本論文は、米国CDCデータから、出産後次回妊娠までの理想的な期間について検討したものです。
Fertil Steril 2022; 118, in press(米国)
要約:2016〜2019年に単胎出産した方を対象に、米国CDCデータベースを用いて、妊娠までの期間を後方視的に検討しました。前回出産から今回の妊娠までの期間(IPI)が12ヶ月未満の場合に、一般妊娠治療では早産(37週未満)が有意に増加しました(人工授精1.42倍、タイミング1.14倍)が、体外受精では有意な増加を認めませんでした。一方、前回出産から今回の妊娠までの期間(IPI)が12ヶ月未満の場合に、全ての群で低出生体重児(2500g未満)が有意に増加しました(体外受精1.34倍、人工授精1.33倍、タイミング1.26倍)。
解説:前回出産から今回の妊娠までの期間(IPI)が短いと、早産や低出生体重児のリスクが高くなることが報告されています(下記参照)。本論文は、米国CDCデータベースからも同様な結論が得られることを示しています。
自然妊娠の場合
JAMA 2006; 295: 1809:18ヶ月未満、60ヶ月以上でリスク増加
N Engl J Med 1999; 340: 589:18ヶ月未満、24ヶ月以上でリスク増加
Am J Epidemiol 1998; 148: 798:6ヶ月未満でリスク増加
Am J Obstet Gynecol 2011; 204: 421:6ヶ月未満でリスク増加
新鮮胚移植の場合
Obstet Gynecol 2018; 132: 115:12ヶ月未満でリスク増加
Fertil Steril 2018; 109: 840:12ヶ月未満、60ヶ月以上でリスク増加
凍結融解胚移植の場合
Fertil Steril 2019; 111: 1145:12ヶ月未満、18ヶ月以上でリスク増加
出産後あるいは流死産後の次回妊娠までの期間が短くても長くても妊娠予後が不良になる可能性があるため、2005年にWHO(世界保健機関)は出産後2年、流産後半年以上の期間を空けることを推奨しました。しかし、その後発表された上記の論文では、出産後6ヶ月あるいは12ヶ月未満で早産や低出生体重児が有意に増加するため、WHOの推奨は変更すべき時期にきていると考えます。米国ACOGでは、次回妊娠までの期間を6ヶ月以上あけるべきと推奨しています。
下記の記事を参照してください。
2019.6.21「☆出産後次回妊娠までの理想的な期間は?」
2018.6.5「☆次回妊娠までの理想的な期間は?」
2016.12.13「☆流死産後、次の妊娠までの理想的な期間は?」