新型コロナウィルスと憲法改正~衆議院の解散が今年の春との予想が成り立つ理由~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 米中新冷戦による分断に加え、世界のデカップリングの要因がまた一つ…。こちらの分断はヒトの移動の阻止とか隔離ですが…。横浜港では、たまたま大型クルーズ船の乗客として人生を楽しんでいただけの人々が長い監禁状態に。いつ自分が村八分に遭うかわからない不安が多くの国民を襲っているのではないでしょうか。武漢で極秘の細菌兵器開発に関わっている疑いのある研究所からウィルスが漏れたとの記事が、トランプが朝起きて読む新聞とされるワシントンタイムズに掲載されるなど、真偽不明の色々な噂が飛び交ってきましたが、今般の新型コロナウィルスが未曽有のパンデミックになる可能性が高いのは事実のようです。

 

●今回のウィルスがなぜ脅威なのか

 疫病の世界的流行が起きるのは、ウィルスの保持者が動きながらまき散らすからであり、今回のウィルスのように致死率が数%と低い場合です。特に、新型コロナは子どもが感染しても発症せず、元気に動き回って親や祖父母、高齢者に感染、男性の高齢者がとりわけ危険とのこと。武漢からの帰国第一便には検査拒否者が出て、うち一人が子どもでした。

 感染者は近いうちに1億人を超えるとの数字も出ていたように、それは指数関数的に増え、ピークは4~5月頃…、東京五輪は中止?との噂まで出ました。

こうなると、公衆衛生や医療を超えた国家危機管理の問題です。さすがの「おもてなし」の国の日本も中国人の入国制限に踏み切りましたが、観光、経済どころでなく、危機管理は、のちに過剰と言われても、悲観的想定で行うべきものです。

 それにしても中国は困った国だと内心、感じている人は多いでしょう。生物兵器ではないとしても、確かに、危ないウィルスを扱う研究所が武漢にあり、そこから漏れた可能性があるようです。その研究所は安全管理上の問題がかねてから指摘されていたとのこと。

そうなると、自然発生したウィルスよりも強く、当初の見込みが過小評価となり、感染症で大事な初動対応を遅らせたとの見方もあります。WHOの緊急事態宣言が遅れたのは中国への配慮のようですが、確かに、テドロス事務局長の母国エチオピアは中国の勢力が押し寄せている国です。

李克強首相の対策チームが武漢を訪れましたが、チームには公衆衛生の専門家が一人もおらず、中央宣伝部のプロパガンダの専門家ばかりだったとのこと。事態をコントロールできていない習近平政権の国民向け情報工作だとされています。

 経済産業研究所上席研究員の藤和彦氏は松田政策研究所チャンネルで、1人1万円で感染の有無を判定できる検査キッドを、国費投入をいとわずに大量配布する対策が必要であることを早々と提唱していました。今回のコロナの問題は無症状感染者の蔓延であり、症状もインフルエンザと似ていて、医療現場で見分けがつかないことです。何よりも重要なのは、瞬時で検査できる体制の構築です。

 

●問われる危機管理能力の構築

 誰が感染者か、自分がそうなのか、それが分からないことが、社会不安や差別の原因にもなります。水際対策や手洗いの励行だけでは、国民を不安に追い込むだけかもしれません。日本は公衆衛生の水準が高く、医療の世界に入れば強い国です。その前の社会のところでどうするかが課題。周囲を海に囲まれた日本は疫病の経験があまりなく、パンデミックには不感症だと言われます。医療の前の総合的な危機管理こそが問われています。

今回の事態で痛感されたのは、やはり、国家緊急事態が発令できない日本の根源的な弱さだと思います。近年、地震や津波、洪水で国民の危機意識は高まっていますが、今回のことで、多くの国の憲法に規定されている緊急事態条項の必要性、すなわち憲法改正を多くの国民が考えるようになったのではないでしょうか。政府はなんとか、指定感染症の政令の施行を通常のプロセスを超えて早めましたが、これまでの大災害時の対応を振り返っても、日本政府の危機対応は何事も後手後手。それで失われてきた命も多かった…。

緊急事態条項で国民の権利を裁量的に制約できる強権を総理大臣に与えるのは危険だ、それぞれの関係法令で危機対応を整備すれば良いとの意見もあります。しかし、近年、私たちが繰り返し学んだのは、「想定外」の事態が実際に起こり得ること。予め法令に規定できないような想定外の緊急事態において、国民の命を守るため超法規的な措置を採るからこそ、国家が存在する意味があり、為政者に問われる重い責任があるというものです。

災害では逃げなければならないのに逃げない、感染症では検査を忌避する…、不都合な事態を認識しようとしない人間の心性である「正常性バイアス」の克服は、公共の福祉のために、個人のエゴをときには抑える装置を必要としているといえるでしょう。

 

●改憲論議の行方が政局を決める

 さて、憲法改正といえば、安倍総理はいよいよ、これに待ったなしで取り組むそうです。安倍総理が改憲について国民に訴えたい内容を著書「ここがおかしい日本国憲法!」にまとめた田村重信氏(元自民党政務調査会審議役)によれば、かつての小泉郵政解散と同じことが起こる…。今国会で3月末に予算が成立し、いよいよ憲法審査会で議論を進めようとしたときに、相変わらず野党が議論に乗らないようなら、国民に問うてみよう…!

 あの時のまさかの郵政解散と同じストーリーです。

 当時、郵政民営化への賛否よりも、解散に踏み切った小泉総理の断固たる姿勢そのものに国民は共鳴し、自民党が圧勝しました。確かに安倍総理は勝負師。これまでの衆院解散もサプライズ解散でした。今回も圧倒的な勝利で一気に在任中の改憲を成し遂げる…。改憲を実現しなければ後世に汚名を遺しかねないはずの安倍総理としては、背水の陣の心境でしょう。

 しかし、国民民主と立憲民主の合流もままならない野党は、このままの総選挙突入では、小沢一郎氏が言うように、まさに消滅…。生き残りたいなら、早期の解散を避けるべく、今国会での憲法論議に乗るしかないことになります。いずれにしても、改憲は実現に。

 ただ、心配なのは、今回の新型コロナウィルスによる危機の拡大で、選挙どころではなくなること。もう一つ、経済も心配です。コロナ騒ぎによる中国経済のストップ状態が、中国との相互依存を深めてきた世界各国の経済に急激なダメージを与えることになるでしょう。そうでなくても世界経済は過剰債務のハイレバレッジ状態。何をきっかけにリーマンショック以上の経済危機が起こるか…。今度は「コロナショック」?

 そもそも日本の危機とは何かを考えると、それは危機認識が欠如していることではないでしょうか。田村重信氏の著書の最後にある「野鴨の哲学」は、戦後の恵まれた環境のなかで満足し切って脱皮せず、衰退の道を歩もうとしている日本の危機的な現状を見事に突いています。

 改憲についても、日本の改憲は、同じ敗戦国であるドイツから遅れること、すでに70年。日本国憲法が世界最古の現行憲法となっているのは、日本が課題解決のできない国であることを示す恥ずかしい事態です。進化論によれば、環境変化に適応して自ら変化できない種は滅びる…。

 憲法改正は日本全体の「脱皮」を促す象徴になるものなのかもしれません。

 

 以上、新型コロナウィルスに関する記述については、藤和彦氏との対談でご確認ください。「新型ウイルスと中東問題、パンデミックの可能性は?」、こちらです↓

 

 憲法改正については、田村重信氏との対談をご参照ください。「ここが変だよ 日本国憲法! 安倍政権での憲法改正はあるのか?」こちらです↓