☆Lancet誌 不育症総説2 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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Lancet誌の不育症(流産)総説第2弾は、単発的な流産の診断とケアについてです。

 

Lancet 2021; 397: 1668(英国、米国)doi: 10.1016/S0140-6736(21)00683-8

要約:単発的な流産の診断、切迫流産(出血)の治療、流産診断後の管理についての推奨を提言いたします。

1 流産の診断は正確でなければならない

   高画質の経腟超音波で、下記のアルゴリズムで診断し、流産診断後の管理を行う

    25mm以上の胎嚢で胎芽が見えない(empty GS)

    7mm以上の胎芽で心拍確認ができない

2 切迫流産(出血)の治療

   黄体ホルモン製剤の投与(経膣、注射)を行う

    1〜2回の流産既往の方で、出産率が5%増加

    3回以上の流産既往の方で、出産率が15%増加

   *内服の黄体ホルモン製剤、子宮収縮抑制剤は低いエビデンス

3 流産診断後の管理

   吸引法による手術を第一選択とする

   次に、薬物療法(ミフェプリストン and/or ミソプロストール) 

   不全流産には待機療法

4 流産前後の心のケア

   看護師やカウンセラーなどによる心のケアが重要

 

解説:単発的な流産の診断では、①25mm以上の胎嚢で胎芽が見えない(empty GS)、②7mm以上の胎芽で心拍確認ができない、が重要で、いずれも特異度は100%です。切迫流産(出血)の治療では黄体ホルモン製剤(経膣、注射)を投与し、流産診断後は吸引法による手術を第一選択とします。また、心のケアが非常に重要なポイントです。