最近読んでよかった本 その127 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった本を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

私のブログでは月2回本の紹介をしています。

何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。

 

 

「化学探偵Mr.キュリー10」喜多喜久

化学をモチーフにしたユニークなシリーズ10作目。四宮大学の庶務課「七瀬舞衣」が、四宮大学理学部化学科「先進化学研究室」の准教授「沖野春彦(Mr.キュリー)」と出会って3年。四宮市と姉妹都市協定を結ぶマイセン王国のユリヤ王子が、四宮大学へ視察にやってきた。王子は視察のあと、沖野のもとで研究を行いたいと突然言い出す。困惑しつつ、沖野はそれを受け入れ、合成研究がスタートする。時を同じくして、舞衣は大学内で発生した研究施設の無断使用に関する調査に取り掛かる。農学部の分析装置を勝手に利用しようとしたのは、「入江」という名の経済学部の二年生だった。調査を進めた結果、入江が長期にわたって大学を休んでいることが判明する。その理由についてさらに調べるうちに、入江が沖野の元同級生「袖崎」のもとへ頻繁に足を運んでいることが分かる。袖崎には、過去に大麻所持で逮捕された過去があったのだ。二つのストーリーが折り重なり、感動の結末を迎える。

 

化学探偵Mr.キュリー10シリーズは下記です。

「化学探偵Mr.キュリー9」2020.8.22「最近読んでよかった本 その99」でご紹介

「化学探偵Mr.キュリー8」2019.8.6「最近読んでよかった本 その74」でご紹介

「化学探偵Mr.キュリー7」2018.4.17「最近読んでよかった本 その42」でご紹介

「化学探偵Mr.キュリー6」2017.8.7「最近読んでよかった本 その31」でご紹介

「化学探偵Mr.キュリー5」2017.2.5「最近読んでよかった本 その24」でご紹介

「化学探偵Mr.キュリー4」

「化学探偵Mr.キュリー3」2015.9.1「最近読んでよかった本 その9」でご紹介

「化学探偵Mr.キュリー2」

「化学探偵Mr.キュリー」

 

 

「科警研のホームズ 絞殺のサイコロジー」喜多喜久

科警研のホームズ第3弾。東啓大学理学部に新たに開設された寄附講座「科学警察研究講座」は、科学捜査に関するテーマを扱う新しい講座。配属された、大学4年生の「松山悠汰」は、科捜研から派遣されてきた研究員「北上」の指導のもと、同期の「藤生」と協力して実際の未解決事件の捜査に携わることになる。松山たちが行き詰まったとき、かつて「科警研のホームズ」と称された講座責任者の「土屋准教授」が、驚くべき洞察力と推理力を発揮する。本書からは、大学生が主人公となり、4つの事件を解決します。このシリーズも長く続きそうです。

 

科警研のホームズシリーズは下記です。

「科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア」2019.12.22「最近読んでよかった本 その83」でご紹介

「科警研のホームズ」2019.2.22「最近読んでよかった本 その63」でご紹介

 

 

「KAGEROU」齋藤智裕

作者は俳優の水嶋ヒロさんで、第5回ポプラ社小説大賞受賞作の本書。会社をリストラされ、多額の借金を抱えた「大東泰雄(ヤスオ)」は、絶望のあまり廃墟ビルのフェンスから投身自殺を図ろうとした。しかしその時、突然現れた黒服の「京谷貴志(キョウヤ)」に阻止される。キョウヤは、裏社会の臓器提供グループ「全日本ドナー・レシピエント協会」のスペシャルコーディネーター。キョウヤの勧めでヤスオは、臓器提供の報酬を田舎の両親に送る契約を結ぶ。ヤスオは本当の死を前に、一つの儚き「命」と出逢い、かつて抱いたことのない愛することの切なさを知る。

 

 

「くちびるに歌を」中田永一

長崎県五島列島のとある中学校の合唱部顧問の音楽教師「松山」先生は、産休に入るため、中学時代の同級生で東京の音大に進んだ「柏木」先生に、1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。美人の柏木先生に魅せられ、それまでは女子しかいなかった合唱部に男子生徒が多数入部した。例に漏れず、練習にまじめに打ち込まない男子部員と女子部員に軋轢が生じる。柏木先生は、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課した。しかし、提出を義務づけていなかったこともあってか、彼らの書いた手紙には、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていたのだ。松山先生は、持病のため、出産も命がけ。そのことを、部員たちは後で知る。Nコン当日、松山先生に陣痛が起こり、柏木先生や部員に緊張が走る。果たして、松山先生は無事出産できるのか、Nコンの結果は如何に、、、手紙には種明かし的なことが記載されており、それを小出しにすることで、秘密が次第に明らかにされていく仕組みです。

 

 

「ビタミンF」重松清

短編七編からなる直木賞受賞作の本書。2003年に刊行され、2020年末から突然人気が再燃し、80万部を突破しました。このビタミンFは架空のビタミンですが、心に効きます。「家族小説」の最高峰とも言えるでしょう。ぜひ、ご一読ください。