Q&A3831 多精子受精を回避するには? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 初回採卵の結果、12個中2個が変性卵、残りの10個中、体外受精で5個が正常受精(4AA,4AB,4AB,4BB,16G1を凍結)、4個が多精子受精、1個が凍結に耐えられず廃棄でした。

精液所見
性液量(ml) 3.0
精子濃度(百万/ml) 294
精子運動率(%) 98
正常形態率(%) 12
直線速度(μm/秒) 28.84
総運動精子数(百万) 867.65
総精子数(百万) 882
結果はとても良いと言われています

通常よりも多精子受精の割合が多いと思うのですが、その原因は卵子にありますか。過去に全胞状奇胎の経験もあります。精子はとても良い結果だと聞いていますが、良すぎて沢山精子が入ってしまうことはあるのでしょうか。これから2回目の採卵を控えていますが、顕微授精にする以外に何か改善策はありますか。

 

A 体外受精での多精子受精の原因は、精子側も卵子側もどちらもありえます。精液所見は極めて良好なので、調整後の精液所見もかなり良好なのだと思います。確かに、精子の状態が良過ぎて多精子受精になっている場合もあるかも知れません。精子の濃度を減らしてふりかけてみるのはありですが、それに対応していない(できない)クリニックが多いと思います。多精子受精を回避するには顕微授精しか方法はありません。

なお、全胞状奇胎の場合も多精子受精が原因である可能性があります。

 

下記の記事を参照してください。

2021.7.17「正常胚移植で、全胞状奇胎!?

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。