松田まなぶの論点 3月26日財務金融委員会質問項目(対日銀総裁) | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

(問1)「決められない政治」、「日本化」、「内向き」という言葉が日本について言われてきたが、黒田総裁はアジア開発銀行総裁として、国際社会から日本の政治や経済の現状をどのように見ていたか。

(問2)金融政策はデフレ克服の必要条件の一つにはなるが、十分条件ではなく、その中で2%目標の達成を総裁が断言しているのは、政府の政策にも日銀総裁として物申す決意を示しているものなのか。

(問3)リーマンショック後の欧米金融当局によるマネタリーベースの拡大が世界に過剰マネーを生み、世界経済を不安定化させてきたとの見方について、どう考えるか。

(問4)2%のインフレ率目標達成のためには国内のマネーサプライをどの程度増やし、そのためにはマネタリーベースをどの程度拡大させる必要があると考えているのか。

(問5)日銀が国債購入で長期金利を上昇させない(国債の価値を保証)金融政策をとってきたことが、銀行にとっての国債運用の魅力を高め、結果として、銀行のリスクテイク、信用創造を阻む一因になってきたのではないか。

(問6)単にマネタリーベースを拡大するだけでなく、信用乗数を高めていくべく銀行に信用創造を促すなど、金融部門から非金融部門へのマネー供給を増やすための措置が必要だが、日銀としてはどのような対応を考えているか。(総裁はイールドカーブ全体の引き下げ、リスクプレミアムの引き下げを会見で挙げているが、具体的内容如何。)

(問7)デフレ克服のために政府が有する貨幣発行特権の活用(高額政府紙幣の発行、丹羽春喜・大阪学院大学名誉教授が提唱する貨幣発行特権の日銀への売却など)が学者などからも種々提案されてきたが、こうした議論について黒田総裁はどのように考えているか。

(問8)総裁は2%のインフレ率目標を2年で達成することが好ましいとしているが、物価上昇2%のためには実質で2%の成長を何年も続けなければならないという説もある。今後継続的に想定すべき実質成長率は2%程度、名目で4%程度の成長と考えているのか。それをどのようにして2年で達成しようとしているのか。

(問9)経済にとっては物価そのものより意味があるのは名目成長率であり、目標設定は物価ではなく、名目成長率について行い、政府と中央銀行がそれに共同責任を負うほうが経済の理屈に合っているという見方もあるが、これについての見解如何。

(問10)長期金利が名目成長率を上回るなら、経済成長でかえって財政は悪化することになり、これは「良い金利上昇」でも「悪い金利上昇」でも同じではないか。期待インフレ率の高まりが長期金利に与える影響をどう見込んでいるのか。インフレ期待を高めても長期金利が名目成長率を下回る状態を維持することをどう確保するつもりなのか。

(問11)日本国債を保有する海外勢や当局などからは、2%の物価上昇率目標が日本の長期金利を上昇させ、保有国債を減価させることを懸念する声は聞かれないか。日銀として、そうした懸念を払拭できるだけの政策対応や金利動向の先行き等に関するシミュレーションを示すべきなのではないか。

(問12)長期金利上昇による経済財政破綻シナリオを回避するためには、日銀が金融政策で相当な無理をして人為的低金利政策を続けなければならないのではないか。それが経済にもたらす副作用(過度な円安、それによる所得の海外漏出、資産バブル、生産性の低い部門の温存等)をどのように認識しているのか。

(問13)資源価格の高騰など外生的要因によるコストプッシュインフレが見込まれる場合でも、2%インフレ率目標達成の政策を続けるのか。もしそうだとすると、生産性上昇を伴わない物価上昇の部分を容認することになり、その分、実質賃金が低下し、経済の収縮要因(デフレ効果)を発生させることになるのではないか。

(問14)2%のインフレ率達成の際に想定される品目種別ごと(耐久消費財、食料などの生活必需品、サービス、公共料金といった分類)の物価上昇寄与度について、概ねどのような想定を置いているのか。技術革新など構造的な価格下落要因を除去すれば、需給要因でどの程度のインフレ率を見込めば、結果として全体で2%の物価上昇になると考えられるのか。

(問15)総裁は日本の資産市場に大きなバブルが生じる懸念は現在のところはないとしているが、現に、アベノミクスによる資産効果が現れ出しており、今後、大胆な金融緩和を進める過程でバブルが発生しない保証はないのではないか。その場合でも、資産効果でインフレ率が2%になるまで量的緩和政策を継続するのか。バブルとの関係で金融政策を判断する目安はどのように想定しているのか。

(問16)近年、GDPデフレータが大幅に低下している原因の一つとして、海外への所得漏出の増加が指摘されており、国際競争力の低下がデフレの原因であるとも言われている。為替レートが各国間の相対的な通貨量の差によって決まるとすれば、大胆な金融緩和が円安を進行させ、交易条件の悪化を通じて海外への所得漏出を増大させることになり、デフレ克服に逆行することにならないか。

(問17)[対中曽副総裁]デフレ克服に向けて日銀の組織の論理から脱皮する決意と覚悟を問う。