松田まなぶの論点 日本型IRで個人も地域も『自立』を軸とした活性化を | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

6月18日内閣委員会 IR(統合リゾート)法案「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(細田博之君外9名提出)
松田まなぶの質疑のポイント

◎自立とパターナリズム
・新しい政治の軸…もはや「大きな政府」か「小さな政府か」ではない。
 ⇒現在の日本にとって特殊状況的な意味ある対立軸は、「依存(パターナリズム)か自立か」ではないか。
・パターナリズムの一つに、危険があるからさせないという発想がある。
・例えば、カジノの解禁で合法的賭博が拡大することによる青少年の健全育成への悪影響、とりわけ「IR方式」は家族で出かける先に賭博場が存在する方式であるから、青少年らが賭博に対する抵抗感を消失したまま成長することになりかねないとの声。ギャンブル依存症を拡大など。
・法務省当局も「賭博行為が国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害する」(昨年11月の内閣委員会での平口大臣政務官答弁)⇒諸外国では賭博はどちらかといえば、個人の選択と自己責任のもとで行われる交遊行為としての位置づけが強く、少なくとも、勤労意欲を減退させるとの懸念はあまり聞かれないところ。
・余計なおせっかい。パターナリズム。社会の一部の例外の者に基準を合わせ、できる人もできなく規制してしまう。
・自立と選択の自由を社会設計の基本思想の一つとすべき時代。
・松田まなぶが提案者である「経済社会改革の推進に関する法律案」も、独立自尊の精神と自立を基本にネクストジャパン→経済政策や社会システム再設計→組み立てる改革のなかで個別の規制改革などの措置。これは日本維新の会の基本理念をプログラム法案化した金字塔。
・そもそも2001年には当時の石原慎太郎都知事が「お台場カジノ構想」。大阪でも2010年には府が「大阪エンターテインメント都市構想推進検討会」を設置し、府内にIRを立地する場合の課題や対応策等について検討。昨年6月には自民党にさきがけて維新がIR法案を提出したもの。



(問)日本維新の会がIR法案を先頭に立って推進してきた背景は何か。そこには「自立」を旨とする維新の基本思想があると考えてよいか。
[小沢鋭仁議員答弁(抄)]
まず、この審議入りに対して、松田理事に御尽力をいただいたことに敬意を表したい。我々は、自立というコンセプトを大事にしながら、勇気を持って改革に一歩進める、これが維新の会の精神だと思っており、このIR法案もそうである。その背景にはまさに自立の思想がある。



◎カジノの類型
〇健全、安心、安全な成人の娯楽の場
・IRの一部を構成するのがカジノ・エンターテインメント施設。
・懸念される事態は、①犯罪や治安に関するもの、②青少年教育に関するもの、③依存症に関するもの、に大別される。



(問)カジノ解禁に伴うリスクを心配する立場からは、IR施設は外国人向けを想定すべきとの意見も聞かれる(他方で、日本人が多数訪れなければ一定規模の投資は望めないとの見方もある。)一方で、賭博行為も、適切な規制と監視の仕組みを制度として設け、その施行を厳格に管理することにより、健全、安心、安全な成人の遊興とすることができることが先進国の事例で実証されているという見方もあり、民間事業者に国のカジノ管理委員会が免許を出す際には、それが国際基準と同等のものであれば、カジノで懸念されるデメリットは解消されるという意見も強い。(参考) カジノ解禁で懸念される事態を回避し、賭博罪に係る違法性を阻却し、その経済効果や公共目的を最大化させるために、いかなる類型のカジノを望ましい姿として想定しているのか。

(参考)
・内国人に一定の入場料を課す事例あり。
・自分の経験…先進国では入場者全員の本人確認。
・シンガポールや韓国など入口で全入場者にIDチェックを求める制度を採用している国や地域では、青少年教育に対するカジノのリスクはほとんど聞かれない。これに対し、ID管理を義務付けていない国や地域では青少年の中に一定のギャンブル依存者が存在することが指摘。
・本人確認で青少年の入場を排除。
・カジノはIRという高規格の施設群の一部を構成するもの。カジノの存在自体が地域風俗環境の悪化をもたらしたり、公序良俗の乱れにつながるとは想定しにくい。

[石関貴史議員答弁(抄)]
シンガポールにおいては、カジノ施設はIR全体のごく一部ということになっている。また、シンガポールのカジノ施設の入場に当たっては、厳格なIDチェック、本人確認、未成年者等入場制限をする。依存症の対策としては、自国民に対しての、自己排除、家族排除、こういったプログラムが導入をされている。加えて、入場料の徴収を行うということで、入場規制の措置がきっちりと講じられている。日本でも、このような万全の措置を講じた上で、ビジネス層やファミリー層を対象とした質の高いIR施設の一部としてのカジノ、これに限って認めていく、こういう考えである。



◎公的な目的
・賭博罪をカジノについて解禁するものなので、よほどの公的目的が明確である必要。
・特定観光産業振興議員連盟平成25年11月12日「IR実施法案に関する基本的な考え方」で示されている考え方。

(問)議連の「考え方」は、カジノがもたらす最大限のメリットを国や地方自治体、地域社会が享受できることを立法の目的としているが、それぞれどのようなメリットが想定されていると考えられるのか。さらに、カジノの収益の一部をもって地域経済の振興、国の財政への貢献、社会保障の充実や文化芸術の振興・発信力の強化にまで資すると具体的に書かれているが、それぞれどのような仕組みが想定されているのか。
[石関貴史議員答弁(抄)]
このIRを導入することによって、国際観光の振興、国際会議機能の強化、文化振興、魅力のある都市づくり、地域活性化など、これは幅広い波及効果が期待されている。
納付金や入場料の使途については、国民生活の安定、向上につながる社会福祉、文化芸術等、幅広く公益に還元されるとともに、治安や風紀の問題、依存症対策の費用に充てられることを想定しているが、具体的な中身については実施法の中で定められると考えている。



◎違法性の阻却
・賭博罪との関係:現行刑法は、「賭博及び富くじに関する規定」(刑法第185条以下)。
・公営ギャンブルについては、特別法により、刑法で禁じられた賭博罪・富くじ罪に該当する行為を合法化する規定が置かれているが、カジノについては、本法案によって、違法性阻却が十分に認められることになるのかが一つの論点。
公営賭博に関する法解釈との整合性を維持するためには、公営カジノとする、公の目的を具体的に明確化する必要があるとも言われる。
(すでに公認されている公営ギャンブルと比較して、目的の公益性、運営主体の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性・健全性、運営主体への公的監督、副次的弊害の防止といった観点から違法性の阻却は検討されるもの。)
・競馬や競艇などの公営賭博は、「公が施行主体」となり、「馬の改良増殖その他畜産の振興」等といった「公の目的」をもって、正当行為となり、違法性を阻却。
・カジノも公営にしろとはいわないが、その分、せめて公的目的はよほどしっかりしていないと理解が浸透しないのでは。
・例えば、カジノ収益でパチンコ対策の原資をねん出するぐらいの発想が必要。
・カジノ収益をギャンブル依存症対策に充てている諸外国の事例(スイス)もある。
・カジノ収益からの納付金の活用として、社会保障の充実や文化芸術振興といった抽象的な方針だけではなく、例えば、賭博依存症対策のために国の機関を創設し、その財源に充てること、パチンコを含めたギャンブル依存症対策の財源など、十分な大義名分のある具体的な公的目的を前面に掲げるべき。

◎観光立国と集積発展モデルと日本型IR
・成長戦略との関連でいえば、世界経済のパラダイム変化(産業革命に匹敵する情報通信革命とグローバリゼーション…サプライチェーン、産業ごとではなく生産プロセスごとに世界最適地生産による国際分業、集積を呼び込む都市機能インフラを備えた所、工業力の軸から知の価値が軸に、国民経済の概念自体が崩壊。⇒集積で発展するモデルの時代。
・集積を軸とした世界大競争の時代。広域経済圏によるグローバル競争。
・道州制のエコノミクス。
・道州制も見据えて地方の交流観光創出のゲイトウェイを狙う。



(問)道州制を展望した場合、カジノを含むIRが全国にどのように展開されることを想定しているのか。それぞれの地域によってさまざまな類型が考えられるのではないか。また、地方公共団体は事業者選定後にどのような役割を担うことが想定されているのか。

・一つの指標が都市機能の充実度。道路、エネルギー供給施設などの周辺インフラを含む。
・もう一つの指標が、周辺観光資源の充実度。IRの魅力度をさらにアップさこせるためには、周辺地域におけるその他の観光資源との連携が重要に。⇒大衆文化や食。

〇日本型IR
・観光立国推進閣僚会議の「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」(昨年6月)の中で、日本の観光資源のポテンシャルを活かし、世界の人たちを惹きつける観光立国実現の柱として「日本ブランドの作り上げと発信」が盛り込まれている。
・これをIR推進と結合させることも重要ではないか。
・MICEとの結合。宿泊施設、料飲施設、そしてアフターMICEのための様々な交遊施設を統合したかたちで展開されることが多い。現在、世界のMICE誘致競争において、地域におけるIRの有無は大きな影響。
・日本が観光立国として成功するために必要なのは、ハイエンドのリピーターを惹きつける仕組み。シンガポールにおける外国人呼び込みの仕組みは、第一に、医療ツーリズム、第二に、教育(世界の一流大学が同国に分校)。こうした仕組みのコンテンツの一つとしてカジノが埋め込まれているもの。
・医療ツーリズムやアンチエイジング、健康増進、都市農園など。
・やはり、日本の強みや魅力と組み合わせた「日本型IR」である必要。



(問)ヒトを呼び込むためには、それぞれの自治体が自らの売り物は何か、そのコンテンツを構築し、ハイエンドなリピーターが訪れるための仕組みを組み立てることこそが望まれる。まずはそれをベースに、カジノをそこに組み込むという発想が大事ではないか。日本や各地域の強みや魅力と組み合わせた「日本型IR」として、どのような姿をイメージしているのか。
[石関貴史議員答弁(抄)]
IR設置の具体的な要件は、数も含めて実施法の中で定めるということになっている。現時点で具体的な設置数については想定をしているというわけではないが、当初は限定的に施行し、その効果、課題を十分に評価、検証しながら、着実な施行を確認した後に段階的に設置数を増加するか否かを判断すべきであると考えている。また、事業者の選定の後も地方公共団体は、IR区域及びその周辺環境の健全化など社会問題を最小限に抑制するように取り組む、IR区域のみならず周辺地域全体の魅力を高めて、回遊性の高い滞在型の国際観光需要の掘り起こしにつながるような努力を引き続きするべきであると考えており、クール・ジャパンといったものをどのように、また世界にも発信していけるようになるか、こういったこと、官民を合わせて知恵を絞ってやっていく必要があるだろうと思う。

[松田より最後に]
このIR法案、一日も早くこれが成立することを最後に祈念する。これが日本の地方からの成長戦略につながること、日本維新の会と、分党になってしまうが、その点ではお互い共通だと思うので、今後ともよろしくお願いしたい。