松田まなぶ フィリピン訪問<その1> | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

フィリピンの国会議員と次世代の党の議員が海洋の国際法秩序につき合意文書に署名

 9月1日~3日、私も含めた6名の次世代の党の衆議院議員がフィリピンを訪れ、議員外交として画期的な成果をあげました。天然ガスや石油の埋蔵が有望視され始めたスプラトリー(南沙諸島)では周辺国による領有権争いが続いていますが、特に、フィリピンが実効支配する海域で中国がさまざまなトラブルを起こしている点では、同国は日本の尖閣諸島と同様の脅威にさらされています。次世代の党としては、立場を同じくするベトナムなどの国々も含めて、東南アジア各国間で議員連盟を結成し、国際法秩序の維持につき連携関係を強化することを目指しています。その最初のステップとして、今回はフィリピンの国会議員への働きかけを行い、日本側は次世代の党の6名、フィリピン側は超党派で13名の下院議員による合意文書への署名にまで漕ぎ着けました。
 今回のフィリピン出張で得られたと私が考える成果として、少なくとも次の3点が挙げられます。第一に、それぞれの国の政府(与党)は、本件について外交上の立場から動くことが困難ですが、まさに民主主義によって選ばれた国会議員たちであれば、政府に先行して機動的に動くことができるという実例を構築したことです。この点で今回の日・フィリピン間で達成した成果は、東アジア諸国の連携に向けた環境醸成のまさにスタートになりました。
 第二に、結党間もない次世代の党が、野党の立場であっても、現実の行動として政府・与党に先行して国益実現に現実的な寄与をしたことです。これは事前に政府首脳や自民党とも調整をした上での本音の外交行動でした。ここに、次世代の党が打ち出そうとしている新しい建設的な野党のあり方、すなわち、政権の前を行って道を拓くという役割があります。
 第三に、フィリピンや当局から伝わってきた本音は、日本が安全保障面でも東アジア地域でのリーダーシップをとってほしいとの期待だったことです。中国・韓国から聞こえてくる日本の「右傾化」への懸念は、決してアジアの国際社会の主流ではありません。米国が東アジアから撤退する中にあって、この地域自らが新たな安全保障の秩序を構築する必要性はますます高まっており、この面での日本の貢献は国際社会こそが求めていることを痛切に感じました。

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「ベルモンテ・フィリピン下院議長と」

 今回はまず、合意文書署名までの動きについてご報告します。9月2日午前、ビアゾン(Rodolfog Biazon)下院国防・安保委員長を筆頭とする超党派下院議員5名と、私たちが宿泊したニューワールドホテルにて会談を行い、今回の訪問の最大の課題だった合意文書の文案を確定しました。ビアゾン議員は元上院議員で、フィリピンでは相当著名な大物です。同議員が「軍事的ではないにせよ、セキュリティー的な枠組みが必要」、「同盟締結」と発言するなど、フィリピン側議員からは、日本に安全保障のためのイニシアチブをとってほしいとの趣旨で、私たちよりもさらに踏み込んだ意見が多く出ました。当方からは、そのための第一歩と、繰り返し発言することとなった次第です。

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「ビアゾン(Rodolfog Biazon)下院国防・安保委員長ほか下院議員5名との会談(ニューワールドホテルにて)」

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「ビアゾン委員長」

 同日の夕刻には、ベルモンテ下院議長のほか7人の下院議員と会談し、中田宏・団長から、海洋秩序を国際社会の中で国際法に従って維持すべきとの趣旨を説明、フィリピン側議員からのコンセンサスを得ました。私からは、我々の次世代の党こそが東アジアの安全保障協力の構築の上で日本でイニシアチブをとれる政党であるということを期待してほしいと発言しました。これは今回のどの場でも三宅博議員が発言したことですが、日本は東アジアの安全保障の上で中核的な役割を責任をもって果たす、憲法改正も視野に入れていると発言するたびに、フィリピン側から強い期待と賛同が寄せられていたことも付言します。ベルモンテ下院議長自らは、自分が大統領、副大統領、上院議長の次の国内序列4位の立場にあることからサインできないとしつつも、他の7名の同席下院議員は合意文書に直ちにサイン、私も含め、当方も各議員がその場でサインしました。

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「ベルモンテ下院議長ほか下院議員の皆さんとの会談(フィリピン下院にて)」

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「右端がベルモンテ下院議長」

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「同席した下院議員の皆さま(全員が合意文書に署名)」

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「下院議長を中心に下院議員の皆さまと」

 こうしてできあがった文書が「海洋における法の支配を推進するための協力に関する協同文書」です。日本語訳は後記のとおりです。

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 9月3日、帰国直前にニューワールドホテルにて、私たちは記者発表を行いました。これは国際社会ではニュースバリューの高い内容です。フィリピンなど各国メディア約40人、日系メディアでは現地に支局のあるNHK、共同、日経の3社が参加し、多数のカメラの前で、私たち6名に加え、ビアゾン議員ともう一人、フィリピン側議員が加わり、日比共同会見となりました。いくつかの質問に対して、当方からは中田団長やビアゾン議員が答えていましたが、例えば、次のステップはどうなるかとの質問に対しては、日本側でも他の党に積極的に呼びかけて超党派で構成していくことになること、質問自体が皮肉な「中国への呼びかけはどうするか」との問いには、排除するわけではないとの、これも皮肉な答(同じ国際法秩序であっても、中国が考える法秩序の遵守では意味がないでしょう)、他国への呼びかけに関する質問については、「例えばベトナム」と答えました。
 残念ながら、この記者発表当日は、日本では内閣改造という政治日程が重なり、日本の主要紙の取り上げ方は少ないものになってしまいましたが、私が9月2日の夜に一行から離れて訪ねたマニラ市内の某巨大カジノホテルのカナダ人経営者(元米国インベストメントバンカー)に話すと、大変なビッグニュースだと驚いていました。

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「現地記者発表(ニューワールドホテルにて)」

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「多くの記者が」

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「記者発表席にて」

 なお、この記者発表は現地では大々的に報道されましたが、その一つとして、次をご紹介します。こちらをご覧下さい(私も写真に写っております)。

(ご参考) 合意文書(和訳)
「海洋における法の支配を推進するための協力に関する共同文書」
日本側議員とフィリピン側議員は,ともに四方を海に囲まれた海洋国家である日本及びフィリピンの両国が,法の支配,自由,民主主義,基本的人権の尊重といった共通の価値観を共有する重要なパートナーであることを確認した上で,海洋における法の支配の推進について協議し,以下の項目について協力・連携していくことに合意した。
1.双方は,海洋においては,①国際法に基づく主張,②力や威嚇を用いない,③紛争の平和的解決という法の支配が貫徹されるべきであり,力による一方的な現状変更の試みは許されないことを認識し,共通の認識に基づいて一層の連携を深めていくこと。
2.双方は,自国の政府に対し,上記1.の認識に基づいて海洋における問題に対処していくよう働きかけること。
3.双方は,自国の国会議員に対して,国際法に基づく海洋秩序を守り,推進するための「アジアにおける海洋安全保障のための議員連盟」の設立に参加するよう呼びかけること。
4.双方は,国際社会における海洋の国際法秩序の維持と発展のため,他の国々の国会議員に対して,議員間の国際交流等の場を通じて,上記3.の「アジアにおける海洋安全保障のための議員連盟」への参画を促し,自国の政府に対しては,他の国々の政府に同様の働きかけを行うよう求めること。