Q&A223 妊娠前のトキソプラズマは? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q トキソプラズマは妊娠中に始めて感染すると胎児に影響が出る可能性があるとのことですが、いろいろ調べていると妊娠6ヶ月以内の感染も胎児に影響を与える可能性があるような記事を見かけました。妊娠前の感染は影響ないのでしょうか。

A 2013.5.24「先天性トキソプラズマ症」に記載したように、トキソプラズマの胎児への感染率(母子感染率)は、妊娠初期に低く(8週で2%)、妊娠後期に高く(40週で80%)なります。つまり、妊娠初期にも母子感染します。
しかし、妊娠前の感染は関係ありません。答えは、胎盤がトキソプラズマの好む場所だからです。妊娠中に初めてトキソプラズマに感染した場合にのみ胎盤を介して胎児に感染します。しかし、いつ妊娠するかはわかりませんから、妊娠治療中から下記の事に気をつけるべきでしょう。

*トキソプラズマに感染しないための予防策
 肉は65度以上の加熱調理をする
 ガーデニングの際には必ず手袋を着用する
 野菜の土を落として、水洗いを十分にする
 動物の糞に素手で触らない
 生水を飲まない
 ガーデニングやペットのトイレ処置の後、手を洗う