Q&A3931 流産5回、出産1回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 37歳、顕微授精で授った娘が一人おります。

24歳で重症筋無力症を発症(抗体陰性)し、大学病院通院治療中(半年に一回免疫グロブリン療法、毎日プレドニゾロン10mg、メスチノン、ガスター、アルファロール、プログラフを内服)。日常生活に波はありますが、安定しており、主治医からも妊娠+出産はゴーサインが出ています。

H29.8 自然妊娠後、辛うじて心拍確認までいきましたが、9Wで稽留流産

H30.9 大学病院の不妊外来受診
 MRIの結果、子宮奇形(部分中隔子宮)がわかり手術をH30.12に実施。地元の不妊治療専門のクリニックへ転院
H31.3 タイミング法、ステップアップで人工授精に挑戦
 同年12月、人工授精(3回目)で妊娠、6wで完全流産

R2.9 人工授精(6回目)で双子妊娠、心拍確認後、10wで稽留流産(絨毛検査でダウン症男児)

R3.2 人工授精(7回目)で妊娠、心拍確認後、8wで稽留流産

R3.11 顕微授精の凍結胚移植(2回目)で妊娠(体外受精では胚盤胞まで育たず)→
R4.7 帝王切開で出産(女児)
R5.12 自然妊娠、大きさも順調で心拍確認後、9W終わりで稽留流産→オペで処置

①今回はたまたま自然妊娠が出来ましたが、自然妊娠に至ってもまた流産になる可能性は高いでしょうか。自然妊娠しないよう、夫婦生活は避妊した方が良いのでしょうか。
②不妊クリニックで娘の出産前に不育症の検査をしましたが、抗リン脂質抗体や凝固因子など問題ありませんでした(現在、橋本病の抗体は陽性ですが甲状腺の数値は問題ありません)。出産後に体質が変わることはあるのでしょうか。

③もし今後生児獲得を求めるのであれば、着床前診断をした上での移植の方が良いのでしょうか。

度重なる4回の流産の末に娘が産まれて、もう治療は終了しようと思っていました。自然に授かったら良いねと主人と言っていたところで妊娠し、喜んだ末また流産してしまいました。治療終了しようと思っていましたがまた赤ちゃんを安全、安心で迎えてあげたい気持ちも出て来ており揺れております。

 

A 流産の原因が胎児側なのか子宮側なのかがはっきりしませんので、断定的なことが言えません。理想的には、毎回の流産で絨毛染色体検査(POC)を行い、正常なのか異常なのかを知ることが重要です。正常ばかりなら原因不明不育症対策を、異常ばかりなら着床前診断(PGT)を行います。

①上記の理由から、自然妊娠でも流産になる可能性が高いのかどうかはわかりません。
②出産後に変化することは十分あり得ますので、不育症専門医のいる病院で不育症検査を今一度行うことをお勧めします。

③上記の理由から、着床前診断をした上での移植の方が良いかどうかはわかりません。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。