人類に訪れる「第四の波」その2~中間機能ゼロ社会の衝撃[未来社会の断面図]~松田学の論考 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。


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 トフラーが提唱した「第三の波」は情報革命でしたが、その帰結として近未来の人類に訪れようとしているのが「第四の波」。この地球上に誕生して以来、道具から始まって、機械、産業や文明、国家など、自らと外界との間に介在する「中間機能」を高度に発達させることで生存域を拡大してきた人類が、今度は、中間機能と一体化する…。そのとき、人類は自分自身の生体を変革させていく存在になる。


私が提唱する「第四の波」については、前回のこのブログでも『人類に訪れる「第四の波」その1~来たる技術的特異点に私たちはどう向き合うのか~』で述べたとおりです。↓

https://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-12391528974.html

巨大化し、いまや私たちの生存に不可欠な中間機能は、情報技術の急速な進歩によって、リアルではないバーチャルな世界、電脳空間によって支配される度合いがどんどん高まっています。IoTAI、フィンテック、自動運転等々、加速度的な進歩を続ける科学技術が拓く夢のような未来社会が語られていますが、その行き着く先にどんな人類社会が待っているのか。


今回は、想像力を膨らまして、現在の科学技術が到達した地点をベースに、そこから実現可能な未来の断面図を、少しばかり描いてみます。

●予想される未来社会と人間の姿

-「ピア・トゥ・ピア社会」の到来

未来においては、距離を超えて点と点が直接触れ合う、距離を超越して自らの周囲のすべてが隣り合わせになる社会が到来するかもしれません。それは、ある漫画で描かれた「どこでもドア」の感覚の実現です。「時空」のうち「空」が消滅する。ユーザーにとってもはや、ネットワークは見えず、存在しないものとなる。あるのは自分と相手だけである。直接握手ができる…。

これまでの二次元の図表によるプレゼンテーションは、三次元の空間を眼前に現出させることにより、よりリアルな形で可能になるでしょう。

「どこでもドア」とは、藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』に登場する秘密道具です。片開き戸を模した道具であり、目的地を音声や思念などで入力した上で扉を開くと、その先が目的地になります。ドアのノブに意志読み取りセンサーが組み込まれているため、場所の指定は「いつもの空き地」と言えば近所の空き地になり、「どこでもいいから遠く」と言えば適当な場所になるなど、曖昧な指定が可能です。

「どこでもドア」以外に、これまではSFの世界とされてきたタイムマシン、「ワープ航法」なども、いずれ人類が実現する術を発見する時代が訪れるとも言われています。ちなみに、現代の最先端の物理学や数学では、0次元「点」→1次元「線」→2次元「面」→3次元「立体」→4次元「時間」→5次元「意識」→6次元…から14次元まで法則性を持って定義されるようになっているとされます。

-複数の人生を同時に生きる。

「私はあくまで私である」というアイデンティティの信頼性が確立することによって、これを前提に、バーチャルな時空を介して、様々な種類のリアルな「自己」の形成と活動の可能性が広がっていくかもしれません。そこでは、「一人二役三役」、「多重人格」が、本人の人格の完全認証を前提にして実現することになります。一人一人の人間としての可能性が大きく拡大していく社会が到来するでしょう。

-健康と長寿が保証された人生とヒトの能力の飛躍的向上

健康の確保のため、すでに、ネットワークとつながったウェアラブル端末の人体への装着が進んでいます。パソコンが組み込まれたコンタクトレンズや、膀胱内の尿の量を測定するデバイスの身体への埋め込み(老人ホームなどでの介護の効率を著しくアップ)なども実用化されていく流れにあります。身体に装着するデバイスの微細化が進み、将来は、デバイス不要の健康管理、健康増進も可能になるでしょう。

未来においては、例えば、外出先で身体のどこかに痛みが発生した場合、自動的に応急措置が施されて痛みが除去され、その後、いつでも好きなときに、医師の診断と処方がメッセージとして眼前の空間に現れ、遠隔からの治療が施され、必要な薬が自動的に配送されるということも、十分に考えられると思います。

加齢による脳機能の低下を補うデバイスを脳内に装着する技術がいずれ実用化されると言われています。いずれ、こうしたデバイスがネットワークとつながることで、脳や神経系統の機能が強化され、人間の能力を飛躍的に向上させることも可能になるでしょう。

医療技術の進歩により、現在も毎年、人間の寿命は延びています。「人生百年時代」が言われるようになっていますが、飛躍的に能力を向上させた人間が、150歳を超える健康寿命を手にするようになることが考えられます。

ただし、「死にたくても死ねない」未来社会において、人間の存在のあり方をどう再定義していくかが大きな課題になるでしょう。そんなに長生きしていったい、何をして生きていくんだ、もっと早く死にたいよ…、そんな声が聞こえてきます。

バーチャルリアリティ(VR:virtual reality)という言葉があります。仮想であるという意識を消してしまうほど、まさに現実感覚でリアルな世界を体験できます。極端なことをいえば、たとえ身体機能がなくなっても、脳だけ生存していれば、バーチャルリアリティの世界で人生をさらにエンジョイし続けられる時代が到来するとも言われています。

-ヒューマンオーグメンテ―ション(人間拡張)

人間の能力向上に関しては、東京大学大学院情報学環においても、「ヒューマン・オーグメンテーション(Human Augmentation)」の研究が開始されています。これは例えば、AIが人間の能力を超えるシンギュラリティにどう向き合うかというテーマとも密接に関連しているものだと思います。

従来は、コンピュータはあくまで人間が一定の目的のもとに組成したプログラミングに従って特定の機能を発揮する装置に過ぎず、人間の能力が全体としてコンピュータの能力を上回っていることが想定されてきました。

しかし、すでにコンピュータが自らディープ・ラーニング(深層学習)を行うようになり、2020年頃には言葉の意味を理解するようになるとされており、2030年頃には、これまでの機能特化型の人口知能から汎用人口知能へと進化し、2045年頃に到来するとされるシンギュラリティを迎え、AIが全体として人間の能力を上回るようになったときに、人類がAIに支配される時代が来ることも懸念されています。

このことの真偽はともかく、少なくとも、AI革命によってコンピュータ(AI)が人間の能力を上回っていく流れにある中にあって、「オーグメンテ―ション」により人間とコンピュータが一体化し、ヒトそのものが進化すれば、「人間+コンピュータ」がコンピュータ(AI)の能力を上回る状態が実現することになると考えることが可能です。これにより、人類はシンギュラリティで懸念される事態の克服へと向かうのかもしれません。

東京大学大学院情報学環の「Human Augmentation」という講座では、人間と一体化して能力を拡張させるテクノロジーの可能性が研究されています。これは、人間とテクノロジー・AIが一体化し、時間や空間の制約を超えて相互に能力を強化しあうIoA(Internet of Abilities:能力のインターネット)という未来社会基盤の構築を視野に入れた学問体系を目指すものです。

 具体的には、下図をご覧ください。同講座のホームページから引用したものです。

-人間が人間らしく思う通りに生きていける社会

ヒトが人体として有する機能は、①五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)により外界からの情報を得る、②思考、感性や直感などによってこれを分析・判断して意思を形成する、③身体機能(手足などの身体の動作、発声や表情・目つきなど)をもって外界に働きかける、というものです。これら人体機能には著しい制約があるため、人類は人体の外側に中間機能を生み出し、これら人体機能が中間機能を操作することにより、人類は生存と発展を確保してきたといえます。

いずれ訪れる未来社会では、ヒトは中間機能を操作することなく、ヒトと中間機能が一体化することを通じて、自らが本来具有しているこれら3つの身体機能のみによって、生存、発展していく存在へと変化することが考えられます。

自らの人間として有する力だけで、直接的な「手触り感覚」で思う通りに生きていく、そのような個人が好きなように人々と結びつき、直接触れ合っていく、こうした世の中が実現する可能性が科学技術の発展を基礎にして開かれていくかもしれません。

これは、人間のあらゆる営みが人と人、人とリアルな現実との直接の触れ合いによってなされていた、かつての人間社会に回帰する姿であるともいえます。

●「未来社会の番人」としてのサイバーセキュリティ

以上はあくまで、科学技術の発展が現実にもたし得る可能性の一端について素描してみたものですが、これが人類社会に本当に幸福な未来をもたらすかどうかは、高度に発達した情報システム全体を支える電脳空間の安全性と信頼性にかかっています。

ヒトと中間機能が一体化する「中間機能ゼロ社会」は、その背後において、多くの人々にとって目に見えないバーチャルな電脳空間が支配する巨大システムが支えることになります。情報空間と実空間が一体化し、人間(生体)と実空間(外界)との接触がより直接的になされるようになったとき、そして、ネットワークとつながる中間機能と人間とが一体化したとき、情報空間に対する破壊、攪乱、改ざん、盗取、成りすまし、フェイク情報の流布などの「攻撃」がもたらす被害は極めて甚大なものとなります。

 それは、人間に埋め込まれた無数のデバイスを通じて人間の生命に直接関わるだけでなく、人類の存続自体を直接的に脅かすものとなるでしょう。

現在、サイバーセキュリティは国家安全保障上の課題として、各国でも強く認識されるに至っています。また、サイバーセキュリティをビジネスとして数百の企業が各分野でツールやサービスの提供を行っています。

しかし、人類の未来社会に向けた科学技術の番人としてのサイバーセキュリティのミッションを強く意識した取り組みは、未だ不十分です。

 「第四の波」の到来に当たって、科学技術の進歩に人類が安心して未来を託せるようになるためには、サイバーセキュリティの進歩だけでなく、その「完成」が求められているとすらいえます。

まさに、「サイバーセキュリティなくして、人類に明るい未来なし」です。

 

詳細につきましては、松田学の新著「サイバーセキュリティと仮想通貨が日本を救う」(創藝社)の第1章「科学技術の進歩とサイバーセキュリティ」を、ぜひ、お読みください。

 

松田学のビデオレター、第90回は「気象と技術の想定外~不確実性をリスクに転換する将来投資を」

チャンネル桜713日放映。

 こちら↓をご覧ください。

 

 

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