Q&A3017 卵胞膜はとれたが卵子は採れなかった? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 45歳
 
コロナがある為、近くの病院にとりあえず通ってます。落ちついたらまたリプロに通う予定です。
今月採卵予定でしたが 採卵日前に急に数値があがり、先生に排卵しちゃうかもしれないと言われました。注射と座薬を使い次の日に採卵する際に、卵胞が潰れかかっているから排卵しちゃったか?これからなのか?人工授精に切り替えてやるかと言われ、採卵して取れなかったら人工授精をお願いしました。その結果、卵胞膜はとれたが卵子は採れなかったと言われました。卵胞膜があるとの事だったので、卵子はあったのか?元々無かったのか?分かりますか。結局人工授精をし、今高温期です。次回顕微授精をする予定です。果たして人工授精は意味があったのかどうか教えて下さい。
 

A 複数の卵胞があったか記載がありませんので、卵胞が1個だと仮定します。「卵胞膜」が何を意味しているかですが、それにより解釈が変わってきます。

1 通常は顆粒膜細胞(卵子の周りの細胞)のことを意味します。完全な空胞の場合は人工授精の意味はありませんが、卵子が腹腔内に残っている可能性は否定できません(この場合は人工授精の意味はあります)。しかし、両者の区別がつきませんので、卵子はあったのか元々無かったのかはわかりません。

2 もし、卵子の細胞膜のことを意味するのであれば、変性卵です。この場合は、他に卵子はないので人工授精の意味はありません。

卵胞が複数ある場合には、1、2と無関係に人工授精の意味はあります。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。