【ニッポン興国論】第6回 日銀だけではマネーは増やせず、いまは公共投資の出番。 | 松田学オフィシャルブログ Powered by Ameba

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日本を夢の持てる国へという思いで財務省を飛び出しました。国政にも挑戦、様々な政策論や地域再生の活動をしています。21世紀は日本の世紀。大震災を経ていよいよ世界の課題に答を出す新日本秩序の形成を。新しい国はじめに向けて発信をしたいと思います。

【第6回】日銀だけではマネーは増やせず、いまは政府投資の出番。

前回は、民間がおカネを使おうとしないデフレのときには、政府が未来への投資でおカネを回す役割を担わねばならないことを述べました。
前回第5回の記事は、こちら↓をご覧ください。
http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11261756640.html
政府の投資といえば、このところ削減が続いてきた公共事業がまっさきに思い浮かびますが、今回は、いまの日本にとっての公共投資の意味を考えてみたいと思います。

実は、日本の国土の特質は、欧米とは比較にならない規模の公共投資を必要としています。日本には「土建国家」である必然性があると言われます。
公共投資は利権構造への批判と結びついて、小泉政権時や「コンクリートから人へ」を唱える民主党政権のもとで大幅に削減されてきましたが、近年、主要国の中で公共投資を縮減したのは日本だけです。これもデフレを加速させました。

特に現在では、震災復興に加え、太平洋プレートの変化で激甚災害の可能性が一層高まった日本で「列島強靭化」対策が不可欠になっています。それを通じた防災安心国家の建設といったテーマが新たに浮上しました。それ以前からあった課題として、老朽化したインフラの更新もあります。いわゆる「インフラ高齢化」問題です。
このままでは、ある日突然、橋が落ちたり道路が崩壊、水道が使えなくなるなどの事態が多発すると言われますが、これは震災がゆっくりと起きているようなものです。40年ほど前の「日本列島改造」の時期に膨らんだ公共施設が老朽化しており、公共投資額が現在と同じなら、2040年には、それは全額インフラの更新に食われ、新しい投資はできなくなるとされます。
国民が安心して生活や活動が営めるインフラ整備の必要性だけでも、公共投資のテーマは百出している状況です。それは、かつて批判されたムダな公共投資とは本質的に異なる社会的に価値ある投資になります。

デフレ克服のポイントは、経済にマネーを循環させることですが、日銀が金融政策でいくらマネーを増やそうとしても、中央銀行ができるのは民間金融部門へのマネーを増やすことにとどまります。金融部門から、その先の実体経済へと実際にどのぐらいマネーが回っていくかは、おカネに対する需要と供給によって決まります。その部分は中央銀行が必ずしもコントロールできません。
 問題は、おカネの価値が上がったデフレのもとでは、実体経済の側でマネーへの需要が不足していることです。国債ばかりに運用し、リスクをとって貸付におカネを回すことをなかなかしない銀行の態度にも問題があるかもしれません。経済全体に十分なマネーが行き渡るためには、やはり政府が実需そのものを創る必要があります。

 これを積極財政で実現する上で問題となるのは財源ですが、将来に向けて本当に必要な資産であれば、それを後世代に残すための建設国債は正当化されますし、それを賄えるだけの莫大な金融資産ストックが日本には蓄積されています。
いま問われているのは、このことを財政規律と矛盾しない形へと組み立てる知恵です。
 次回は、消費税の増税と積極財政とを両立させる道について論じてみたいと思います。

バックナンバー
【ニッポン興国論】第1回 消費税率引上げは国民にとって負担増なのか↓
 http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11237001318.html
【ニッポン興国論】第2回 消費税を上げたらデフレが加速するというのは本当か↓
 http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11242202033.html
【ニッポン興国論】第3回 消費増税では説明できないデフレとは、そもそも何なのか↓
http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11248255278.html
【ニッポン興国論】第4回 超高齢化社会では消費税にはプラスの経済効果がある。↓
http://ameblo.jp/matsuda-manabu/entry-11255522209.html