【動画紹介】新型コロナで経済社会活動が凍結…これにより露呈した地方の問題と日本の医療の構造問題 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

この年末年始のGoTo停止や国民への巣ごもり要請といった社会経済活動全般にわたる抑制で最も打撃を受けるのは地方であり、そもそもそのような問題を引き起こし、国民全体を振り回しているのは、日本の医療の構造問題。ここでは、地方と医療の両面から、それぞれ八幡和郎先生と行った松田政策研究所チャンネルでの対談番組を2本、ご紹介します。

 

Ⅰ.GoTo停止と地方創生

 

まず、一本目の番組では、GoToトラベルの一時停止で、要するに地方に行くな…。東京の人は地方に行かねば済むことですが、GoToで都会から受け入れる側の地方にとっては大変な事態です。これを契機に地方をどう考えていくのかを論じました。

休業補償をしても、困っているところにお金は回らない。インバウンドがないなら国内でお金を回すしかない。それがGoToであり、日本の経済構造の変化を踏まえた対策を考えるべきであり、実は、GoToは全体を良くする最良の地方創生策…。

 

<内容>

年末年始のキャンペーンでやっと首を吊らずに済むという人が地方にはいっぱいいる。これでなんとかできると思っていたのに、止めてしまう。GoToをやめろと言っていたマスコミは、やめたらそれをまた批判する。

●休業補償をしても、お金は困っているところには回らない

お金を休業したところに出しても、本当に困っている人にはお金はいかない。祇園のお茶屋で休業するのでお茶屋にお金を出すとすると、あのようなところはよそから仕出しをとっており、仕出し屋は営業停止ではない。そこで止まる。普通の料理屋も材料を仕入れる。料理屋はお金がもらえるが、材料を出しているところはもらえない。

観光というのは、ものすごく裾野が広くお金が行く産業だ。インバウンドで観光客が一人一日に使うお金は、普通に暮らしている人の7倍。観光客が一日平均1,000人滞在するだけで、人口が7,000人増えた計算になる。

 

大阪は維新で行革はしっかりしているが、相変わらず会社は東京に移っているものの、橋下氏が知事になってから大阪経済がよみがえったのは、ほとんどがインバウンド。難波の高島屋は京都から大阪に進出して戦後に発展したものだが、一昨年、69年ぶりに大阪での売り上げが東京の日本橋の売上を上回った。こんなことになるとは、東京で大地震でもない限り、ないと思われていた。中国から観光客が空港から入って、東京よりもコンパクトな大阪、2日でコースを回れるのでドンピシャになった。大阪が世界の観光地に?だったのが、そうなった。

欧米から来ると、韓国中国からだと大阪はだいぶ安い。ソウルは札幌より近い。

ホテルの場合は特に高級ホテルが大事。料理人などプロフェッショナルたちが、半年も閉めていると、気の利いた人がいなくなる。地方から良い人材がいなくなる。

インバウンドが駄目なら、国内でお金を回すしかない。そういう意識が、GoToをやめろという人の頭に全くない。マクロの政策でというが、そうした数字よりも大事なことがある。

 

●経済構造の変化でGoToこそ最良の地方創生策だった

戦後の最初の時期に地方振興でやったのが、集団就職で地方から人を出すことだった。農業中心だったので、人口が多いとまずくなる。人を出して地方が救われると考えた。みんなでお世話して集団就職列車を出して…。汽車に乗れば、製作所が駅に迎えに行く。県が引率した。

これが東京五輪のころから様相が変化した。高速道路ができて、地方に工場をとなった。それまでは海の近く(京浜工業地帯など)はなんとかなり始めていたが、高速道路ができることで、内陸部に工場ができ始めた。東京五輪で滋賀県の人口が増えたが、これは関ヶ原の戦い以来のことだった。滋賀県が日本一の人口急増県になったのは高速道路のおかげだった。工場再配置法を田中角栄が推進し、効果があった。

 

しかし、工場もヒトを使わなくなり、海外に出ていく。そこで、公共事業で道路を作ったが、未来に向けた投資になるとは限らなかった。首都移転も考えたが、うまくいかない。首都移転も下火になった。大学も都心に戻っていく。

安倍さんの山口の地元も、菅さんの秋田も、二階さんの和歌山南部も、石破さんの鳥取も、日本でいちばん人口が減っている地域だ。政治家を長くやっても結果が出ていない。これまで何が間違っていたかを考えねばならない。

 

かつて河野一郎が、首都は浜名湖のそば、筑波学園都市をつくる、京都は国際会館…と、それぞれの地方の特色に応じたメリハリある計画を提案したが、田中角栄が陣笠代議士のチャンピオンとして登場し、わが新潟をなんとかしたい…。竹下登なると、県会議員出身の最初の総理だったが、わが村の役場に早く行けるように…。高速道路の整備は遅くなった。それは市会議員の発想。個別問題からの発想。結局、村おこし。

そこで、GoToキャンペーンとなった。画期的な地方振興策がこれである。幅広く良いことが起こる政策だ、菅さんはよくわかっている。

 

かつて、通産省が進めたテクノポリス構想があったが、工場だけではだめという発想で研究所もくっつけてというものだった。列島改造がそうだった。あれを復活させても田中角栄の列島改造の復活というわけにはいかず、それを裏側から復活させたのがテクノポリスだった。だが、どこもがやりたがった。新産業都市は全国で数か所なら成功した。国際会議場も各県に…となってしまった。竹下登的な発想では駄目である。

このように、経済の構造が変わると、何を中心にするかが変わる。大きなグランドデザインが必要。実は、GoToは地方創生そのものだった。

 

GoToを停止するとしても、新規受付にとどめるべきだった。すでに申し込んだ人にやめさせるのは酷い。家族で10年ぶりに旅行を…そういう方がたくさんいた。次の機会に、といっても年寄りであるとか、家族構成も変わる。地方に住むおじいちゃんおばあちゃんが孫に会う機会はそんなにない。10回も会ったことがない人が多い。その機会を奪うな。

 

…このあとの話は、それぞれの県庁所在地が、なぜ県庁所在地になれたか、最近のご著書の解説になりました。県立千葉高校出身の私が、なぜ千葉市が千葉県の県庁所在地になったのかを知りませんたが、今回初めて知りました。千葉高校でちゃんと教えるべきでした…。ちなみに八幡先生のお父さんは旧制千葉中(現在の県立千葉高の前身)のご出身とのこと。

いずれにしても、今の経済の仕組みもよく見ながらコロナ対応を考えるべきでしょう。

 

「GOTOキャンペーン中止から考える”地方再生”」(ゲスト:歴史家・評論家 八幡和郎氏)

 

Ⅱ.国民への行動抑制で露呈する日本の医療の構造問題

 

もう一つの番組は、八幡先生による医療問題への切り込み。医学部廃止論まで…。

そもそも新型コロナでの人口当たり死者数が欧米の数十分の一である日本で、なぜ、GoToの一時停止や年末年始の巣ごもりなど社会経済活動の全般的な抑制までしなければ「医療崩壊の懸念」があるのか?素朴に考えれば何かがおかしい。

指定感染症の指定をインフルエンザ並みの5類に下げれば、例年、新型コロナよりも桁ちがいに感染者が多いインフルエンザに対応できているのですから、医療崩壊など起こるはずもありません。しかし、厚労省は分類変更はしない…。

ならば、医療の側にある大きな問題を解決しなければならないことになります。それは何なのか…。そこには道義的な問題と仕組みの問題がある…。

 

<内容>

この状態の日本で医療崩壊?

日本の医師数は少なめだが、桁違いに少ないわけではない。少ないのは医学部を増やすな、いずれ医者は余るから、医者は増やすなという政策によるもの。このことを主張し続けてきた医療サイドから、医師が足りないなどというのは話が違うではないか。ベッド数は世界的にみてべらぼうに多いのに…。新型コロナが欧米並みになったらどうなるのか。どう考えてもおかしい。

 

●医療人たちにみられる道義の問題

一つは、非常事態だからなんとかするという気持ちが医療側になさすぎること。Gotoをやめるぐらい大変なのなら、この年末に稼働医師を増やそうという声があるはずだが、聞いたことがない。医師が年末年始に休むためにgotoをやめるのか?

海外では、関係ないところの医師でも、大変だということで、イタリアでは全国から医師が集まったし、引退した医師、結婚して休んでいた医師、産休も切り上げて…だった。韓国も学生を動員する。英国では休んでいる医師の徴用命令が出た。動員をかけられる。呼び出された医師に防護服もマスクもない。気の毒なことに、スペインでは感染者の10分の1は医療関係者だった。

日本ではコロナを手伝わせてくださいという医療関係者は少ない。現場でがんばっている医師はいるが、もともと運悪くコロナの部署にいた医師ががんばっている。他の開業医では、今は暇だ、患者が来ない、なのになぜ駆け付けないのか…と聞くと、一人でも自分の患者がいるのにほかのところに行くのは我慢できない…?などと言う。

大病院なら人の配置でやるべきだし、開業医もしばらく休止して医師会で代りを手当てするなど、考えられるはず。

大阪の十三市民病院を松井市長がコロナ指定医病院にしたところ、医師と看護師たちが辞めてしまった。院長まで仕方ないと言っていた。内視鏡をやりたいという医師が、コロナをやっていたら将来に役立たないだろう…と。敵前逃亡をした医師を、医師自身が擁護する?以上が道義の問題。

 

●医療界の仕組みの問題

もう一つは、テクニカルな問題。安倍さんはアビガンを早期承認せよと言った。PCRも、もう少し増やすべきだと。しかし、アビガンはいくら総理が言おうと、従来のやり方を我々は変えませんと、厚労省の関係が頑張った。一回やると他に影響します…と。未だに認可されていない。妊婦以外にはほとんど副作用は出ないのに…。

ワクチンも遅い。よその国で大丈夫とわかってからでよいと。PCRは、もっと簡易にできないかと言っても、ダメです。私たちの良心が許しません…。

そんなことを言うなら、財務省は一連のコロナ対策予算で良心をかなぐり捨てている。医療界は新しい業者の参入も邪魔する。

参入の制限でレントが発生している既得権益業界そのものである。医療界だけが、緊急対応のあとの自分たちの仕事はどうなるのかと言っている。

それぞれの部門に良心がないわけではないが、医療界全体として。この程度の患者で崩壊するということに対して、さすがにまずいと思ってくれないと困る。

厚労省で自分たちの主張で頑張っているのは医官である。事務次官は、そういう専門家たちの言うことを保護することで権威を保っている。厚労省の事務次官はお医者さんに反対されたら統制がとれなくなる。小さい村の利益を公平に擁護するのが自分の仕事と、あの文部科学次官もそうだったように。経産省や財務省なら、ここの島の連中の論理を打ち破ってこそ仕事だと思うが、そうでない役所がある。

 

●医学部の廃止を

18歳で高校で出来がよいと、君、医学部に行けるよ、となる。医師が良いとは思わなくても、成績優秀者は医学部に行く。医師になりたいが貧乏だから医学部に行けないのは困るが、医師に興味がないのに、かっこいいから、女性が寄ってくるから、ということで行くとすると、本当にその仕事に向いた情熱のある人が行かなくなる。

国全体で考えれば、どの分野にも頭の良い人がいるということにしなければならないはず。医学部の偏差値が他学部並みになるまでに診療報酬を減らしたらよいと言っている。

コロナの現場の医師だけ確保できるようお金をつけても、うまくいかない。コロナ以外の医師の診療報酬をカットしなければならない。地方振興も地方の振興以上に東京をいじめないと進まない。

18歳で医師になれますというのをやめてほしい。必ずキャリア公務員になれるという学部を作れば、ものすごい偏差値になるだろう。そのようなものを作るとみんなが殺到する。医学部が特殊である。

むしろ、健康学部をつくり、大学院レベルでメディカルスクールにするなど、分野ごとに分けるべき。4年ぐらい学んでいると、向くか向かないかわかる。

医療関係者の中で、医師を特殊な立場でなくすることも考えられる。徳洲会では「先生」と言うのを禁止している。キャリアの役人だけ特別な食堂というのは通用しない。地方で地元に残る優秀な人はみな医師だ。

医師の問題を変えないと、日本は変わらない。自分は医師の子供であり、事情を知らないわけではない。医師たちから罵詈雑言を受けているが…。

 

…新型コロナで露呈したのは、まさに長年にわたって続いてきた日本の医療の構造問題だと思います。だとすれば、今回のように国民を振り回す事態が続くと、いずれ、批判の矛先は医療界のほうに向かうことになるのではないでしょうか。

緊急事態宣言の再発令が言われていますが、現時点において緊急事態宣言を出すべきなのは、医療界に対してこそなのではないか…そんな声も出てくるかもしれません。八幡先生は「だから、お医者さんは年末年始は休むな」。

 

「八幡先生に訊く!日本の医療は本当に崩壊するのか?」(ゲスト:歴史家・評論家 八幡和郎氏)