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そもそもノーベル平和賞とは、世界平和に貢献した者に授与されるものであるはずです。憲法9条は、日本の戦争放棄を規定したものですから、これが受賞されるとすれば、日本が戦争を起こすことをこの規定が防いだ、そのことが世界平和に貢献した、という実態がなければなりません。本当にそうでしょうか。
日本の現行憲法は第二次大戦終了直後の米国占領下において、日本が二度と侵略戦争をしない国にしようという意思のもとに、実質的には米国の手によって定められた憲法であることは周知のとおりです。その第9条が存在しなければ、日本は再び侵略戦争をして世界平和を脅かしただろう、第9条のおかげで戦後の日本は戦争を仕掛けなかった、という判断がなければ、これが世界平和に貢献したということにはなりません。
つまり、もしこれがノーベル平和賞の対象になるとすれば、そこには、日本人は好戦的で、いつなんどき自ら戦争を仕掛けるかわからない危険な民族だという前提があることになります。まさに、憲法制定時の米国占領政策の発想であり、戦後、日本が一貫して平和主義を貫いてきた国であることを否定する考え方ですらあります。
戦後の日本の平和主義は、憲法9条がもたらしたものではありません。あの悲惨な戦禍を二度と起こしてはならないという、日本の全国民の思いによるものです。侵略戦争を自らの意思で仕掛ける要素は、戦後の日本には皆無だと言っていいでしょう。憲法9条がなくても、日本はそのようなことはしなかったはずです。
もちろん、憲法9条があるから、湾岸戦争やイラクでの戦争においても、日本は軍事的な国際貢献をしなくて済んだ、日本が戦争に巻き込まれることがなかったのは憲法9条のおかげだ、という側面を否定するものではありません。しかし、それは日本国自らの平和、つまり一国平和主義は貫けたということであって、世界平和への貢献とは無関係ではないでしょうか。
むしろ、冷戦体制崩壊後の世界秩序のもとで安全保障の概念が大きく変化して以降、世界平和の維持のためには国際間の軍事的協力が不可欠になっています。日本がそれに参加することを制約している憲法9条は、日本が世界平和に貢献することを制約する要因ではあっても、貢献する要素であったとは言い難いと思います。隣家に強盗が入っても、自分は巻き込まれたくないと知らん顔、近所の人々がみんなで強盗退治に協力していても、自分だけは実力行使をしない主義だからと、そっぽを向いている。日本がそんな人だと認識されないようにしないと、国際社会での信頼を失うでしょう。
現行憲法がノーベル平和賞を受けるとすれば、それは第9条ではなく、前文だと思います。憲法前文は、全世界の国民の平和的生存権を確認し、どの国も「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と戒め、平和の維持などで努力している国際社会で日本が「名誉ある地位」を占めたいとの理想を謳っているからです。
但し、現行憲法は日本人自らの手で定めた自主憲法ではありませんから、授賞式に出るのは米国ということになるかもしれません。
いずれにしても、憲法第9条が受賞されるとすれば、それがなければ、戦後においても日本という国は世界平和の脅威になってしまうような国だったのだ、戦後に定着した民主主義のもとでも日本国民はそのような為政者を選んでしまうような民族だったのだ、という誤った認識を国際的に認めることになってしまいます。
憲法9条が受賞候補になったことは日本の誇りではありません。逆に、日本民族の誇りを傷つけるものだと思います。
私たちはそろそろ、日本国民自らの手で、世界平和に貢献する国家としてのあり方を明確にする自主憲法を制定しなければなりません。それによって、自分さえ平和であれば良いという消極的平和主義から脱し、世界に占める地位にふさわしい国際貢献をする誇りある国として自国を再定義する。もし、自国の憲法がノーベル平和賞を正当に受けることがあるとすれば、それが最低限の条件だと思います。
さて、上記とは直接関係ありませんが、次世代の党とみんなの党の有志による自主憲法研究会は、10月16日の第9回勉強会では、各政党や民間団体がこれまで公表してきた憲法草案を比較検討しました。その後、本研究会は、自主憲法案の策定作業に入っていくことになります。
次の国政選挙では憲法がテーマになることを祈っています。
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「第9回自主憲法研究会にて、松田まなぶが司会。」
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「挨拶する山田宏議員。この日は各政党や民間団体の自主憲法草案を比較検討。」