動画ろんだん@松田政策研究所⑯~(特集)国際情勢と日本の外交戦略~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 世界全体を見渡すと、今年は新たな国際秩序の形成に向けて「世界の景色が変わり始める年」になりそうです。では、日本は何を軸にして激動する世界情勢のなかで外交戦略を打ち立てていくべきなのか。国際情勢といえば、松田政策研究所でも最近は韓国や中国に焦点を当てた発信が続きましたが、世界一のスーパーパワーである米国は今年は大統領選の年、ロシアについても、安倍政権が在任中にどこまで北方領土問題に答えを出せるのかが気になります。他方で、今年に入って英国はEUをついに離脱、これが国際秩序と日本の選択にも大きな影響を与えることになります。さらに、不安が増すのが国際金融情勢。

ここでは以下、外交問題では日本を代表する有識者である加瀬英明氏による全体観をご紹介し、外交戦略を考える上で不可欠な地政学の観点からは茂木誠氏との対談を、そして大統領選については米国の政治情勢に詳しい渡瀬裕哉氏による分析を、ロシアについてはモスクワから帰国したばかりの専門家である畔蒜泰助氏による分析をご紹介します。さらには世界経済について現職の財務官僚のトップ(当時)で現在はアジア開発銀行総裁である浅川雅嗣氏との対談を掲載し、最後に、松田学の一人語りで、ベルリンの壁崩壊後30年の現在における世界の壁の状況と、英国のEU離脱が意味するものについて論じた動画をそれぞれご紹介いたします。

 

●[対談]加瀬英明(外交評論家)「”性善説”の平和ボケ日本、憲法改正出来ないのは憲法を大事にしていないからだ!」

日本国憲法を改めることができず70年以上、これは徳川の支配のために一切の戦略思考を禁じた江戸時代の260年の平和の祟りでは…先の大戦のあと、経済大国となった日本はまた、徳川時代に戻ってしまった。多くの保守系政治家が先生と慕う著名な外交評論家である加瀬英明氏のお宅に伺って対談をいたしました。分かりやすく、史実にたとえながら、日本の現状の本質をズバリ、突いていただきました。

加瀬先生のお宅は、衆議院議員だった頃に保守系の国会議員の方々と、世界的な戦略家であるルトワック氏との会食に呼ばれて以来でした。

・韓国は?…中国と韓国は歴史的に日本に対して自分たちが上だと信じてきた。それが日本に抜かれた。イスラム教の世界とキリスト教の世界と似ている。かつてはヨーロッパよりもはるかに進んでいたイスラム世界。そこには抜きがたい優越感と癒しがたい劣等感が共存している。いまの韓国のあり方は、日本が作った化け物。日本が詫びることで今の韓国を作った。安倍政権もマスコミが恐いから何事も詫びてしまう。それは外国には通用しない。

・米朝ディールの行方は?…北朝鮮が核兵器を手放すことは絶対にありえない。金正恩はトランプを赤ちゃんのようにあやしている。米朝交渉は失敗したと認めたほうがよい。南北が一緒になると8,000万人、しかも核をもっている、憲法の前文「公正と信義に信頼して」…できるんでしょうかね?

・中国は?…中国とはギブ&テイク、互恵主義で割り切っていくしかない。中国は海洋勢力になることはできない。それは仲間との結束で実現。中華思想では無理。中国は華夷思想のために戦略思考をできない可哀そうな、手かせ足かせをはめられた国。強力なミサイルや艦隊を作るなら、その金を太平洋諸国にバラまけば、今頃、日本は中国に…。海軍力などムダ。

・米中の狭間で日本はどうする?…トランプのお父さんは不動産、マンハッタンでは不動産はマフィア。人を脅すのが上手い。イランに対してトランプは厳しい姿勢で、安倍さんがなだめる役割。安倍さんは中国に対しても、その役割。役割分担である。

・英国のEU脱退は?…素晴らしいこと。これで経済的活力が息を吹き返す。英国は欧州の一部だと自分たちを思っていない。それは日本が中国大陸の一部でないのと同じ。

・日本で高まった嫌韓感情は?…日本に韓国をさげすむ資格があるのか。36年間の韓国統治のトラウマから韓国は未だに自立できていない。日本は70年以上も、米国の占領があったから自立できないと言っている。韓国以下だ。李氏朝鮮は、軍は危険なもの、必要最小限とし、何かあれば中国に頼る。それと同じ。500年続いた李氏朝鮮を我々は引き継いでいる。

・日本が国際情報戦に弱いのはなぜ?…根底には、言挙げをしてはいけない、自己主張をしてはいけない、世界で唯一の「和」の国だということがある。その基にあるのは性善説。日本以外のあらゆる国は性悪説。日本では学校に行く子に親は「友だちと仲良くしなさい」韓国では、「一番になりなさい」、中国では「騙されないようにしなさい」お詫びなんかしていたら大変。憲法前文も性善説の国民だから違和感がない。

・今年の最大の課題は?…憲法改正。東京五輪と言うが、五輪をして再生した国があったか?一時的な興奮剤。しかし、改憲しないと日本の再生はない。

・政治に望むことは?…政治は結局、人。しかし、自民党の政治家も、なんでこの人が政治家?という人が多い。バッヂをつけることが目的の人。候補者を公募するなど、世界ではありえない。就活のようなもの。半分ぐらいはそういう人たち。

…加瀬先生と対談をしてみて、今年はやはり、政治の流れを変え始める年にしなければならないという思いを強くしました。

 

●[対談]茂木誠(ユーチューバー、予備校世界史講師)「茂木先生に訊く!地政学で見る東アジア情勢」

【ランドパワーとシーパワー】世界を地政学的に俯瞰すれば、いずれの国家も大陸型か海洋型のいずれかに分類される。両軸の対立構造から、世界の歴史も現在の国際情勢も説明できる。こうした明快な割り切りで世界を論じてみたのが、最近話題の本、「日本人が知るべき東アジアの地政学」を出版された予備校世界史講師でユーチューバーである茂木誠氏との対談です。

治水灌漑から始まった古代国家は大量の人員を動員、支配する必要があったのであり、その代わり最低限の生活は保障する、ここで必要なのは強い官僚制、これが現在では中国やロシアで典型的な大陸型の国家。こちらは分配型。これに対し、海洋に出れば官僚統制は効かず、国家の介入は小さくして自由を重んじるのが、イギリスやオランダなどで典型的な海洋型国家。アメリカは西部開拓が終了した時点で明確な海洋型国家に。ウォール街とつながっている民主党も、分配型というよりはシーパワー。

茂木氏は2025年に韓国は消滅すると予測しています。このことも話題になっていますが、元々、朝鮮半島は中国の影響で大陸型だったのが、戦前は日本の、戦後はアメリカの影響で一時、海洋型に傾いていた、それが、李氏朝鮮600年で典型的だったランドパワーに回帰しようとするのが文在寅政権。そこに民族の血は回帰していく。朝鮮は歴史的に中国に抑圧されてきたので、結果として生まれる統一朝鮮は、反中となるため、日本にとって半島統一が脅威になることはない…。むしろ、38度線は鴨緑江へと遠のく…。

中国では江沢民の上海派がシーパワー、これに対抗するのが、毛沢東以来のランドパワーを指向する習近平、その両者が対立しているから香港デモもなかなか収まらない…。

ランドパワーの国がシーパワーの真似をしようとすると、経済はうまくいかない。それがエリツィン時代のロシアであり、プーチンはランドパワーに回帰することで、ロシアを立て直した…。

日本の政界では田中派が分配型のランドパワーで、中国に近く、安倍政権(清和会)はシーパワー。確かに、安倍総理は「インド太平洋構想」を指向しています。日本の国益を地政学的に考えれば、決してランドパワーには深入りせず、シーパワーでまとまることが正しい方向なのでしょう。

ちなみに私は衆議院議員の頃、次世代の党で議員団を組んで台湾、フィリピンを次々と訪れ、議員外交を始めていました。確かに、こうしたシーパワー国家は考え方や発想が中国よりも日本に近く、しかも、フィリピンの議員たちは日本の改憲を強く望んでいました。さらにはベトナム、インドネシア、さらにはインドへ…と展開しようとしていた矢先の衆院解散で次世代の党の同志は皆さん、バッヂを失い、海洋国家軸形成の仕事が中途半端に終わってしまったのは残念なことです。それを安倍総理は引き継いでくれていますが、これらの国々から日本に期待されているのは、東アジア+太平洋地域の海洋国家連合で指導的な立場に立つこと。しかし、それは専守防衛の国では限界があります。やはり答えは憲法改正。これは中国の脅威を前に、シーパワーの国々から強く求められている東アジア安全保障体制の構築という観点からも必要なことではないでしょうか。

 

●[対談]渡瀬裕哉(早稲田大学招聘研究員)「米大統領選挙を斬る!トランプ大統領再選は?」

アメリカでは大統領選が真っ盛り。トランプ再選は実は結構、厳しい…?。選挙を決めるのは経済状況とされてきた常識が、今のアメリカでは通用しなくなっているようです。むしろ、人種や女性、社会階層、マイノリティなどのアイデンティティ・ポリティクスの影響が強まる中で、左派の資金力(ネット献金)や組織力、集票力が選挙の趨勢を決めるとのこと…。新進気鋭の若手論者として、いま注目を浴びている渡瀬裕哉・早稲田大学招聘研究員が本チャンネル二度目の登壇。

収録時点は昨年11月で、その後、状況も変化していますが、米国大統領選をみる上で、現在も大いに参考になる興味深い視角を提供しています。

もしトランプ再選でなければ…。バイデン、ウォーレン(左派で一過性のブーム)、サンダース(左派で若者層にとってカルト、20%で伸びしろ無し)、それとも、ブティジェッジ(LGBT?)…?ブルームバーグは流行らない…。有力なのはバイデンだが、トリプルブルー(大統領、上院、下院とも民主党)になると、中道のバイデンが大統領になっでも左派的な政策に偏らざるを得なくなる…。

ではなぜ、アメリカでは左派が台頭したのか…格差の拡大というよりも、政界でも社会でも世襲が跋扈するようになったこと(日本も同様…)。アメリカンドリームの崩壊ということがあるようです。

では、トランプ大統領が続いた場合は?…アメリカはあまり変わらない、トランプはオバマ時代にガタガタになった国防を立て直し、国力の衰退を食い止めようとしている。では、トリプルブルーの場合は?…アメリカは大衰退に。増税と社会保障とインフラで軍事費を削るしかなくなり、アメリカは世界からもっと後退していく。トランプが続くとトンデモないことになると思う人が多いようですが、逆のようです。

ところで、「リバタリアン」という言葉がありますが、これは何事も政府に頼らず、自分でやっていこう、政府やお上、何するものぞとの発想。アメリカでは政府は自分たちが作っているとの意識があるので、政府の規模を小さくしようと投票しますが、実は、日本人こそがリバタリアン?「お上意識」と言われますが、それは、日本人が本当はお上を尊重していないから。政府は税金を取ったり余計なことをするな…勝手にやっていればよい、介入するな…。年金2,000万円問題も、そこから出ている? 詳しくは番組をご覧ください。

日本では国民がなぜ、頭では分かっていても、消費税にこんなに反対してきたのか、それは元来の国民性として、政府やお上への信頼がないからなのかもしれません。

 

●[対談]畔蒜泰助(笹川平和財団シニアリサーチフェロー)「ロシア情勢最新情報!プーチン大統領の権力と中東への影響力は?」

プーチン政権は今年で20年。憲法を改正してポストプーチンに向けた体制づくりに入ったようですが、いったいどうしようとしているのか。日本の隣国でありながら、昔からベールに包まれてきたようにみえる大国ロシアでは、いま、何が起こっているのか。安倍政権が在任中に目途をつけるとしている外交問題の1つは北方領土ですが、本当に解決するのか。

私が長年親しくしている畔蒜(あびる)氏はメディアにもよく登壇しているロシアの専門家、モスクワに2年半駐在し、帰国したばかりのタイミングで、プーチンとも直接話をした同氏に情勢分析をしてもらいました。

やはり、プーチンはしたたかな戦略家。

リーマンショック後、急速に力をつけた中国に対し、日米ロの間には中国に対する共通の懸念があった。その頃に誕生したのが安倍政権でした。安倍総理とプーチンとの間に信頼関係が構築されたかのようにみえた当時、北方領土問題の解決も順調に進んでいるかのようにみえました。

しかし、畔蒜氏が直接質したときのプーチンの答えは、「日本との間で信頼関係がまだ十分でない」。だから、いったん、信頼関係醸成の営みが必要。それが平和条約締結なのか、別のものなのか…?ロシア側の信頼関係の欠如とは、実は、日米同盟です。

ウクライナ紛争による対ロ経済制裁以降、ロシアの方針は大きく変わったようです。それ以降、欧米との対立を深めるロシアは中国に接近している…。シベリア、極東に進出している中国をロシアが懸念しているというのは、実は、神話。ロシアは中国を歓迎している…。どうも、対立軸が変わったようです。

こうなると、日米同盟のもと、日本にとって北方領土問題の解決は現実には困難化しているとみたほうが良いでしょう。あきらめる選択肢はありませんが、かなり長期にわたり腰を据えて取り組まねばならない問題であるというのが、リアルな認識だと考えるべきです。そこでカギを握るのはインド…。

日本の対ユーラシア外交を考える上で、いろいろな材料を提供する対談となりましたので、ぜひ、ご覧いただければと思います。

 

●[対談]浅川雅嗣(財務省顧問、内閣官房参与…いずれも当時、現在はアジア開発銀行総裁)「財務省顧問 浅川雅嗣氏に訊く!財務省の国際的役割と日本の国益」

ついに霞が関の現職高級官僚まで…。私とは大学時代から親しく、大蔵省の入省同期でもあり、財務省では国際関係のトップ、安倍総理や麻生大臣の懐刀として次官並みポストである財務官を勤め上げ、1月からアジア開発銀行(ADB)の総裁に就任した、当時は現職財務官僚といえば、浅川雅嗣氏。松田政策研究所チャンネルで対談を財務省にて収録、発信いたしました。

松田政策研究所チャンネルの特徴の一つとして、政治や国の政策の最前線で活躍する現職政治家との対談シリーズが挙げられます。これは、ネット著名人や言論人中心の他のYouTubeチャンネルにはあまりみられないものだと思います。さらに、責任ある立場にある現職の霞が関官僚となると、ネットに登場して発信すること自体、ほとんどないことでしょう。

日頃から浅川氏とはよく会って情報交換しておりますが、この動画での発言には裏表はありません。国際金融や通貨では政府のトップの政策当局者としての率直な考え方が整理されていると思います。

大蔵省の同期24人のうち、政界転出のため私が最も早く役所を飛び出したのですが、最も長く最後まで本省で現職官僚を務めあげているのが浅川氏です。財務官在職は4年に及び、歴代最長記録となったのは安倍総理と同じ…。

国の意思決定の最前線に立つ官僚のナマの声はなかなか聴けないもの。国際経済の動向や国際社会における日本のイニシアチブの現状、日本の政策の動きをリアルにつかむことができると思いますので、ぜひ、ご覧ください。

浅川さん、アジア開発銀行のトップになっても日本の国益を忘れないように…。中国への対応をどうするかが気になる私からの花向けの言葉が、この番組の最後に出てきます。いずれにしても、番組出演を快く引き受けてくれた同期としての友情に感謝!ADBの本部があるフィリピンは世界で5番目にテロが多い国、マニラはでの生活は、くれぐれもお気をつけて。ご活躍を祈ります。

 

[独り語り]松田学「号外【ニュースを斬る!】ベルリンの壁崩壊から30年!”東京の壁”はいまだ健在」

 

[独り語り]松田学「号外【ニュースを斬る!】英総選挙保守党勝利!ブレグジットの行方は・・」