歴史的なスケールで大戦後の世界から新しい世界への移行を論じる…西村幸祐氏との新春対談 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 去年は戦後秩序が崩壊した年だった。欧米支配の秩序も崩れ、パラダイム・シフトのガラガラポンの中で色々な問題が次々に噴出している。他方で、米国発の「文化大革命」が…これは日本にも影響するだろう。

やはり、一昨年の安倍氏暗殺で日本が失ったものは大きいようです。BRICs秩序が伸長し、これからはインドの台頭が著しい中で、また、プーチンが欧米を離れて日本と対話を示唆する中で、いずれの国とも日本独自の立場で関係を結んでいたのが安倍氏でした。

政治資金問題の報道でも、安倍氏が派閥会長を引き継いだ時に激怒して裏金をやめさせたのに、「安倍派、安倍派」と報道するのはおかしい。日本が国家観をもって自立しようとするとき、その動きは必ず潰されてきました。

 何もかも失った戦後の日本に現れた「ゴジラ-1.0」に涙する米国人は、自国を失い、戦争のトラウマを抱く自分たちの姿をそこに重ねている。

 しかし、日本には明るい材料もある、それはソフトパワーの台頭だと西村幸祐氏は喝破しています。そのパワーの源泉は、日本の独自性。

 日本の政治も今回の事件で55年体制がいよいよ崩壊し、新しい政治が台頭しなければならないが、だからこそ、西村氏は日本の独自性に軸を定める参政党に、今年の期待を寄せています。この新春対談の内容を、以下、ご紹介します。

 

◆新春特番『西村幸祐さんと語る、2024年、戦後体制は終わり新しい秩序の始まりだ!』ゲスト:批評家 西村幸祐氏

 

 

●世界の潮流の歴史的変化

去年の大きな出来事といえば、キッシンジャーが亡くなったこと。戦後の世界秩序がどのように形成されたか、冷戦体制、冷戦終結でパクスアメリカーナの一極集中、21世紀に入ってからの9・11のあとは非対称戦争が軸になり、世界秩序が揺さぶられてきている。

大戦後の世界秩序の流れが終わりを告げたのが昨年。キッシンジャーの死が象徴。大戦後から積み上げられてきたものがガラガラポンに。この数年の流れがそう。それがハッキリしたのが去年。

そのさきがけがバイデン政権のアフガン撤退での大失態。ロシア・ウクライナ戦争も膠着が続き、従来のような代理戦争というわけにはいかなくなった。

もう一つ、欧米支配の世界秩序にひびが入ってきた。大戦後の秩序が崩れる中で、一昨年に安倍氏が暗殺、その翌年にキッシンジャーが死んだ。大きなものを投げかけている。大きなパラダイム・シフトが起きるとき、その予兆が、マグマが地表に噴き出すように色々なものが出る。ショックを受けないような予行演習のようなものだ。

 

●進行する「文化大革命」の流れ

米国を席巻しているのは大革命。60年代末期が繰り返されている。CRT(Critical Race theory、批判的人種理論)、LGBT、キャンセルカルチャー、米国左派。米国から出てきている。これらは20世紀の半ばに巻かれたタネ、フランクフルト学派が力を持ってきている。

イスラエルを支持する層が60代以上になってしまった。これは世界的潮流。イスラム勢力が西側勢力の中に混入しているから。20~30代はむしろパレスチナを応援、欧米の知識人がうろたえている。ナチズムが忘却。反ユダヤ主義が後ろ指をさされなくなりつつある。

 日本がいつその渦中に入れられるかわからない、米国で反日プロパガンダの本が出る予定。ジャパンホロコースト。それにどうカウンターしていくかが今年の課題になる。

90年代に起きたのは、南京大逆説が世界の定説になったことだった。今度出る本はもう一つ、「シンドラー・イン・南京」。樋口季一郎中将がどれだけユダヤ人を救ったか。それが日本でも認知されるようになった時に。軍服を着た銅像が戦後初めて建てられた時に。

戦後レジームがめくりあがった。そういうことがあると、安倍総理の暗殺とか米国であんな本が。そういうパワーゲームが裏で行われている。

 

●BRICs秩序と日本

新興秩序の台頭では、インドがスゴい。ヒンズー主義のインドのナショナリズム。安倍氏がモディと組むことで、米国はインドを受け入れざるを得なくなった。モスクワのインド人コミュニティでインドの外務大臣が、ロシアと核の協定をやると発表。G20の勝者として来年は臨むと。インドがグローバルサウスのリーダーになったと。積極果敢な外交に向かうとしている。

安倍さんがいてくれれば、そこに日本が登場して、日本とインドが新しい秩序を開いていくことができた。そういう意味でも安倍氏暗殺は大きな事件だった。

 プーチンが日本と話せると言った。あれはすぐに岸田総理が飛んでいかねばならないこと。新しい示唆なのに。日本は制裁を米国に言われるままに進めたために北方領土も日ロ関係も失った。クリミア戦争のとき安倍政権はロシアに制裁していない。そこに日本の道を探る余地を残していた。プーチンはそれを見ていた。

日本にとって危ないのはチャイナ。中国経済は崩壊、何が起きるかわからない、富裕層も国外脱出。日本の自衛隊は治安出動できない。中国人が100万人いる。

 

●政治資金問題と今年の政治

裏金問題では、メディアの報じ方が「安倍派」と言っているが、おかしい。あれは清和研細田派で起きたこと。安倍氏は派閥を引き継いだ時に、激怒してやめろと言った。それでその慣習がいったんなくなった2か月後に暗殺。なのに、安倍派安倍派と言っている。日本が国家観をもって独立しようとすると潰される。田中金脈問題のときも、そのあとに米国から情報でロッキード事件、証拠にすべきでない証拠で有罪に。

今回の背景には財務省。財務省から見ると、積極財政派の人が安倍派に入る。岸田政権は財務省ベッタリ宏池会。バックに米国民主党政権の構図がみえる。

 今年の政治は…日本保守党の百田さんがガン宣告を受けた。日本保守党と参政党とが連携して…期待していたのに。日本がどこに新しいものを見出していけるか不安になる。保守が別の動きをするかもしれない。自民党がこのまま続くのか。安倍派のイメージ操作。

1955年体制、戦後レジームがいよいよ崩壊に。戦後の秩序がバラバラに壊れる。ここから新たに創るしかない。

「ゴジラ-1.0」…戦争に敗けて何もなくなっていた日本にゴジラが来た。今の状況と酷似。ゴジラは何のメタファーか…グローバリズム、米国、中国共産党。ただ、何もないところにいま立っているという共通項がある。

この映画をみて米国人たちがみんな泣いている。米国人も同じ問題。分断で壊れて建国の精神もない。奴隷船が最初に着いたのが米国の建国だと教えている教科書。何もないところに民間人が立ち上がる、その姿に感動する。

戦争のトラウマも共通だ。ベトナム、アフガン、イラク、アフガンからの撤退、日本が敗戦のときと同じトラウマ。自分を投影できる。それで米国で大ヒット。

 

●今年の明るい話題は

明るい話題は政治経済軍事ではない。レールガン、自衛隊が開発。素晴らしい技術、盗まれないよう。スリム、月着陸船。世界中から注目。インドのメディアが大きく報道。インドは自信があるから、シンパシーで報道。月着陸は普通はアバウト。10Kmの誤差。それが100mの誤差に。月面で有効な技術に。日本人の宇宙飛行士が月面で活躍することに。

 ポップスでは夜遊びが全米1位に。スポーツがスゴい。「獲得した30年」。サッカーも。日本のソフトパワーになる。

日本が古来持っている良さがあるからこそソフトパワーになる。外国人観光客が増えているが、日本のソフトパワーが外国に持ち帰られる。子どもが一人で買い物、電車に乗って通学。向こうではあり得ない。びっくりされる。それこそが日本が培ってきたソフトパワーであり、倫理観。日本は安全だ、伝統文化を崩してはダメだ、他のアジアは持っていないものだ。

 レヴィ・ストロースは、日本は太古から多くのものほ海外から学んでろ過して日本オリジナルなモノにした、それを米欧は見習わなければならないと書いた。ろ過し、最上のものを同化したので、独自のものを日本は失っていない、と。日本はアジアに社会的模範を、西欧には精神的模範を与えている、と。

日本の独自性を保証しているのは皇室。「日本-1.0」になったときに何に帰るかは、そこしかない。日本の独自性、国体を守っていく。その意味でも参政党に期待している。