本論文は、子宮腺筋症における子宮収縮に関する検討です。
Fertil Steril 2024; 121: 864(オランダ、イタリア、ギリシャ)doi: 10.1016/j.fertnstert.2024.01.009
Fertil Steril 2024; 121: 795(イタリア)コメント doi: 10.1016/j.fertnstert.2024.02.016
要約:2014〜2023年にオランダ、イタリア、ギリシャの3施設で、子宮腺筋症46名と子宮に異常のない106名の超音波を4分間録画し、その特徴について前方視的に検討しました。なお、子宮腺筋症の診断は、超音波あるいはMRIで行いました。月経中には有意差を認めず、卵胞期後期で頻度と速度と収縮協調性が低下し振幅が増加していましたが、黄体期では速度と収縮協調性が低下し振幅が増加していました。また、月経中の痛みは頻度と速度の低下と振幅の増加に関連していました。この結果は、年齢、出産数、BMIの補正後も有意差を認めました。
解説:子宮の動きは月経周期によって異なり、月経中は子宮底部から子宮頸部へ動いて月経血の排出を促し、排卵期は子宮頸部から子宮底部へ動いて精子の輸送をサポートし、黄体期は静止して着床をサポートします。子宮腺筋症では、子宮収縮の変化が想定されますが、根拠となるデータがこれまで不足していました。本論文は、このような背景の元に行われた研究であり、子宮腺筋症における子宮収縮に有意な動きがあることを示しています。
コメントでは、本論文を高く評価しつつも、症例数が少ないため、今後の研究を待ちたいとしています。