Q&A3120 インフルエンザワクチン:チメロサールと自閉症 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 先日インフルエンザワクチンを打ちました。ワクチン接種後に防腐剤(チメロサール)の存在を知り、色々と調べると水銀やらや自閉症の事が書いてあり、心配になっています。ちゃんと調べてから接種しなかった事による不安と後悔が大きいです。インフルエンザワクチンの防腐剤(チメロサール)と自閉症の関係はいかがでしょうか。
 

A 日本のインフルエンザワクチンには、防腐剤としてエチル水銀(チメロサール)を含有している製剤と含有していない製剤があります。チメロサールを含んでいる製剤もその濃度は0.004~0.008mg/mLと極少量であり、胎児への影響はないとされています。最近の研究でも、懸念されていた自閉症との関連は否定されました。

 

Pediatrics 2010; 126: 656(米国)doi: 10.1542/peds.2010-0309

要約:ASD256名、対照群752名におけるチメロサール暴露の有無によるASD発現について症例対照研究を実施しました。妊娠中から出産後7ヶ月までのチメロサール暴露の有無によるASD発現には有意差を認めませんでした。