックの総裁選でなくなるので、自分に可能性がある。だから派閥解散しない。

 

自民党は危機と言っても、新しい改革案を出せば、野党も弱いし。補選の前にもしかすると…。野党がひど過ぎる。野党も総理にふさわしい人の数字が低すぎる。去年の武蔵野市長選は自公が勝った。八王子市長選も自公。一人を選ぶ選挙では自民は強い。強くはないが、野党が弱すぎるし、協力するという姿勢がない。俺が俺が、の世界の人ばかり。自分は一歩引いてというのが野党にない。

テレビ報道では連日、細かい話ばかりで、何が何だかわからないだろう。