松田まなぶの論点 安倍政権は日本の立場の論理的発信も経済運営への責任も放棄するのか。~政府は言論 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

衆院内閣委員会 11月7日 一般質疑における松田まなぶの質問のポイント
答弁者:菅義偉・内閣官房長官、甘利明・経済財政担当大臣

[対菅官房長官]

1

○従軍慰安婦問題、河野談話

・政府が行った河野談話の検証作業の結果、日本側は、談話の作成過程において、一連の調査を通じて「いわゆる『強制連行』は確認できない」との認識を持っていたことが改めて確認された。
・先般の菅官房長官の答弁では、政府として河野談話を継承し、見直しはしないことの理由を、「日本は、強制連行は確認できないというその認識に立って、事実関係をゆがめない中でぎりぎりのすり合わせが行われて、このような文章になってきた。そういう未来志向のために、お互いが、まさに努力をして努力をしてできた文書である。」としている。
・つまり、未来志向で日韓両国が互いに努力したことを多としたいからという理屈になる。
⇒国益の比較衡量の問題。良好な日韓関係から得られる国益を、河野談話見直しで得られる国益よりも優先した、重視したことになる。
・少なくとも次の三つの論点がある。
・第一に、ならば、官房長官が先般、強制連行の事実を認めた河野発言が「大きな問題」と述べたことは、そう述べても、良好な日韓関係を損なわないことになると判断したのか。ならば、それによっても日韓関係が損なわないなら、河野談話のほうは、強制連行を認めたものではないと明言することがなぜできないのか。
・第二に、現状では、国益の優先順位が本当にそうだといえるのか。米国に住む母親からの声、国際社会における日本の名誉のほうが、優先されるべき国益ではないか。
・第三に、官房長官は、同時に、「政府として、こうした強制連行を示す資料はなかったということ、あるいは、慰安婦の総数を示す資料、それを推定される資料はないという客観的事実に基づいて、正しい歴史認識が構成されるように、日本の名誉、信頼回復を図るべく、それぞれの国に対してしっかりと今、広報活動を行っていっているところである。」と答弁。
・ならば、このような広報活動は、良好な日韓関係を損なわない、あるいは、広報活動によって得られる国益は、それによって損なわれる国益(良好な日韓関係)よりも、優先されると判断していることになるのではないか。
(問)従軍慰安婦問題について、強制連行の事実が確認されていないことが政府の公式見解であるならば、河野談話が強制連行を認めたものではないことを政府として明言すべきであることを確認したい。
⇒菅官房長官からは、「河野発言は強制連行の事実が確認されていないにも関わらず、事実として認めたから問題だ」としながらも、強制連行を十分に示唆しているように読める河野談話については、強制連行の事実を認めたものではない、と明言することはしないという、論理矛盾を来した曖昧な答弁。

3

〇国際社会での言論パワー
・そもそも、欧米などで、従軍慰安婦や南京虐殺で史実に基づいた議論を提起しようとするものなら、それ自体が胡散臭いとみられてしまうのが国際社会の現実。
・この状況に打ち克つには、日本の対外発信力、言説パワーは、相当、強化する必要。
・言論NPOは、フォーリンアフェアーズの発行でも知られる、世界に冠たる外交問題評議会から、日本で唯一、ノミネートされている機関である。
・北京東京フォーラム。今年で10年。日中で「不戦の誓い」
・2005年に小泉総理の靖国参拝で反日デモの中で始まった。両国が「テーブルの下で」、本音で語れる議論のプラットホーム。「公共外交」。
・しかし、外務省からは外交一元化の立場から圧力も。
(問) 「正しい歴史認識が構成されるように、日本の名誉、信頼回復を図るべく、それぞれの国に対してしっかりと今、広報活動を行っている」との官房長官の答弁について、政府として具体的にどのような内容を広報しているのか。歴史認識問題について、国際社会の先入観に打ち克つためにも、政府広報の強化だけではなく、例えば「言論NPO」が取り組んできたように、民間も含めて日本の各界各層が担うべき言論パワーを強化する必要があることについて、政府はどのように認識しているか。
⇒菅官房長官から、工藤代表の名を挙げて、言論NPOのことはよく承知しており、政府としても支援してまいりたい旨の答弁。

○日中関係
・この言論NPOの北京東京フォーラム。第二回東京で2006年に当時の安倍官房長官の発言が、胡錦涛に。その直後に総理に就任し、日中首脳会談が実現する伏線になった。
・当時も、小泉総理の靖国神社参拝が日中経済に大きな影響。「政冷経熱」から「政冷経冷」に。
・こんにちの尖閣問題も、経済界からは経済なんとかしてくれと悲鳴。
・外交については、日中首脳会談が開けない状況。「領土問題は存在しない」
・尖閣への毅然とした厳正な対応が長い目でみた日中経済関係にも資するとすれば、それはどのような論理か。
(問)かつては靖国神社参拝、近年では尖閣諸島の問題で、日中経済関係が冷え込んだとされるが、領土・領海、安全保障、伝統・文化などを含め、国家としての基本線を守ることが、経済や外交面への配慮とぶつかるケース、すなわち、「市場か国家か」という対立軸について、安倍政権は、両者の要請を調和させる上で、どのような論理を組み立てているのか。そのもとに、日中首脳会談の実現をどのように図っていくのか。官房長官の所見如何。

○地方創生と道州制
(問4)政府提出のまち・ひと・しごと創生法案に次世代の党が賛成したのは、道州制実現に向けて一層努力する旨、自民党の谷垣幹事長が山田幹事長に約束したからであるが、これを踏まえ、道州制推進に向けた安倍政権としてのコミットメントを官房長官に確認したい。

⇒菅官房長官から、道州制について従来よりも少し踏み込んだコミットメントをする答弁。

[対甘利大臣]

2

〇消費税率引上げと経済状況、安倍政権の経済運営

・安倍総理が法律で定めたことを実行するかどうかはニュートラルとしてきたが、そもそもこれは異常な状況。
(問)消費税10%への引上げ判断に係る経済状況の見極めに関し、7-9月期のGDPについて、何をどのような観点から見るのか。安倍総理がすでに法律で決まっている10%引上げについて中立的立場であるとしていること自体が、現状でアベノミクスが成功していない証左ではないか。
・7-9のGDPの数字をみてということだが、そもそも1年以上も前の統計数字で来年10月という1年後の経済情勢を判断し、それでその時点での増税の可否を判断すること自体に無理があるのではないか。
・この条文に意味があるとすれば、1年後にもほぼ確実に経済が停滞していると見込まれるほどの、例えばリーマンショック規模の経済へのマイナスインパクトが足元で生じている事態ではないということを確認するという意味。
・判断に迷ってきたこと自体、7-9月期にそれぐらいのレベルの予見されなかった変動が生じている可能性があると考えているということになる。足元でこれぐらいの深刻な経済悪化が起こっていると認識していることになる。
・だとすれば、日本経済は、アベノミクスで想定していた経済の流れから外れていると認識していることになり、アベノミクスは失敗だったと認識していることが論理的帰結になる。
・今回、消費税率を引き上げたぐらいで次の消費税率引上げを簡単に決断できない経済状況になったとすれば、それこそ、アベノミクスには効果がなかったことを立証するものではないか。
・加えて、7-9月期の経済指標を見極めることのもう一つの意味は、今回の8%への引上げのマイナスインパクトを踏まえて、来年10月の引上げのマイナスインパクトを見極めるということにある。
⇒しかし、足元の経済で起こっているのは、名目賃金の伸びが、消費増税や円安などによる物価上昇に追いついていないことによる実質所得の低下。
⇒これと同じ経済状況が1年後も続いているかもしれないと考えていることになる。そのこと自体が、敗北主義の経済政策。
・本来は、アベノミクスが成功し、来年10月には経済状況は改善している、あるいは、改善しているような経済運営を約束する、と言うべきもの。
・安倍総理は予算委員会などでも、名目賃金の上昇は物価上昇に遅れる、いずれ、追いつき、追い越す、と答弁。この答弁と矛盾。
・何十人もの民間有識者に聞いて右往左往しなければならないほど、自らの経済政策の効果にコミットできないのか。
⇒アベノミクスの効果を将来的にも自己否定していることになる。
(問)来年10月の時点での消費増税の是非の判断に迷っているのは、その時点になっても経済は改善していない、つまり、アベノミクスは結果として成功しなかったことになることを視野に入れていることになり、今後の経済運営に対するコミットメントが問われることにならないか。

 すでに、安倍政権は自己破綻している。

4