最近読んでよかった本 その118 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった4冊を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

私のブログでは月2回本の紹介をしています。

何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。

 

 

 

「回廊亭殺人事件」東野圭吾

巨万の富を築いた実業家「一ヶ原高顕(いちがはらたかあき)」が亡くなった。妻子のない高顕の莫大な遺産を巡る陰謀に巻き込まれた高顕の秘書「桐生枝梨子」は、半年前に偽装心中を図られ恋人の「ジロー」を「回廊亭」で殺された。高顕の死後、遺言状が一族の前で公開されることになり、一族は回廊亭に集結する。枝梨子は老婆「本間菊代」に姿に変え、一族の中にいるであろう犯人を見つけ出して復讐を遂げることを誓う。次第に明らかとなる事実は二転三転し、最後に予想外の真相が明らかにされます。複雑な人間関係のため、相関図を見ながら読む必要があります。ドラマ化されました。

 

 

「光媒の花」道尾秀介

6編の独立した短編のようで、第1章の脇役が第2章の主人公に、そして第2章の脇役が第3章の主人公にと変わりながら全てが繋がっていく、不思議な連作短編集です。認知症の母親とひっそり暮らす中年男性、ホームレス殺害に手を染めた小学生兄妹、幼い恋の疼きに駆られた少年、ある出来事を機に耳が聴こえなくなった少女、父が亡くなって以来母を憎み続ける青年、自信を失った女性教師、大切な何かを守るため、人は悲しい嘘をつく。彼らがつかなければならなかった嘘は、人生の景色を大きく変えていきます。共通して登場する一羽の白い蝶と白く輝く光。素晴らしい作品です。

 

 

「逆ソクラテス」伊坂幸太郎

小学生が主人公の短編5編:「逆ソクラテス」「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」。キャッチコピーは「敵は、先入観。世界をひっくり返せ!」ヒト同士の力関係の逆転、弱い側からの意外な反撃は、伊坂幸太郎の得意技です。

 

 

「プラ・バロック」結城充考

第12回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作で初読みの作家。雨の降りしきる港湾地区。埋め立て地に置かれた冷凍コンテナから、14人の男女の凍死体が発見された。睡眠薬を飲んだ上での集団自殺と判明するが、それは単なる序章で、次々と同様な死体が発見される。機捜所属の女性刑事クロハは、真相解明に奔走する。全ての謎が解明された時、想像を絶する悪意に驚愕します。いつも行く古本屋でたまたま見つけた本書ですが、期待を裏切る面白さでした。