Q&A3943 咳喘息について教えてください | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 卵子提供、移植周期前

年末より咳だけが続き(コロナ、インフルエンザ陰性、レントゲン異常なし、呼気NO27)咳喘息と診断され、レルベア14吸入するも改善されず、テリルジー200に変更継続中です。テリルジー200に変更後、2週間経っても同じく改善されないので再診したところ、不妊治療中は吸入しか使えない。吸入するしかないと言われました。もしやと思い、薬局で練習機を試したところ、吸い込みが弱いことが判明しました。結局、吸入を変更しながら1ヶ月間、上手く吸えていなかったので改善されなかったのだろう。後2週間、テリルジー200を継続することになりました(練習機でかなり吸えるようになりました)。現在、卵子提供クリニックの指示でプラケニル服薬中、移植周期にはコンペソロン(ステロイド)も服薬予定です。

①時々でるくらいの咳なら、移植、着床には影響ないのでしょうか。
②不妊治療中、妊娠中は吸入ならどの吸入でも使えますか。使えない吸入がありますか。
③咳喘息で咳がおさまっても、吸入は継続使用した方が良いのでしょうか。
④吸入にはステロイドが入っているようですが、コンペソロン(1日10mg)がプラスされても問題ないのでしょうか。

 

A 

①全く問題ありません。
②みなさん薬は良くないと誤解されていますが、不妊治療中も妊娠中も、吸入を含めて喘息の薬剤はほとんど何でもお使いいただけます。むしろ薬を使わずに低酸素状態になる方が赤ちゃんの脳に障害が生じるリスクが高くなり、そちらの方がデメリットです。日本の薬剤の添付文書には「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」という文言が全てに記載されていますが、この文言がないと薬剤が認可されないためです。しかし、海外では薬剤にABCDXというランク付けがなされており、ABCは妊娠中に使える薬剤で、DXは使えない薬剤と明確に分類されています。例えば、レルベアは豪州B3、テリルジーは豪州B3です。
③吸入は不要です。
④みなさんステロイドは良くないと誤解されていますが、ステロイドホルモンは妊娠中に15mgまでであれば安心してお使いいただけます。

 

下記の記事を参照してください。

2013.4.27「コントロール不良の喘息の方は流産しやすい