Q&A3611 3326&3353に続いていろいろ質問 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2022.6.13「嬉しい報告とQ&A3326 第二子治療で質問」 、2022.7.10「Q&A3353 Q&A3326の続きの質問です」で回答いただいた者です。御礼が遅くなり申し訳ありません。その節はありがとうございました。御回答後から現在に至るまで不妊治療継続中であり、非常に苦戦しております。新たな疑問点等が数多く出てきましたので、御教示いただきたく存じます。

まず、以前質問した慢性子宮内膜炎についてお話させていただきたいのですが、シプロキサン・フラジール2週間内服後のCD138検査で6個/20HPFでした(内服前30個/20HPF)。5個以上が陽性との基準でしたが、検査を受けた病院での投薬治療は2クールまでで、以降はALICE検査で起因菌を同定するしかないと言われたことと、2個の差(4個と6個の差)に果たしてどれだけの意味があるのか、と思ったことを理由にそれ以降は検査・治療はしていません(最終検査は2022年9月)。

今回御教示いただきたいのは、生理中の発育卵胞についてと、排卵誘発剤についてです。第二子治療開始以降、採卵希望8周期のうち4周期で生理3日に発育卵胞がありました。必勝パターンと思われる新鮮初期胚2個移植を希望していますが、現在保険で治療中の為、全胚凍結か自費採卵となりなかなか新鮮胚移植ができません。そんな中、凍結胚が複数個になった為凍結胚を2個移植しましたが陰性でした(2022年11月)。

質問①:生理中に発育卵胞がないようにするにはどうしたらいいでしょうか。やはり薬で調整でしょうか(前周期の黄体期にプレマリンとルトラールを内服していても発育卵胞が出現したことがあります)。またその場合、次周期の採卵個数が減る可能性がありますか。
質問②:第一子は新鮮胚移植で授かっていること、第一子・第二子治療にて各一回、凍結胚2個移植(一方はホルモン補充周期、もう一方はフェマーラ、HMG富士、フォリルモンPで排卵させてから移植)が陰性だったことを考えると、凍結胚移植では妊娠の可能性が低いでしょうか。

次に誘発剤についてです。これまでクロミッドを使った周期ではグレードの良い卵が取れておらず、記録が残っている限りですが、下記の結果でした。
〈第一子治療時〉
採卵2回で使用、計6個採卵→8G3、12G3、10G3、成熟卵1受精せず、未熟卵2
〈第二子治療時〉
採卵2回で使用(他1回卵胞発育不良でキャンセル)、計3個採卵→2日目6G2~3、4G3~4、3cell

一方で、販売元が違うだけで成分は同じセロフェンで誘発した時にはG1の卵が取れています。
〈第一子治療時〉
採卵4回で使用、計6個採卵(1回分は記録が残っておらずグレード、個数不明も、胚盤胞には至らず)→2日目6G1、G3、1PN×2、3日目10↑G1・コンパクション(+)、透明帯のみ1

質問③:クロミッドが合っていないかは分かりませんが、セロフェンの方が良好胚を得られやすいのは事実のような気がするのですがどう思われますか。
質問④:次回採卵(自費でお願いする予定)ではセロフェンを使うのがいいでしょうか。セロフェンは製造中止になったとのネット記事を見かけました。

3月の始めにD6で採卵をした際、先生の記事(体外受精でしか妊娠しない人、顕微授精でしか妊娠しない人がいる)を参考に顕微授精を希望しました(一人目がクロミッド誘発、体外1+顕微1の移植で妊娠していることと、現在体外受精の凍結胚があるため)。D3・4にレコベル皮下注6単位とガニレストを使用し、スパームセパレーターという精子回収法を用いたところ、2日目4G1を凍結できました。

質問⑤:次回採卵では、第一子の時同様クロミッドを使った方がいいでしょうか。それとも、3月採卵時と同じ誘発法、精子回収法、培精法の方がいいでしょうか。これまで体外受精で受精しなかったのは、第一子治療時の1個のみです。またレコベルもスパームセパレーターも今回初めて使用しました。もし3月と同じ方が良い場合には、いつからいつまで誘発し、どのタイミングでガニレストを使うのがいいでしょうか。
質問⑥:胚の分割スピードとグレードは、どちらの方が重要度が高いでしょうか。第二子治療は第一子の時と比較し、胚のグレードが低いことと分割スピードが遅め(第一子の時は概ね早めで、着床した胚は3日目12分割と10分割)なことが気になっています。その人の子宮内膜のスピードに合った分割スピードがあるのでしょうか。

 

A まず、(質問にはありませんが)CD138検査で5個/20HPF(400倍20視野で5個以上)を陽性とする基準は、妊娠成績を元に決めた基準であり、4個以下では妊娠しますが5個以上では全く妊娠しません

 

回答①:通常は前周期の黄体期からの女性ホルモン剤服用(いわゆるピル)を用いると生理中に発育卵胞がなくなりますが、なくならない方もおられます。使用薬剤の種類によってその現れ方が異なる場合もあります。また、薬剤を2週間以上用いると次周期の採卵個数が減る可能性が生じますが、1週間では減りません。
回答②:これまでの経過をみると、凍結胚移植では妊娠の可能性は低いと思います。

回答③:同じ薬剤でも製薬会社によって、効果が異なることがあります。クロミッドとセロフェンは全く同じ成分ですが、クロミッドが無効でセロフェンが有効だった方が実際におられました。
回答④:セロフェンは製造中止のため、現在使用することができません(製造再開はありません)。

回答⑤:これまでの経過からはどちらが良いとは一概に言えませんが、クロミッドの印象が良くないので、直近の3月採卵時と同じ方法で行ってみる方が良さそうです。
回答⑥:胚の分割スピードとグレードのどちらの重要度が高いかは不明です。しかし、成功体験を踏襲するのであれば、第一子の時と同様に分割速度の速い胚を移植することをお勧めします。

 

なお、このQ&Aは、約3週間前の質問にお答えしております。