Q&A4075 メンタル的にかなりきついです | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 

2023年9月 G1移植時(前回)妊娠4週4日くらいから出血し徐々に増加、胎児発育は順調で心拍も確認できたが妊娠7週ころ自然排出(妊娠6週頃から感染あり)
2024年5月 5AA移植時(今回)BT7 hCG 25→BT17 hCG 240。子宮外妊娠か確定つかず4日後再検査予定
 

①正直、良好胚で2回連続流産していることがショックです。胚の染色体異常なら、まだ納得しようがありますが、私側に問題があったとすると、発育できたはずの胚を失ってしまったことに耐えられません。次の移植までに行うべき検査はありますか。慢性子宮内膜炎や子宮内フローラの検査は時間もお金もかかるので、避けてしまいました(ラクトフェリンサプリ、ビブラマイシン1日1錠14日間は自己判断でやりました)。その罰でしょうか。一番若いときの一番良い胚は、もう手に入りません。失ってしまったことが申し訳ない気持ちでいっぱいです。
②前回流産後、自費で採卵し、4AA~3CCの胚盤胞を6つ凍結しました。初回採卵時の胚盤胞はまだ2つ残っていますが、初回採卵時の4BCと4CC(しかしいずれも35歳10か月のもの)、自費で貯卵したもの(36歳6か月前後)どちらを優先して移植すればいいでしょうか。
③メンタル的にかなりきついです。妊娠出産はどうしても若ければいいという大前提があり、高齢で治療を始めたこと自体が間違いで、もう「手遅れ」なのかと思ってしまいます。友人みたいに子供がいる幸せを、手遅れのために望めないのかと思い辛いです。でも全部自業自得だから同情の余地もないと言われているようです。いまだに「45歳で不妊治療してる人みちゃった」とか「若いうちに生んだ方が良い」というアラフォーの友人がいて、時代は変わってきているけど、皆高齢出産をバカにしてるんだなと感じました。私が頑張っていることも、みじめなやつとしか思われてないのだとおもいます。 

 

A 

①前回が流産、今回は化学流産(妊娠部位不明)に該当します。受精卵の要因も子宮側の要因も、どちらも考えられますが、どちらとも特定できません。このような場合は、出来る限りの万全の対策で次回の移植に臨むのが良いです。クリニックによって対応は異なりますが、リプロダクションクリニックでは、次の検査を実施しています。

血液検査:甲状腺(TSH、fT4、TPO)、耐糖能(HOMA-R)、NK活性、ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体IgG IgM、抗PE抗体IgG IgM、抗β2GPI抗体IgG IgM、抗aPS/PT(プロトロンビン)抗体IgG IgM、血液凝固第12因子、プロテインC活性、プロテインS活性、25OHビタミンD、銅、亜鉛

子宮因子検査:慢性子宮内膜炎(CD138細胞)、子宮鏡、子宮収縮(エコー動画)、ERPeak、ERBiome

②4AAから移植するのが良いです。
③当院に通院中の女性の平均年齢は、リプロ大阪が41歳台、リプロ東京が42歳台ですが、それなりに皆さん妊娠されています。人それぞれ考え方も生き方も違いますので、単純に年齢だけでどうこう言うことはできませんし、比較することもできません。周りの目を気にすることは何の解決策にもなりませんので、前を向いていくことに専念するのが得策だと思います。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。