Q&A2814 PGT-Aで正常胚がありません | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 41歳、AMH 1.14、妊娠治療歴4年、夫異常なし(化学流産含む陽性反応は一度もありません)
  
他院でPGT-Aをしていましたが結果が出ず、転院を決意しました。
前院では、連日HMG富士300+フェリング300を使って刺激し、結果うまくいかなくても同じことの繰り返しでした。毎回5個採卵でき、未熟変性なし、胚盤胞は2個でき、PGT-Aで全て異常胚でした。転院後は、連日クロミッド+HMG富士150+フェリング150で刺激し、1回目の採卵を終えましたが、5個採卵、2個変性、1個未熟、胚盤胞にはなりませんでした。

先生のブログにて「誘発剤の使用量で、正常胚率は変わらない」とありました。一方で「PGT-A実施施設間で正常胚の獲得の割合が大きく異なる」ともありました。

①年齢が一番の問題なのはわかっていますが、結局、正常胚獲得のために必要なことは何でしょうか。
②正常胚率は、刺激方法や使用する薬剤やそのタイミング、培養方法で変わるという解釈で間違っていませんか?また、選択する薬剤の組み合わせはたくさんあるものなのでしょうか。
③毎回CD3で、FSH 7~9、LH 4前後、E2 80~90、AFC 6個くらいです。毎回E2が高いのが気になっていますが、先生なら次はどんな方法を提示してくださいますか。
④私のような現状でも、挙児の可能性はありますか。

 

A 

①②正常胚獲得のために必要なことは何であるかについては、明らかにされていません。しかし、施設間で正常胚率が異なることから、刺激薬剤の種類、培養環境(培養液や培養器の種類)によって変化が生じるのではないかと推測されます。選択する薬剤の組み合わせも施設によって異なります。過去に正常胚ができている場合には同じ薬剤を用いて刺激し、正常胚ができたことがないのでしたら、これまでと違う薬剤を用いることで正常胚率が変化する可能性があります。
③HMG富士とフェリングは使わずに、フォリルモン、ゴナールなどを用いて刺激してみます。
④41歳、AMH 1.14でしたら、まだ可能性はあると思います。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。