Q&A3991 移植前の食中毒の影響は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 移植を8日後に控えています。おととい食べた豚肉の火の通りが悪かったようで食中毒症状が出ています(発熱・悪寒・下痢など)。妊娠初期にこういった食中毒にかかると胎児に影響が出てしまうと見ましたが、移植は中止した方がいいでしょうか。何か検査でわかったり、薬を飲んだり、対処法はありますか。また、一度かかると何ヶ月妊娠しない方がいいなどの制限はありますか。前にカンピロバクターかトキソプラズマが妊娠前3ヶ月でも注意した方がいいというのをどこかで目にしたことがある気がしています。

 

A 胎児への感染が心配される食中毒には、次のものがあります。

リステリア:生ハム、ナチュラルチーズ、スモークサーモン、未殺菌乳など→流産、早産、死産

トキソプラズマ:加熱が不十分な肉類、ヤギの生乳、猫の糞、土など→網脈絡膜炎、頭蓋内石灰化、脳室拡大、水頭症、精神運動障害、肝腫大

キャンピロバクター:加熱が不十分な肉類など→髄膜炎

 

これらは全て妊娠中の感染によるものであり、妊娠前の感染では胎児への悪影響はありません。移植前の感染であれば、移植を中止する必要はありません。

 

2017.3.30「Q&A1411 ☆妊婦リステリア症

2014.1.22「Q&A223 妊娠前のトキソプラズマは?

2013.5.24「先天性トキソプラズマ症」

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。