松田まなぶ 公務員制度改革をめぐって、見落とされている本質論を提起 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

 衆議院では11月22日から国家公務員制度改革法案の審議が始まり、27日は野党各党から質疑、私からは45分、質問というよりも、菅官房長官や稲田行革担当大臣を相手に、この法案そのものよりも、公務員改革の「そもそも論」について、議論を楽しませていただきました。国会論戦で楽しんだというのは不謹慎かもしれませんが、官僚をめぐる議論については、多くの方が重要な論点に迫れず、目前の矛盾の背後にある「主要矛盾」から現実的な解決を見出す建設的な議論が極めて少ないのが現状です。私が日ごろから考え、発信もしてきた内容を、伸び伸びと閣僚たちにぶつけてみた次第です。

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 質疑の模様については、こちらから「松田学」を選択して動画をご覧ください。
 
 前夜の特定秘密保護法案の衆院本会議での採決に際して維新の議員が全員、退席した翌朝からのこの日の内閣委員会、重要法案ということで冒頭から審議に復帰させていただきましたが、この政府提出法案は、自民党が野党時代に、みんなの党とともに提出した法案から改革が大きく後退しています。維新の会の議員や他の野党議員からも、さっそく、この点を追及する質疑が次々と行われましたが、私からは、公務員制度が国家の重要インフラであるだけに、その改革にあたっては、「設計思想」にさかのぼった基本的論点を国会で議論しておくべきだと思いました。
 また、公務員制度そのものが、ときに相互に矛盾するさまざまな変数が入り乱れた複雑な連立方程式のようなものであり、この法案で新たに設置される「内閣人事局」がどう運営されるかが、改革が遺漏なきものになる上で極めて重要です。内閣人事局を実際に所管することになる官房長官に対し、その上で十分に踏まえておくべき論点をぶつけ、改革がもたらすマイナスの面をカバーする上で心得るべき点について、釘をさしておきました。

 質問のポイントについては、こちらにまとめましたので、ご覧ください。

 質疑の冒頭では、公務員制度の議論に入る前に、「行政改革」といえば、公務員の定数や人件費の削減がイメージされますが、そうした量的削減の改革について、まず、私から、資料を配布して、日本の実態にきちんと目を向けるべきであるとしました。実は、日本はOECD加盟30数か国と比較しても、量的な規模や数字では、先進国で最も「小さな政府」の国です。このことはあまり知られていません。私の指摘に対して、出席の議員たちの間からも、「目から鱗」の溜息が出ていました。

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 日本の議論でときに不足しがちなのは、現実のデータを踏まえた議論です。日本がいま本当に考えなければならない「行革」とは何なのかも、これに基づいてなされる必要があります。もちろん、私も、政府の量的規模をさらにスリム化することに反対しているわけではありません。しかし、それは「小さな政府」を世界で類まれなる「極小の政府」にすることを意味します。そのためには、ムダの削減を唱えたり、数値目標を掲げたりするような手法では、効果はもう限界にきています。
 だからこそ必要なのが、システム全体の大改革なのです。例えば、マイナンバー制度を活用して所得再分配を「給付付税額控除」に委ねる大改革をすれば、社会保障給付関係の人員の大幅削減が可能になります。日本維新の会が主張しているように、社会や制度の仕組みを根本から組み替える大胆な改革への覚悟が問われます。
 量的削減の行革のこんにち的な意味はそこにこそあることを私は主張しました。そして、いま「行革」のフィールドに問われているのは、「大きな政府か小さな政府か」というレベルの議論よりも、新しい時代に対応できる「機能する政府」に向けたに質的な側面の改革であり、そのためには、日本がいかなる国、いかなる社会をめざし、その上で政府はどのように機能する存在なのかを明確化した上で、その視点から何がムダで、何が足りないのかを見極めるという意味での行革こそが問われているはずです。政府の規模は、その結果として決まるものでしょう。公務員制度も、こうした機能する政府を機能させる手段としての機能性向上という視点で改革を考えるべきものです。
 そもそも、公務員制度については、官と民が相互に出入りするシステムか終身公務員を前提にするシステムかという点でも、相互に矛盾する2つの設計思想があります。そのいずれを採るのか、この改革がそうした設計思想の観点からはどのように位置づけるのかという基本的な議論も行われていません。政治への応答性を高める改革は重要ですが、それとぶつかるのが、「専門性」であり、これは「公務員」という身分ではなく、各行政機関が担当する専門分野や社会システムにおけるキャリアアップと関係するものです。

 いまの日本に必要なソリューションとして、私は「プロフェッショナル」という概念を提起しました。縦割りを打破し、省益でなく国益を追求する公務員像が政府提出法案の趣旨とされていますが、グローバル化が進展する21世紀にふさわしい公務員像は、ゼネラリストでもスペシャリストでもないプロフェッショナリズムにあることを肝に銘ずる必要があります。
 また、省益と言っても、では、通常、悪い意味で使われる「財務省の論理」は果たして省益なのか、これは財務省がその立場として担ぐ財政健全化という論理だが、財政健全化それ自体は国益ではないか、と迫りましたところ、菅官房長官はそれを認めました。「財務省の論理」が省益ではなく国益と、こうした公式の場で表から認められたのは、前代未聞のことかもしれません。私は何も、財務省を擁護するつもりではありません。政府部内には色々な意見があるべきであって、それを活発にぶつけ合うことが大事であり、各省庁それぞれの立場から、省益ではなく国益を主張することに、官僚たちが委縮してしまってはならないという意味です。最後に総理が決めて、リーダーシップを発揮すれば良いのです。
 この点、菅・官房長官との間で、きちんと確認がなされました。

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 私は、幹部公務員に対して内閣の人事権を明確にし、公務員人事を内閣官房に一元化することで官邸のリーダーシップを高める今回の改革の方向そのものには賛成です。日本維新の会が考える統治機構の改革を進める上でも、公務員人事についてのこのような体制がプラスに働くはずです。それだけでなく、このような改革方向を打ち出すにしては、本法案では不足であり、2010年の法案に比べて改革後退との批判は免れないと考えています。
 しかし、改革をするなら、そのための覚悟が問われます。それを質す趣旨の質疑をさせていただきました。いずれにしても、ご関心のある方は、「質問のポイント」をぜひ、クリックしてください。
 この法案、会期延長がない限り、参院での審議も必要ですから、今国会での成立は日程的に不可能になりました。そもそも、国家戦略特区法案と同様、政府の閣議決定は11月5日と、53日しか会期がない今臨時国会が始まってから20日も経過した時点でした。重要な両法案とも内閣委員会で順次、審議されるわけですから、最初から、公務員制度改革法案のほうは、政府にやる気があるのかと思わせるものがありました。やる気があったとすれば、与党の国会軽視との謗りを免れないのではないでしょうか。

 よりよき国家インフラの構築に向けて、今後とも維新の立場でできることに全力で取り組んでまいります。