この問題が最も先鋭に現われるのが財政です。今回は相手が「日本資産総研」でしたので、日本の金融資産の質の問題から財政を論じました。将来世代に向けて何も富を生まず、ツケだけを残す赤字国債(建設国債とは異なります)の累増(今年度末で531兆円)が、個人だけで約1,700兆円、全体では約3,400兆円にのぼる日本国の金融資産のポートフォリオ(資産選択)の質を劣化させているということです。私たちが資産を運用するときに、将来の富の形成につながらず、逆に将来の富を減らす(赤字国債の場合は税負担の増加)ような運用をするのは愚かなことだと、誰もが思うことでしょう。
だからこそ、財政再建とはすなわち赤字国債を減らすことだと再定義する。その一方で、将来に資産を残す建設国債の考え方に基づき、こちらは弾力化して、次世代に向けて必要な政府投資は増やすという「ツイスト・オペレーション」へと、財政運営を転換すべきです。そうしなければ、財政も経済成長もともに「持続可能」になる道は開かれません。そのために必要なのは、次世代の党として昨年の総選挙でも訴えさせていただいたように、政府の投資的支出をバランスシートで厳格に資産-負債管理をする「公会計改革」であり、メリハリの効いた国家経営システムの構築です。
今回の講演に対しては、①赤字国債が膨らんだ経緯についてお伺いすることができた点が参考になった、②消費税は国民から国民へのおカネの移転との理解が深まった、などの反響があったそうです。①とは、今から40年前に日本は赤字国債の本格発行に踏み切り、以後、財政法違反の「特例」が続いていますが、当時、本来は早期に償還すべき赤字国債までをも、建設国債と同じ60年償還ルールの対象に入れて「飛ばし」をした大蔵省の悪知恵のことです。おかげで、先進国最悪の財政のもとでも、私たち日本人は財政赤字の痛みを感じることなく膨大な借金を積み重ね、その処理にこれから苦しむことになるわけです。
②とは、消費税収は全額、社会保障給付に回りますので、誰かの負担が誰かの給付へと、右から左におカネが移転するだけという意味です。ただ、消費税率が低すぎて、大半を将来世代にツケ回ししてきましたから、それを是正するときには、その分の消費税収の増加は給付に回りません。全体で国民負担増になって経済に負荷を与えることになるわけです。増税先送りがいずれ国民を苦しめることになるメカニズムです。
詳しくは、講演をさせていただければ、ご説明します。
ただ、財政ペシミズムを言っていても始まりません。前述のツイスト・オペレーションを始め、様々な知恵や工夫が考えられます。それどころか、日本は次世代への新しい国づくりができるチャンスを迎えています。松田まなぶの講演は、経済財政金融、あるいは国際情勢に関する年来の主張に加え、日本が追求すべき未来の国家像とは何かを論じ、保守主義の立場から日本の政治に問われている本質的な課題は何かを明らかにするというのが、通常のスタイルです。臨機応変、日本の夢を語り合えればと思いますので、お気軽にお声をかけてください。
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この日は、その後、東京スカイツリーがよく見える錦糸町のホテルのレストランで、皆さまと楽しいひと時を過ごさせていただきました。
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