Q&A3877 妊娠13週、胎児の静脈管に逆流あり | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 41歳で採卵したPGT-A正常胚を移植し、現在妊娠13週です。先日初期胎児精密超音波検査にて、静脈管の逆流(PIV:1.35)が見られると指摘されました。採卵時の年齢と静脈管の逆流があったことから、41歳の年齢相当のリスクよりはかなり低いリスクでしたが、トリソミーのリスクアセスメントでリスクが若干高く評価されました。それぞれのAdjustmentリスクは以下の通りでした。

21トリソミー 1:719
18トリソミー 1:728
13トリソミー1:3,458

このような場合、PGT-Aの正確性が90%以上であったと思うので、先天的な心疾患の可能性の方が高いと考えるのが妥当でしょうか。心疾患については中期精密超音波検査のほうが正確に確認できるとのことですが、初期で見つかった静脈管の逆流はそれまでに治っている可能性もあるのでしょうか。また静脈管の逆流から予測される心疾患というのはどういったものがあるのでしょうか。

 

A 静脈管の逆流は、超音波による胎児診断で、染色体異常や心臓奇形のリスクを判断するためのツールであり、確定的なことは言えません。今回は染色体に異常がないと考えますが、染色体正常の胎児の約3%に見られるとされています。妊娠初期に静脈管の逆流が見られたとしても、多くの場合は自然に消失し、問題は生じませんので、経過観察が必要です。ご心配であれば、胎児診断専門医の診察を受けてください。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。