松田まなぶ 平成25年年頭所感 ~興国への決意と実行へ、「脱皮」の年~ | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

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 新年を迎えましたが、巳(み)年のキーワードは「脱皮」だと言われます。
 
 振り返れば、前回の巳年は2001年、21世紀最初の年でした。しかし、「21世紀のニッポン」への脱皮は果たされず、その後も90年代からの「失われた10年」が「失われた20年」になるような事態が続きました。

 私自身も、このままでは「失われた日本」になりかねないという思いから、01年の言論NPOの設立から始まって、霞が関にいながらも傍らで政策論を形成・発信する営みを続け、ついに、財務省を辞めて政治に挑戦するに至る流れを歩んだ、21世紀最初の12年となりました。
そして、今年は、衆議院議員として「脱皮」の年を迎えることとなりました。


●いよいよニッポン組み立ての局面へ

 日本全体も、いよいよ、これまで先送りされてきた課題に向き合い、すでに持続可能でない「戦後システム」を組み替えて全体システムを再設計する「組み立て」の局面へと、脱皮するときが来たと思います。

 2013年は癸巳(みずのと、み)の年ですが、これは東洋では、新しい仕組みや秩序の姿が徐々に見えてくる年であり、大きな潮流を人々が実感する年であるとされているそうです。
まさにその通りの年にしたいと思います。

 私たち日本人は、未曾有の超高齢化社会など、これまで人類が経験したことのない経済や社会へと日本が突入していくことを前に、この12年、逡巡を続けてきました。政治は方向感を見いだせないまま迂回を続け、国民が期待した民主党政権は日本を後退させました。デフレ経済に象徴されるような停滞と閉塞状況の根底にあるのは、日本の次なるストーリーが描けていないことにあったと思います。

 しかし、この12年は、今回の脱皮に向けた準備の期間であり、この間の逡巡や試行錯誤は決して無駄ではなかったと思います。もう待ったなしです。今やらなければ間に合わない、でも、今やれば十分に出来る力が日本にはまだある。


●課題に向き合う政治へ、有権者の意識変化

 変化の潮流は、すでに昨年の衆議院選挙でも私が感じたところです。私が街頭演説を繰り返しながら感じたのは、有権者の意識の変化でした。

 消費税に反対、原発に反対、TPPに反対、それを言っていても答がないではないか。だったら、どうするのか。大事なのは、課題に向き合い、答を出す政治ではないか。それら個別の問題への賛否で国論が二分する前に、その根本にある問題にしっかりと取り組むべき時期だ。それは日本の国力の衰退と国家としての劣化である。「目の前の矛盾を解決するためには、背景にある大きな主要矛盾に手をつけなければならない」との毛沢東の矛盾論に石原慎太郎代表が言及している通りだ。だから、「賢く、強く、したたかな」日本なのである。もう、「不都合な真実」を隠して先送りする、これまでのごまかし政治は許されない。求められているのは、国民に真実を語り、発信する政治であり、経験と実績を備えた実行力のある政治だ。一緒に課題に向き合い、ニッポンの希望を創っていこう。

 上記は、私が選挙の最中に、南関東比例ブロックの神奈川県や千葉県の各地の街頭で訴えてきた主張の一部です。日本維新の会は、同ブロック比例枠22のうち5を獲得、全国の得票数では、1200万票もとりました。自民党は小選挙区制のマジックで圧勝しましたが、実際には得票総数の比率でみると、3割の有権者しか支持していないことになります。

 驚いたのは、国民的人気の高い橋下徹・代表代行が、街頭演説の半分の時間を、社会保障の負担の問題に充てていたことです。財務官僚が喜ぶような増税の話は、長年、政治ではタブーでしたが、今回の選挙では、それにじっと耳を傾ける聴衆の姿がありました。避けられない痛みの問題に国民自らが向き合い、頑張ろうというメッセージが有権者に受け入れられ、支持される時代になった。このことを見誤った政党が票を伸ばせなかったことを、よく考える必要があると思います。
 
 私は、失政との批判を浴びた3年あまりの民主党政権も、大きな歴史的成果をあげたと考えています。それは、国民が気づいたということです。

 例えば、「増税の前にやることがある」と言っている政党も、実際に政権をとれば増税するしか答がないのは、民主党政権を見れば明らかです。「やることがある」のは当たり前のことです。それは当然やる。しかし、だからと言って増税から逃れられるわけではありません。そこをはぐらかす政治に、国民はNoを突きつけていると感じました。


●「賢く、強い」政治で「したたかな」国に

 しかし、答は増税にもありません
 
 1,500兆円の個人金融資産に、非金融法人など他部門の保有分を加えれば、日本には2,800兆円もの金融資産があります。問題は、その資産構成の内訳、つまりポートフォリオの質にあります。金融資産のかなりの部分が、将来の富を先食いする赤字国債とその借り換え国債に向かい、また、国内で有効な使途を見出せずに、決して有利でも戦略的でもない形で海外にマネーがあふれ出た結果として、世界ダントツ一位の250兆円もの対外純資産を計上してきました。このような経済の姿にこそ、日本の根本問題が現われています。

 私たちの貴重な蓄積を、有効な国内投資に向かわせてデフレを克服するだけでなく、社会保障システムにも循環させていく仕組みが必要です。このままではいくら増税しても高齢化には追いつけないという負担の問題を、日本のストックの活用で解決していく。その根本にあるのも、私が提唱してきた「日本力倍増」です。

 求められているのは、このような「知恵」だと思います。だからこそ、日本維新の会が唱える、「賢く、強く、したたかな」というテーゼが意味を持ちます。その形容詞を冠した経済財政運営、社会保障、エネルギー供給、外交安全保障…それらを実現するための国家システムの抜本的な再構築…。

 加えて私は、日本の民主主義にも、「賢く、強く」が必要になっていると思います。
まさに国民が気が付いた、その状況を、次の国づくりへと導く道筋をつけることが、今年の政治の役割だと思います。

 本当の「政治主導」とは、政治自らが課題を真摯に国民に語り、向き合うことではないでしょうか。政治の役割は国民の要望を吸い上げることではありません。そうであるなら、有権者はマニフェストに投票し、あとは官僚がそれを実行すればいいでしょう。政治の役割は、国家の未来への希望を描き、その実現に向けて必要な課題を国民に説得し、合意を形成していくことにこそあります。国民に甘言を弄し、官僚を叩いているようでは、政治主導は実現しません。政治も脱皮が必要です。


●日本新秩序へ、国家のストーリーを
 
 巳(み)年は実(み)が入る年だとも言われます。一億総評論家の百家争鳴の時代から、次なる「ニッポン興国」に向けて、実のある行動を「実行」するとき。特に今年は、政治が眠れる「日本力」を呼び覚ます仕事を本格的に始動すべき年だと思います。

 人類社会が共通して直面することになる課題に世界最初に直面する「課題先進国」ニッポンは、直面する危機をチャンスに変えて「世界のソリューションセンター」になることで、新たな成長の道と存在を築けるはずです。超高齢化、デフレ、そして未曾有の大災害…まさに、21世紀の初頭の12年に神が日本に与えた試練を乗り超える過程で、私たち日本人はさまざまな課題解決モデルを生み出し、それが世界中が求める答になっていく。

 日本は世界の中でも、そのような特別な歴史的位置づけにあると考え、私は「日本新秩序」を提唱してきました。アングロサクソン秩序でも、中国が主宰するアジア秩序でもない、自立思考と独立自尊の精神で、独自の未曾有の造成をなしていく存在としてのニッポンへ。
 いま必要なのは、次なる日本のストーリーを描く営みだと思います。日本の希望を描き、未来を競い合う政治へ、若者も子どもたちも夢を持てる、強く賢い国づくりに、今年も全力をあげて取り組んでまいります。ご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。