本論文は、ART治療(体外受精、顕微授精)の歴史について紹介しています。
F&S Sci 2023; 4: 102(米国)DOI:https://doi.org/10.1016/j.xfss.2023.03.001
要約:ART治療の歴史について紹介します。
1929年:E2を同定
1930年:ヒト受精卵を確認
1934年:P4を同定
1959年:ウサギの体外受精に成功
1966年:LH、FSH、hCGのRIA法検査開発
1977年:尿中妊娠検査薬開発
1978年:ヒト体外受精で赤ちゃん誕生(英国)
1980年:ヒト体外受精で赤ちゃん誕生(オーストラリア)
1981年:ヒト体外受精で赤ちゃん誕生(米国)
1984年:ヒト凍結胚で赤ちゃん誕生
1985年:経膣超音波ガイド下採卵開始
1986年:ヒト凍結卵による胚で赤ちゃん誕生
1992年:顕微授精開始、PGT-M開始
1993年:TESE開始、PGT-A開始
1999年:Micro TESE開始
解説:初めてエストロゲン(E2)が明らかにされてから100年経っておらず、ART治療に至っては高々45年の歴史しかありません。ここに示すように、体外受精による初めての出産からわずか20年ほどで、現在行われている多くの治療が開始しました。今後はiPS細胞などを用いた治療が取り入れられるかもしれませんが、ヒトの胚研究には様々なハードルがあり、簡単には研究が遂行できない仕組みが世界各国であるのも事実です。今後、社会的、倫理的、法律的な枠組みを変えながら研究が行われると考えます。