動画ろんだん@松田政策研究所⑩~(特集)当事者たちが語る日本の防衛、安全保障政策(その1)~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 松田政策研究所チャンネルでは、安全保障に関する対談シリーズを開始しています。できるだけ現場の当事者や安全保障政策に関わる政治家などから、日本が直面するリアルな現実を引き出し、そこから、あるべき真っ当な防衛政策を組み立てる議論を心掛けているところです。その第一回目として、まず、日本の国防を担う自衛隊に私から寄せるメッセージを、そして、対談シリーズからは、現場からの声として元航空幕僚長の田母神俊雄氏、防衛の知識では永田町でこの人の右に出る人はいないとも評される元衆議院議員の中丸啓氏、さらに、与党の安全保障政策をめぐって自民党参議院議員の山田宏氏(収録当時は防衛大臣政務官)、及び自民党衆議院議員の長島昭久氏と行った各対談をご紹介します。リアリズムに基づいた政策論を…、ぜひ、ご視聴ください。

 

●国防について「松田学の思いを自衛隊関係者の皆様へ」

 

●自立した国防とは?自衛隊の現状は米軍依存!?』<田母神俊雄・元航空幕僚長

日本の国防は大丈夫なのか…。安全保障対談シリーズの第一弾は、自衛隊の元航空幕僚長である、あの田母神俊雄氏との対談。田母神さんといえば、私とはかつて、同じ次世代の党に所属する同志でもありましたが、最近では巷間、色々なことが言われているようです。当チャンネルへの出演についても様々なご意見が寄せられていますが、私として重視したいのは、人物についてどう言われようとも、あくまでリアリズムに基づく政策論の形成、発信の上で大事な論点を提供してくれるかどうかです。

日米安保は実際には発動されない、日韓関係の悪化の原因は日本が武力行使できない国だとみられていること、その韓国とも軍と自衛隊とは緊密な関係にある、イージスアショアやF35など外交的配慮による米国からの高い買い物で進んでいるのは日本の技術開発力の弱体化と対米依存の強化、自由な言論を封殺する最近の傾向は大変危険だ…等々、自衛隊や国防の現場を知悉する論者が、日本は自国の安全をどう守るのかについて多岐にわたり、真摯な提言をしています。

ご自身をよく「危険人物」と称して笑いを買っている方ですが、今回の対談での発言内容は正論そのもの。多くの方々に、日本の国防を考える素材を与えることになると思います。重要なのは、議論の中身。それを是とするか非とするかは、ひとりひとりが考えていくべきことだと思います。

 

●激変する安全保障環境どう対応する!?<中丸啓・元衆議院議員>

日本は自国の防衛を米国に依存していながら、日米安保条約は実際には発動されないのはなぜなのか…?以前、私と同じ政党の衆議院議員として行動を共にし、安全保障の専門家として党内外で知られてきた中丸啓・元衆議院議員との対談です。現在も和田政宗参議院議員事務所に属しながら、政権与党でなければ得られない政府の情報も分析しつつ、この分野でのリアリズムを追求しておられます。

日米安全保障条約そのものが、日本が武力攻撃を受けたときに米国が自動的に反撃をしてくれる条約にはなっていません。必要なプロセスは次の通り…。

①日本の外敵に対して自衛隊が防衛戦(武力行使)を行い、苦境に陥っている→②日本政府が米国に対して軍事的支援を要請する→③米国の国防当局がどの程度の支援を行うか検討する(支援見送りの選択肢もある)→④米政府として米国が日本の敵国と全面戦争となる可能性を視野に入れつつ米国の国益の観点から検討→⑤大統領権限により6か月の期間限定で緊急の軍事的対応を発動→⑥連邦議会の承認が必要。

ここで重要なのは、米国が日本を守ってくれる大前提が自衛隊の武力行使だということです。武力攻撃事態法などで定められた日本側での武力行使に必要な要件は、明白な危険の切迫、予測される事態、国家存立危機…等々ですが、では、「明白」、「予測」、「存立危機事態」をどう判断するのか…?中丸氏によれば、その明確な基準はなく、国会でも審議されておらず、実際にこれら要件で国会が承認するかも不明確だとのこと。これも米国依存の甘えの中で進んだ危機管理意識の欠如を示すものでしょう。

米国も民主主義の国であり、少なくとも、日本の離島を守るために米国民の血を流す決断など議会も大統領も簡単にはしないだろうということもよく踏まえて、リアリズムに立った国防論を深めていく必要があると思います。

 

●<その1>GSOMIA破棄の真実 日韓の安全保障環境について

<その2>『憲法改正、解散、消費税、日本の尊厳と国益を護る会など山田宏議員に訊く!』

<山田宏・防衛大臣政務官(当時)>

現職政治家との対談シリーズはネット著名人との対談に比して視聴数が少ないのが通例ですが、韓国問題がテーマだと、違います。松田政策研究所チャンネルでは、GSOMIA破棄を切り口にして、防衛大臣政務官の山田宏・参議院議員に語っていただきました。日本の防衛省の韓国問題に対する認識はどうなのか、現職幹部としては思い切ったご発言が随所にあります。韓国に協定を破棄されても日本にとって困ることなどない。そもそも米国から取れるミサイル情報しかない…。<その1>では、韓国の愚行ぶりが日本の国防当局の見方からも確認できます。

韓国をタイトルとしていない<その2>は、やはり視聴数が少なくなってしまうのが残念ですが、こちらは国益に関わる重要な論点が多数出されています。「尊厳と国益を守る会」の幹事長として山田宏議員は何をめざしているのか。対日投資の法規制の組み立てや諜報機関の設立など、国家として当然に求められていながらも、なぜか実現できてこなかった諸課題に、具体的な答を出していく。

いまや中国は、人工知能をもって他国の重要人物の思考や行動まで読もうとしています。だから米国は国家安全保障の観点から中国を抑え込もうと必死。日本はあまりに危機感が足りない、かつて行動を共にした山田宏議員と議論するたびに痛感することです。

 

 

 

●東アジアの安全保障の今後は?<長島昭久・衆議院議員>

国会議員のなかでも自民党の長島昭久・衆議院議員ほど、自らの言葉で外交安全保障を語れる政治家はそう多くないように思います。かつて米国の外交問題評議会で研究員をしていた保守の論客。

以前、同じく元は民主党でこのほど自民党に入った細野豪志・衆議院議員との対談を発信した際もそうでしたが、政党をコロコロ変える議員を批判する書き込みが結構あります。しかし、それは形式論ではないでしょうか。所属政党自体が自らの一貫した政治信条と矛盾するような変節を遂げた場合、むしろ、党を変えなければ有権者を裏切ることになる場合もあります。私の場合もそうでした。

今日の香港、明日の台湾、明後日の沖縄…かなり警戒すべき状況です。台湾に対しては、毛沢東は実現できなかった、鄧小平は自重した、それを自分がやるというのが習近平。日本の防衛ラインからみて死活的に重要な台湾に対して中国は現在、インフルエンス・オペレーション…。米国も台湾支援をかなりあからさまに。かつてアチソンラインがあったように、朝鮮半島と台湾は連動している…。私(松田)が提起した海洋国家軸については、その本質を的確に説明してもらいました。

米国にとって、本当に信頼できて頼りになり、ある程度経済力がある国といえば、欧州では英国、アジアでは日本。ファイブアイズでも豪州やNZではやはり小国。とはいえ、何もせずにこうした信頼関係が維持できるかといえば、特にトランプはこれまでの日米間の積み重ねを全く顧慮しない人。安倍総理が平和安全法制という努力を説明したところ、トランプは、でも、シンゾウの話はディフェンスばかりだ。と。

これは専守防衛を見直す上で、一つのチャンス。北朝鮮から飽和攻撃を受ければ日本はとても防げない。いつ攻撃されるか分からない。イージスアショアでは無理。ブーストフェーズで叩く。ディフェンスとオフェンスを組み合わせた防衛をしないと、お金がいくらあっても足りない。

民主党政権下で総理大臣補佐官をしていた際に最も印象に残ったのは、やはり、尖閣の国有化。日本としての意思を示すことができた。これ以上の中国の進出を防ぐには、あれしかなかった。当時の石原慎太郎都知事が言ってくれたのでできたもの。

当時の民主党政権は内政面では改革、外交安全保障は現実的という組み合わせが期待された。その点が、かつての社会党とは異なる二大政党制だった。ところが、民主党は下野してから急速に左傾化した。共産党とも一緒にやるようになった。これでは、外交安全保障政策ができない。それが自民党に移る決断の背景だった。

常にディフェンスだけで国防をやっているのは主要国の中で日本だけ。オフェンスとのバランスの取れた防衛が必要。そのなかである程度自立し、米国と緊密に連携。そして、海洋国家軸の先頭に立つ。これが日本の望ましい方向だ…。特にサイバーの世界では専守防衛では防げない。潜ませてアクティブにする。

最後に、安倍総理の改憲案「自衛隊を置く」で、今回議論した内容は解決にはならないのでは?との私(松田)からの質問には、「good question!」。これだけでは問題解決にならないからこそ、国会では憲法論議を深めてほしいものです。