Q&A3963 子宮外妊娠3回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 現在43歳、39歳から体外受精をしています(海外→2020年より日本)。卵巣反応不良で卵子がなかなか取れず、転院して何とか貯卵しました。

 

2012年6月 1回目子宮外妊娠で右卵管切除(腹腔鏡手術)
2023年4月 2回目子宮外妊娠で左卵管切除(腹腔鏡手術)

子宮外妊娠のほとんどが卵管妊娠ということで卵管切除した為、もう大丈夫だろうと思っていました。貯卵で約10個の卵(胚盤胞は6BBと6BC、残りはG1又はG2の初期胚)をため、今の病院で2023年11月、12月と初期胚移植しましたが陰性、そして2024年1月移植後陽性反応が出て、2月に5週目で胎嚢らしいものを見つけた為6週目のチェックをしに家を出発しようとしたら、腹痛と貧血のような症状で、近くにある大きな病院に運ばれたら緊急の開腹手術になりました。左卵管開口部の異所性妊娠でした。次の移植まで少なくとも半年から一年あけるように指示があり、今月は採卵もできません。左卵巣は子宮の裏にあり、採卵時は子宮を貫通して採卵することもしばしばあります。

 

3回目の子宮外妊娠で時は膣からの出血は一切認められませんでした。1回目と2回目は膣からの出血がありました。3回目の緊急開腹手術は子宮全摘の可能性のあったもので(その後本人の希望&医師の手術により、育って根のはっていた受精卵と子宮側一部をとり、縫い合わせのみで、子宮全摘にならずにすみました)体内からは2リットルの血液が出て輸血約10リットル行われました。なお、2021年5月粘膜下筋腫を子宮鏡でとっています。現在は筋層内筋腫がありますが背中側で不妊治療には影響を及ばせないということでそのままです。

①子宮外妊娠がこんなに起こる事は普通ですか。体外受精では5〜10%あり、一度起こると確率が10%上がるのはネットにありましたが、それ以上は分かりません
②どこか子宮外妊娠について詳細に調べられる場所はありませんか。クラミジアは陽性になった事がありません。3回目子宮外妊娠着床時胃腸炎にかかった事が影響を及ぼしたのかもしれませんが、それでも妊娠反応が出たから頑張ってくれたとおもっていたのですが…今回の緊急開腹手術時に主人は「3回も起こるのは普通じゃない、原因があるはずだから調べてもらって下さい、今回はすぐに運ばれて始めての開腹手術で何とかなったものの、次回は母体を救えるか分かりません。移植も負担になるからもう不妊治療自体を辞める事も考えて下さい」と言われたようです。ちなみに子宮鏡検査、CD138検査、不育症検査、子宮フローラ検査全く異常なしでした。命の危機をかかえながら&このまま何もしないままの再移植にはなかなか踏み込めず、でもどこでどんな検査をしたらいいのかも分からず、かと言って今まで頑張って貯めた卵も無駄にしたくありません。私の手で使い切りたいです。今の病院でもなかなかないケースで…と言う説明があっただけで、主治医からどうしろこうしろと言うのは、時間も経っておらずまだ何ももらえていません。どうしたら良いのでしょうか、アドバイスをお願い致します。

 

A 

①②子宮外妊娠(異所性妊娠)を3回起こした方は、稀ですがおられます。私も大学病院勤務時代に、3回目の異所性妊娠を2名ほど経験しています。しかし、子宮外妊娠(異所性妊娠)に対する検査や対策は、残念ながら見つかっていません。子宮体部の着床環境が良くないため、別の場所に着床してしまうことが想定されますが、子宮鏡検査、CD138検査、不育症検査、子宮フローラ検査が全て異常なしとのことですので、それ以上の検査はありません。唯一できることは、子宮収縮検査です。着床期には本来子宮内膜の動きはないはずですが、動いてしまっている場合には、移植した受精卵の場所が移動してしまいます。卵管側に移動すれば卵管妊娠、腟側に移動すれば頚管妊娠あるいは妊娠しなくなります。子宮収縮検査は、超音波あるいはMRIにより検査できます。また、卵管開口部とありますが、卵管間質部(子宮筋層内の卵管)のことを示していると思います。右の卵管間質部は残されているはずですので、あらかじめその部分を切除しておくのもありです。なお、頚管妊娠を防ぐ方法はありません。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。