Q&A3203 不育症検査費用助成事業について | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q リプロ大阪に通院してますが、リプロ大阪が不育症検査費用助成事業(流産検体を用いた染色体検査)に届出を出していないため、私は申請できませんでした。どうか届出を検討していただけないでしょうか。

 

A 現在先進医療として告示されている不育症検査費用助成事業(流産検体を用いた染色体検査)は、従来のG-band法も用いたものです。しかし、この方法では培養作業が必要であるため、培養が上手くいかないことがあり、せっかく提出した検体の検査ができないことがしばしばあります。また、培養により増殖した細胞が胎児や胎盤由来の細胞であるかを見極めることは困難です(女児の結果の場合に、単に母体細胞を見ている可能性があります)。そこで、リプロダクションクリニックでは次世代シークエンサー(NGS法)を用いた手法による分析を2018年から実施しています。この方法であれば、培養を行わないため自宅で排出した検体からの検査も可能であり、胎児や胎盤由来の細胞を判別して分析に用いますので、母体細胞の混入を避けることができます。つまり、リプロダクションクリニックで実施している流産検体を用いた染色体検査は、現在の先進医療のさらに一歩先の先進医療を行っています。本法が先進医療に認められるよう現在働きかけを行っております。

 

従って、当院で実施した「流産検体を用いた染色体検査」は現在の助成対象外であり、もし届出をしたとしても該当しません。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。