最近読んでよかった本 137 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった本を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

私のブログでは月2回本の紹介をしています。

何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。

 

 

「管理職降格」高杉良
競合デパートとしのぎを削る大松屋銀座店の法人外商部課長「津川直二郎」は、ある日突然、大口顧客から取引停止を通告される。年商二億円の商権を失う危機に、左遷を仄めかす上司。津川が挽回に奔走する最中、バリバリのキャリアウーマンの妻は不倫に走り、優等生の娘は万引き事件を起こす。津川家の崩壊が始まるが、、、人生最悪の逆風に直面した男の選択とは?1980年代の作品とは思えないリアル感があり2019年に文庫本になりました。

 

 

「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 朝食フェスと決意のグヤーシュ」友井羊

「スープ屋しずく」シリーズ第7弾。勤務先のイベント会社主催の朝食フェスティバルの運営に加わることになった理恵。理恵は麻野に声をかけ「スープ屋しずく」も出店することになる。朝食フェスの一番の目玉だった大人気パン屋「ブーランジェリー・キヌムラ」は突如出店を考え直したいと言いはじめ、説得に行くと店主は何やら悩みを抱えている様子。出店が決まったお弁当屋「いなだ屋」の店主にも困りごとがある様子。「朝活トークショー」に出演予定だった人気ブロガーは謎の体調不良に見舞われる。開催予定地は突如使用禁止になり、やっと開催された朝食フェスでは思いがけないトラブルが起きる。さて、理恵はこの難局を乗り切れるのか?

 

 

「ゼロの激震」安生正

安生正の「ゼロシリーズ」第3弾。関東北部では、栃木県金精峠で土砂崩れが起こり、群馬県足尾町の人々が原因不明の死を遂げ、群馬県富岡で大火災が発生するなど大災害が頻発していた。そんな折、元大手ゼネコン技術者の「木龍」のもとに「奥立」という男が現れる。すべてはマグマ活動にともなう火山性事象が原因であり、これ以上の被害を阻止すべく、東京湾第一発電所の建設に携わった木龍の力を借りたいという。しかし、木龍の協力もむなしく埼玉県秩父鉱山で大噴火が発生、やがてマグマは東京へと南下し、新宿も飲み込まれる。このままでは関東が壊滅し、最悪の場合、日本、そして世界までもが滅んでしまう。未曾有の危機にゼネコン技術者や地質学者たちが挑むパニック・サスペンス。いわば和風アルマゲドンで、後半はページをめくる手が止まりません。今パニックサスペンスを書かせたら、間違いなく安生正がNo1でしょう。

 

 

「余命10年」小坂流加

20歳の「高林茉莉(まつり)」は、数万人に一人という不治の病にかかり、余命が10年であることを告げられる。笑顔でいなければ周りが追いつめられる。何かをはじめても志半ばで諦めなくてはならない。未来に対する諦めから死への恐怖は薄れ、淡々とした日々を過ごしていく。ある日、同窓会で茉莉が初恋だったという和人と出会う。茉莉は悩みながらも和人の人柄に惹かれ付き合うことになるが、心の中では葛藤していた「あなたの人生はまだまだ先がある。だけど私の人生はあともう少ししない」。でもすでに好きになってしまっていて、でも相手の幸せを祈り別れるしかない、、、「死ぬ準備はできた。だからあとは精一杯生きてみるよ」衝撃の結末は、せつないラブストーリー。作者の小坂流加さんは、ヒロインと同じように難病と闘いながら執筆され、2017年にお亡くなりになりました。自らの姿を本にされたのでしょうか、本書には、彼女のとてつもない生命のパワーを感じます。ご冥福をお祈りいたします。2022年映画化されます。

 

 

「ルビンの壺が割れた」宿野かほる

Facebookのやり取りのみで語られる風変わりな小説。昔の婚約者である「結城美帆子」をFacebookで見つけた「水谷一馬」は、彼女にメッセージを送る。最初は未帆子から返信がなく、それでもメッセージを送る水谷であったが、続けているうちに未帆子からもメッセージが返ってくるようになった。2人は大学時代の演劇部で先輩後輩の関係で恋人だった。しかし、2人の結婚式当日に未帆子が突如姿を見せず30年が経過した。2人の間に一体何があったのか。二人の話す過去の話が少しずつ食い違っていき、全てが明らかになると、物語は一変する。全てを理解した上で読み返すと、様々な伏線があることに気づく。わずか160ページの小説ですが、お勧めです。