Q&A3276 もうできることはないのでしょうか? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 36歳 不妊専門クリニック通院4年目、体外受精にステップアップ後2年目 出産歴なし PCO 窓ズレ補正済、採卵9回 移植9回 流産2回(一度お休み周期に自然妊娠9w、移植で胎嚢確認後流産)

移植前にほぼ毎回子宮鏡をするのですが、1年前から内膜の様子が、少しザラつき、赤いポツポツ、少しぼこぼこマイクロポリープなどがありそれまでの1〜2年と様子が違うと言われています。素人が見ても1年前の写真のツルツル感とは違います(一度慢性子宮内膜炎検査でCD138細胞5つですが陽性、ビブラマイシンでたたき済)。移植をキャンセルするほどではないが気になると言われていて、念のためビブラマイシン服用後移植して、結局今回もダメでした(これまで自然排卵周期の方が成果が出ていたので自然排卵周期で移植した9回目)。今回ダメなら全面搔爬して一周期お休み後、また移植と言われています。ステップアップして1年は、卵側が良好でさえあれば割と着床はしていたのに、試行錯誤の末、良好胚盤胞が貯まってきたら、今度は子宮側に問題が出てきて途方に暮れています。掻爬でもダメだったらどうなるのか、もうやれることはないのか…先生ならこのあとどのように治療を進められますか。


PGTAはすでに試し2つの正常胚どちらも出産できず。正常胚率も悪くなかったため、胚へのダメージを考えてもうやらない予定です。貯胚はBB以上の胚が4つあり、これで治療を終えようかと思っています(今回は内膜の様子を鑑みてトップは移植せず、5日目3BB+3BC)。

 

A 慢性子宮内膜炎の診断はCD138細胞の数で判断します。この結果は、必ずしも子宮鏡の所見とはリンクしません。内膜の様子と妊娠成立に関するデータはありませんので、全面搔爬が良いのか良くないのかは不明です。今一度、慢性子宮内膜炎検査を月経終了後すぐにCD138細胞で行なってみてください。また、年月が経過すると着床の窓が変化することがありますので、そちらの検査も重要です。その他、リプロダクションクリニックのオプション検査を全て実施してからの移植をお勧めします。

 

なお、このQ&Aは、約2週間前の質問にお答えしております。