松田まなぶの論点 独法改革で日本の行政改革をバージョンアップする | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 5月21日 内閣委員会及び総務委員会連合審査・独立行政法人通則法の一部を改正する法律案
松田まなぶの質問のポイント 答弁者:稲田朋美・行政改革担当大臣、新藤義孝・総務大臣


◎魅力ある職業としての公共分野の組み立て
・量的には先進国一の「小さな政府」の日本にとって行革の論理的な意味は。
・人類史上類例のない超高齢化社会の負担の問題を乗り切る
←世界に類まれなる「極小の政府」への日本のチャレンジ
←官の分野の生産性向上←人材の確保←魅力ある職業

◎人材確保の観点
〇再就職あっせん
・独法まで役職員に対する再就職あっせんを規制すると、民間から有能な人材が集まらないのではないか。こうした「身分」発想の規制は、人材流動化を進める現在の方向と反しないか(公務員のあっせんは規制すべき理由があるが、最初から民間人である者にとっては、邪魔な規制ではないか。)

(問)独法の役職員の再就職の現状如何。独法によるあっせんが広範に行われてきたのか。今般、これが規制されることになると、単年度管理型は公務員型であり別としても、特に国立研究開発法人の場合は、民間から有能な人材が集まらなくなる懸念はないか。⇒稲田大臣答弁
・日本版NIHについても参考人からは逆の方向の要請。
・総務大臣には法案の趣旨に即した柔軟な配慮を



◎創意工夫を引き出す組織か
・公務員改革も公務を魅力ある職業にすること。身分から職業へ。
・魅力ある職場となり良い人材+やる気を起こさせるような組織運営の設計。
・独法制度のそもそもの組み立てについて、企画と業務執行とを分離するという考え方は果たして正しいのか。政策目的そのものが間違っていたり、独法が実施すべきでないという政策手段がある場合もある。
・独法は目的は主務大臣から一方的に押し付けられ、事業実施の効率性に責任を持つものの、事業の適否については責任を負えない。それでは、創意工夫が現場から生まれることにならないのではないか。
・厚生労働省所管の独立行政法人雇用・能力開発機構「私のしごと館」を設置。赤字を垂れ流しとして批判。それを作った独法は問題?
しかし、もともと「目標」の中に入っていたもの。決めたのは役所の企画立案の側。企画立案に対して独法側の拒否権のようなものも必要との参考人意見もあった。
・企画立案と実施を分離すると言っても、実施の中にも実施のための企画立案があり、企画立案は実施の実態を踏まえなければ行えず、両者は画然と分けきれるものではない。両者の連携が重要。
⇒私たちは現場重視の考え方であるが、現場を重視するとすれば、中期目標の設定は、英国のエージェンシー制度のように、主務大臣と独法との協議によるべきだという考え方があるが、どう思うか。
政策レベルの企画立案力を独法自ら有している場合もあり、独法職員の意欲向上のためにも中期目標への独法による関与の仕組みが必要ではないか。
・私の代表質問に対して稲田大臣は「目標案またはその変更案を作成する際、主務大臣と法人との間で十分意思疎通を図ることとしており、実際の運用に当たっては、本陣の現場での創意工夫や自主性に配慮した目標設定が行われることが重要と考えている」と答弁されたが、ぜひ、そうしてほしい。
・しかし、大事なのは、制度仕組みとしてそうなることではないか。

(問)企画立案と執行とは完全に分離できないものである以上、目標設定に当たっては、単に法人の現場での創意工夫や自主性に配慮するとの方針のみならず、これを制度的に担保すべきなのではないか。⇒稲田大臣答弁
…政省令などで。




◎レスポンシビリティ―とアカウンタビリティー
「説明責任とは単に情報を開示することだけを意味するものではありません。一般に、責任に対応する言葉としては、responsibilityと、accountabilityがありますが、前者が職務の結果がおもわしくない場合に非難を引き受ける意味なのに対し、後者は、一定の職務について説明すべき権限と義務とを排他的に引き受け、違法あるいは不当な業務執行について然るべき事後措置を講じるという意味での責任を意味します。」
・この私の代表質問に対する答弁で、一定の答を稲田大臣は示した。

(問)本法案のように、法人側が目標設定に関与する法的立場が規定されていない以上、企画立案側に由来する問題が生じた場合のresponsibilityは法人側ではなく主務大臣側にあることを明確に示すべきではないか。⇒新藤大臣答弁
・PDCAサイクルは色々なレベルで存在する。今回の改革は、主務省におけるPDCAサイクルを新たに確立したもの。その意味では各省大臣の責任がより重くなった。

(問)今般の改革で、responsibilityとしての責任を負うのが各法人の長なのに対し、主務省のレベルでPDCAサイクルを確立することによりaccountabilityとしての責任を負うのが主務大臣であることが明確化されるという理解でよいか。第三者委員会による評価は、各大臣がaccountabilityを果たしているかどうかを対象とすることになるのか。また、日本国全体の視点から評価するためにも、これをさらに国会がチェックする仕組みが必要なのではないか。⇒稲田大臣答弁
・法人の長は業務執行について国民と大臣に対するresponsibility、大臣に対するaccountabilityを果たす。大臣は企画立案についてPDCAサイクルに基づいて国民に対するresponsibilityとaccountabilityを果たす。
→これを明確にしないと、主務官庁による介入強化を招き、独法の本来の趣旨を損う。ニューパブリックマネージメントの本来の趣旨にそぐわない。
・日本の独法制度にはそもそも国民や国会の関与の仕組みがないという欠陥があったとも指摘。

◎プロフェッショナリズムと官僚主導
・各独法ごとの第三者委員会による業績評価⇒誰にでも説明がつく運営は一見、透明性が高い。しかし、誰にでも説明がつくという客観性は、銀行の担保主義にも似たような弊害もある。価値判断を回避することで、責任を回避。新しい芽を摘んでしまう。
・資本金、従業員数、過去の実績、これまでの受注実績などの形式基準。新しいものは形式基準は不利。結果として、チャレンジングなものは救われない。
・その意味で、各分野の政策のプロである各省庁が業績評価。プロだからこそ有する眼力だから通じる。価値判断ができる部分がある。
・ただ、他方で、政治家が各省庁を支配する英国とは異なり、日本では各省庁は官僚主導。→だからこそ、今回、省益から国益へと公務員制度改革。
・独法への監督権限はないとしても、評価に名を借りた官僚の介入強化の恐れ。
(問) 今回の改革が、本来自立性を旨とすべき独法への各省庁による事実上の介入強化につながらないことを、どう担保していく方針か。⇒新藤大臣答弁



◎ニューパブリックマネージメント
・本来、官の弊害を是正する質的改革としての行政改革がNPM(ニューパブリックマネージメント)。
・独法制度が創設された当時、NPMが日本でも流行していたが、その後、NPMには様々な疑問が提示されるようになっている。
実は、英国でも、大臣と法人の長との間でのresponsibilityとaccountabilityの配分が整理しきれなかったことから責任の押し付け合いの弊害。
・官の最大の弊害の一つは、競争がないこと。公共的な事業として独占的に実施すべき、独占させた組織はその効率化を検証するという思想だけではなく、複数の機関に計画を出させ、それぞれが競争して成果を出すという仕組みは公共的分野にも必要ではないか。
→この仕組みに近づけるのが英国型のエージェンシー制度。トップを公募入札。

(問)独法を所管する大臣として、90年代から21世紀初頭にかけて流行したニューパブリックマネージメントの考え方をどのように評価し、その課題をどのように捉えているか。⇒新藤大臣答弁

◎総務省の行政評価の方針・体制について
・今回の法改正で、各独法が評価の疲れから解放されるメリットは確かにあるし、自分の経験でもそうだが…、
(問)今回の改正を受けて、横串横断的な評価に関わる総務省側では、評価の視点や方針、組織編制等について、いかなる改革措置を考えているのか。独法評価委員会は現行では毎年度の評価も行っているが、これが今回の改革で中期目標期間終了時のみとなると、全体として第三者的視点による評価体制は弱体化するのではないか。この懸念に対しては、総務省としてどのような説明になるのか。⇒新藤大臣答弁

◎画一的管理統制と個別的自主性柔軟性(多様性⇔制度の根幹にある画一性)
・⇒両者はややもすると二律背反的要請。
・主務大臣によるPDCAの強化は個別的自主性柔軟性によるバリュー創出極大化。
・他方で総務省としては横串横断の画一的管理統制…しかし、「現行制度は定型業務を繰り返し行う組織管理に適合したもの」(参考人)であることが時代の要請に合わなくなった。
・特に国立研究開発法人は、各機関の特徴を活かせる柔軟性が必要。イノベーションは国際競争の時代。競争入札で時間と労力と費用をかけた結果、研究事業のタイミングを失することもある。スピーディーに成果に結びつける工夫が問われている。情報公開もすべてを公開しないほうが良いケースあり。世界との競争の中で、公開のタイミングは独法に任せるべき面あり。成果の評価に当たっては、その分野の専門家の意見を聞くべき。どのタイミングでどのような成果を出すかという計画がそれぞれある場合あり。数値目標がなじむフェーズ(産業化に近い段階)となじまないフェーズ(何かを発見する段階)とがある。

(問)イノベーションの世界大競争の時代にあって、特に国立研究開発法人の評価に当たっては、各分野の専門的な見地から個別性や自主性を重視した柔軟な評価が必要となっているが、独法制度の通則的な管理統制・評価を担う総務省としては、多様性と画一性との間で適切なバランスをとっていくために、いかなる方針で臨むのか。⇒新藤大臣答弁

◎独法側のモチベーションと財務
・今般、創意工夫の促進に向けて経済的インセンティブの改善がなされたことは評価。
・自己収入の目標を達成して利益計上した場合には、運営費交付金から、一定条件を満たす自己収入を控除しない、剰余金の処理に当たり、経営努力として認定する部分ができ、中期計画期間を超える繰越も可能に、給与体系や役職員退職金も相当な弾力性を確保。
・独法にいたことのある者はみんな知っている事実。剰余金を計画終了期に計上すると財務省に召し上げられるので、いかに使うか。
⇒これが最大のムダの原因。これが是正されることが最大の改革。

(問)独法自らの経営努力によって発生する剰余金については、今回の改革により、その一部を独法の取り分として認める等の措置だけでなく、これを評価基準に組み込んで独法のパフォーマンスとして積極的に評価する考え方を打ち出すべきではないか。
・管理会計的な手法を導入してコスト把握を充実強化→コスト削減をパフォーマンスとして評価など…。
・企業の成否も運営んでの巧拙で決まる。大事なのは運用。

◎横串第三者委員会の本来の役割
…それは独法の統廃合、合理化 行革の上ではこれも重要。
・「国から地方へ」では、地方ができることは地方で。「官から民へ」では民間ができることは民間で。独立組織でできる業務は「国から独法へ」⇒独法から民間へ。独法は、民間に任せていると十分な供給が果たされないもの、あるいは、独占的に実施すべきもの。
・民でできることは民での考え方で今後、組織のあり方の見直し、廃止、民営化、他の主体への移管などを検討していくことになっているが、例えば、どの独法が念頭にあるのか。
・英国型のニューパブリックマネージメントの考え方を徹底するならば、そのトップを企画書とともに公募して競わせるべきである。

(問)これまでの評価を通じて独法の廃止、民営化、他の主体への移管などにつき、どのような検討が行われ、今後、どのような方針で臨む考えなのか。⇒新藤大臣答弁



◎行政改革・財政再建
・昨年末の時点で、日本の家計金融資産は1645兆円、民間非金融法人(944兆円)、政府(530兆円)合わせてグロスで3,100兆円。
 家計1645兆円のうち預金等874兆円 金融部門から政府に国債などで965兆円。
・今年度末国債発行残高780兆円のうち500兆円を超えるのが特例公債。
・非生産的な運用。タコが自分の足を食うような運用。ポートフォリオの質が良くない。
・その改善。16兆円もの地方交付税交付金(一般会計の17%弱。社会保障関係費は30.5兆円で約32%)。地方債の元利償還の後年度負担の交付税措置。
・民間資金等活用事業推進機構の最大の悩み。
・みんな地方債へ。簡単、安易。リスクウェイトゼロ。
・蛇口を締めないと、金融資産→国債→地方の国依存。

(問) PFIやレベニュー債なども含め民間資金活用スキームの進展を妨げているのが、地方債や地方交付税制度などに安易に依存できる現行の地方財政制度であり、地方の自立の観点からも、その抜本改革こそが日本の行政改革に求められている課題ではないか。総務大臣の見解を問う。⇒新藤大臣答弁