松田まなぶの論点 都市の魅力で人々を集住へと惹きつけるために | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

4月9日衆院国土交通委員会 コンパクトシティー法案等審議
松田まなぶの質問のポイント

  
 人口減少と高齢化で一人当たり社会的コストが高まる郡部から撤退し、都市部に人口移動を起こす。そのために魅力的な価値を各都市が組み立て、人口の吸引を促す。各都市ごとにテーマ設定が重要。
 単にインセンティブを整えても効果無し。各都市が自らのバリューをどう定義するか。まさに「自立」が必要。
  それを考える上で、国としても、何のためのコンパクトシティーなのかを体系的に示す必要。

1

〇何のためのコンパクトシティーなのか
・コンパクトシティー化は何を目的にしているのか。
・コンパクトシティーには、環境、経済のみならず、多様な政策目的。ゆえに、分野横断的に横串を通すものとして、諸外国での成功例にもみられるように、各政策分野の上位計画としての位置づけを与えるべきではないか。

(問) コンパクトシティー化には多様な政策目的が想定されるがゆえに、分野横断的に横串を通す政策として、各政策分野の上位計画としての位置づけを与えるべきではないか。
⇒太田大臣答弁。
2

〇エコノミクスとしてのモビリティー
・インフラ投資と社会的コスト:「列島強靭化」によるインフラ投資も、場所を選ぶべき。一定以上の人口がなければインフラ整備はすべきでない。
・国土強靭化計画も、日本全国の強靭化は広すぎて財政が持たない。むしろ大事なのは、都市強靭化。

(問) 列島強靭化に当たっては、都市など一定以上の人口規模の場所にインフラ投資の「選択と集中」を行う必要があるのではないか。そのような考え方は列島強靭化政策の中に明確に位置づけられているのか。
⇒持永・内閣官房内閣審議官答弁。
3

・マイナンバー制度について、他のシステム(民間、自治体、地域拠点など)との接合性を早急に構築することで、モビリティーのある社会を。

(問)都市中心部への集住促進の前提は人口のモビリティーであり、そのために、マイナンバー制について、他のシステム(民間、自治体、地域拠点など)との接合性を早急に構築することを検討すべきではないか。
⇒向井・内閣審議官答弁。
4

〇道州制のエコノミクスとしての集積による発展モデル
・日本は人口減少している。この状況下で効率よく経済発展させるカギは、都市への人口集中。そこに規模の経済の利益が生じる(収穫逓増、費用逓減のメリット)。福祉のコスト、技術革新の起こりやすさでも有利である。日本の経済成長は都市にかかっている。
・「稼ぐ都市」の構築で、地域に分配する資源を増やす。ばらまきの分散投資では効果が薄く、特定都市への集中投資の方が効果が高い。

(問)「都市への集中」、デコボコがあってよい、という考え方に向けて、政府として国土の設計思想の抜本転換は行ったのか。これに反する設計思想の「多極分散型国土形成促進法」(昭和六十三年六月十四日法律第八十三号)が未だに存在すること自体が時代に合わなくなっているのではないか。国土交通大臣としての所見如何。

・道州制は成長戦略そのものである。道州制で何を目指すか。
・人口を集中させるべき都市の選択⇒乱立すると選択と集中ができない。集積都市を特定するのが道州制。
・グローバル経済で競争できる広域経済圏を構築。特定都市への集中を起こすのが道州制。集積の裾野を広くとることが道州制のエコノミクス。
⇔他方で、それ以外の郡部は衰退。

(問)道州制のエコノミクスが集積の裾野を広くとることだとすれば、集積地(中核都市)とそれ以外の地との間の格差拡大が必然的な帰結となることについて、どう考えるのか。政府として、将来の道州制に向けて、道州内格差拡大への対応として何を考えているのか。
⇒関口・副大臣(内閣府担当)答弁。
5

・「集積による発展モデル」の時代に入った以上、集積地以外の地の発展モデルは、「集積地の活力をいかに活用するか」ということになる。したがって、都市への人口・機能集積が、それ以外の地の活力向上にもつながるよう、中核都市以外の都市や郡部が「中核都市への戦略的依存」(単なる依存ではなく、自らの地域の自立的発展を図るための依存)をいかに実現できるかが課題になる。そのための環境整備として、道州内のネットワークインフラ機能を強化する。(例えば、二地域居住の推進のためには安価で便利な交通インフラ網が有効)

(問)集積地以外の地が中核都市への戦略的依存で活性化するためには、例えば、高速道路の利用料金の定額化を推進するなど、国土交通省としても、人やモノの移動性を高める施策を検討すべきではないか。
⇒徳山・国土交通省道路局長答弁
6

〇課題先進国としての「活力ある超高齢化社会の運営モデル」の構築
・「寝かせれば寝たきり老人」、「歩かせれば歩く老人」、「働かせれば働く老人」。これが持続可能な社会を構築する要諦。
・社会の高齢化に伴って人々の間で高まっている時代的なニーズ。
第一種住宅地域は、かつて、鉄道会社系列の大規模開発が各電車沿線に繰り広げられてきたエリア。住居区分と商業区分の分離・区別が住民の住環境整備には不可欠という思想で、開発が展開。
・それがいま、人口ボリューム最大の団塊世代が多く住むエリアと化そうとしている。商業インフラがない住環境の中で、団塊の世代は老後の生活を営まなければならない状況に。
・かつての多くの開発物件は、駅からバスで移動して3㎞以上のエリアがほとんど。駅前中心に構成されている地元商店街との接点を持ちにくい地域構成。
・他方で、平成モータリゼーション。駅前を中心とした商業拠点が、郊外でのミドル世代を中心にした生活環境にはそぐわなくなり、駅から5㎞以上離れた広大な土地で、大規模かつ高品質のテナントを集積した商業施設=ショッピングモールの開発が盛んに。
モータリゼーションに頼りきった大型店は、高齢者のライフスタイルには合わない。
多くの高齢者に対し、商業施設などへの接点や利便性のあるアクセスを、新たにどう構築するかを考えなければならなくなっている。
・高齢者自身の利便性という視点からみても、都市の中心市街地に高齢者が歩いて回れるまちを形成し、そこに高齢者居住を呼び込むことが望ましい。
・世界で最も長寿の地域はニューヨークの中心部だと聞いたことがある。そこには、高齢者にとって、歩くだけで日常に必要なすべての用が足せるとともに、さまざまな刺激に満ちた街がある。歩いて回って毎日刺激がある。そんなライフスタイルこそが元気で健康な高齢者を生み出し、それが結局は、医療費など社会保障負担を軽減することにもつながる。
・外延化した居住を中心市街地に呼び戻すバリューを、高齢者向けに組み立てる。答は、まちの中心部に、高齢者が歩いて回れる商店街を、コミュニティゾーンとして再生することにある。

(問)超高齢化社会の拠点としての「まちづくり」にふさわしい都市構造の設計として、具体的にどのようなモデルを考えているのか。
⇒石井・国土交通省都市局長答弁。
7

〇医療・福祉の連携モデルで商店街を元気に。
・地域ぐるみでの住民参加によって医療・福祉が支えられるコミュニティー・タウン
松田まなぶが取り組んできた商店街活性化のために商店街に呼び込む機能
①開業医の呼び込みと定着
②在宅医療の展開
③病院との連携
④地域コミュニティー一体型福祉施設・デイサービス
⑤介護施設の導入と医療も含めた相互連携
⑥見守りネットワーク・情報サービス事業
⑦高齢者コミュニティーハウス
⑧入居住宅の整備・運営
⑨情報機能
⑩ボランティア活用機能
⑪コミュニケーションの場づくり機能

(問)医療・福祉を連携させて高齢者を包括的にサポートする施策を、本法案の都市中心部のまちづくり施策と有機的に結合させる政策スキームが必要なのではないか。そのような場として商店街を想定し、その活性化施策とも組み合わせるべきではないか。
⇒佐々木・経済産業省大臣官房審議官答弁
8

・商店街の不動産の借主を「まちづくり会社」に一元化すれば、空き店舗や空き地の所有者は多様であっても、利用権が集約化し、商店街活性化の視点からの計画的な活用と統一的な運用を図ることが可能になる。
・その際、まちづくり会社との契約関係において、定期借地借家制度を活用すれば、契約期間終了後に店舗や土地は貸主に確実に返還されるため、所有者は安心して不動産をまちづくり会社に貸すことができるようになる。また、従来は固定賃料で貸し出される場合が多かったのが、こうした制度のもとでは、まちづくり会社から事業収益に応じた収益を受け取る形をとることができることになる。これは資産価値をも向上させることにもなる。

(問)商店街活性化の上で、商店街の不動産を「まちづくり会社」が一元的に定期借地権や信託によって活用することが有効と考えられるが、それはどの程度進んでいるのか、進んでいないとすれば、その理由は何か。
⇒佐々木・経済産業省大臣官房審議官答弁

・所有と利用の分離を進めることができれば、商店街は自らの有するさまざまな潜在力を大きく開花させられることになろう。「商店街はまちづくり運営会社になろう」商店街全体が栄えれば、その構成員も栄えることになる。

〇本法案の政策手段としての体系性
・容積率を定める建築基準法、景観法、市街化区域を定める都市計画法、中心市街地活性化法、「都市の低炭素化の促進に関する法律」(すでにコンパクトシティーを打ち出している)、地域公共交通活性化法案など、さまざまな法律や制度が重層しているが、優先順位如何。本法の居住誘導区域が最優先なのか。大都市については国家戦略特区といかなる連携、整合性をいかなる体制で図るのか。

(問) 都市整備については建築基準法、景観法、都市計画法、中心市街地活性化法、都市低炭素化法、今回の地域公共交通活性化法案、国家戦略特区等の特区制度など、さまざまな法律や制度が重層しているが、今回の都市再生特別措置法改正案との優先関係如何。各種法制度を統合する包括立法をする必要はないか。この法案に関して、既存の制度を含めた都市関係の法体系を一般有権者に分かりやすく説明できるのか。大臣の言葉での説明をお願いする。
⇒太田大臣答弁。