Q&A3885 長距離移動の影響は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2023.11.4「Q&A3835 44歳で4AA2個移植は?」でご回答いただきありがとうございました。その後、アドバイス頂いた組み合わせのうち4AA+6BBを、自然排卵周期(HCG注射有)、SEETありで移植し、移植日からウトロゲスタン1日2回使用し、先日BT10でHCG 474の陽性判定を頂きました。

主治医を信じていないわけではないのですが、色々な治療方針の病院がある中で、松林先生のアドバイスと方向性が同じだと安心します。ありがとうございます。今回は、過去の陽性判定時よりHCGも高いので、このまま継続できるといいなと思いつつ、あまり気にしすぎないように過ごしています(過去の2個移植の陽性判定時は、BT9でHCG 270で、2個胎嚢確認後、心拍見えず流産)。

妊娠初期の長距離移動や高速な乗り物での移動について、直接的な流産の原因になるかどうか、などを調べた調査はございますか。というのも、年末年始(大体妊娠8週あたり)に新幹線で2.5時間の夫の実家に帰省予定にしております。振り返ってみると、過去の2回の流産は、2回とも6〜7週に帰省をしておりました。直近だと、昨年の2個移植の際も年末年始を挟み、12月半ばにBT16で胎嚢確認、年末BT26で卵黄嚢あるも心拍見えず、その後帰省、年始休み明けも心拍見えずで流産でした。そもそもこの週数でだめになるなら、年齢的にも染色体異常だと思うのですが、長距離移動や、高速の乗り物が妊娠維持・胎芽の成長に直接的悪影響を与えているのであれば、帰省を見合わせなければならないのか?と気になりました。松林先生野ご意見をお聞かせいただけましたら幸いです。宜しくお願いいたします。

 

A 鉄道や車の移動について流産との関連を調査した研究は、私の知る限りではありません。航空機については、健康な妊婦であれば問題ないことを示した研究がありますが、キャビンアテンダント(職業的なフライト)では流産リスクがわずかに増加するとの報告があります。リプロ東京ができる前には、関東圏からリプロ大阪に通院されていた方が500組ほどおられました。しかし、妊娠された方で流産率が高くなったということはありませんでした。

 

記載された状況から、確かに年末年始の移動(帰省)後にいずれも胎児発育が停止していますので、もしかすると何らかの影響が出ていたのかもしれません(移動によるものではなく、環境や食生活の変化によるものかもしれません)。大事を取るのであれば、今年は帰省を見合わせるのが良いでしょう。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。