最近読んでよかった本 その95 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

最近読んでよかった3冊を簡単に紹介します。

なお、紹介の順番は五十音順にしています。

 

私のブログでは月2回本の紹介をしています。

何故本を紹介しているかについては、2016.9.29「「最近読んでよかった本」の新たな効能?「ニュートラルな気持ち」へ!」をご覧ください。

 
「死香探偵 哀しき死たちは儚く香る」喜多喜久

特殊清掃のアルバイトを続けるうちに、「死臭」を食べ物の匂い「死香」として認識するようになった「桜庭潤平」。その能力に目をつけた大学の准教授「風間由人」。風間のサポートをしながら、数々の難事件を解決に導く死香探偵シリーズ第3編。「死臭」は潤平にとっては「死香」、しかし「死臭」が食べ物の匂い「死香」に脳で変換されると、本物の食べ物の「匂い」が「死臭」に置き換わってしまう。このため、潤平が食べられる食物がどんどん減ってしまうのだ。本書の1話目の「死香」はごはん、2話目はブラックペッパー、3話目はピーナッツバター、4話目は赤ワイン、これらが全て食べられなくなってしまう。本書は各話の謎解きだけではなく、潤平と風間に強力なライバルが出現することで、次作への期待が高まります。

 
 
「失踪」小杉健治
鶴見弁護士の中学の恩師「夏川陽一郎」が札幌から上京し、鶴見と久しぶりに会った。夏川は教育熱心で生徒に慕われていた。鶴見も夏川を尊敬し慕っていた。夏川はこのあと神戸に行って旧友の吉森と会い、それから竹田城へ向かう予定だという。2日後、夏川は神戸から竹田城に向かった後、忽然と姿を消した。なぜ夏川は姿を消したのか、事件あるいは事故に巻き込まれたのか、それとも自分の意志で姿を消したのか、自分の意志で姿を消したのなら、理由は何か、鶴見は調査をはじめた。徐々に鶴見の知らない夏川の素顔が見えてくる。そして鶴見の知らない夏川の全てが明らかになり、最後に鶴見が下した決断に驚く(あるいは共感する)。知らない方が良いこと、隠し通したいこと、誰でもあるはず。とても素晴らしい作品です。
 
 
「夜行観覧車」湊かなえ

高級住宅街「ひばりヶ丘」に住む3家族「遠藤家」「高橋家」「小島家」。「遠藤家」は、娘の「彩花」が受験に失敗した後、家庭内暴力をふるい、両親の手に負えない日々。「高橋家」は、医師の父「弘幸」の前妻の子「良幸」、後妻の「淳子」とその子「比奈子」「慎司」の5人家族。「小島家」の「さと子」は、「遠藤家」と「高橋家」を監視する毎日。絵に描いたようなエリート一家の「高橋家」で殺人事件が起きる。母親が父親を殴り殺したのだ。事件当時に自宅にいたのは母親と父親のみ。物語は3家族の視点から別々に語られる。それぞれの事情が徐々に明らかになり、真相が判明する。両親を失った「高橋家」の子供たちは、どう生きるか?3家族の将来は?日常の風景の中で起きる非日常、湊かなえさんらしい作品です。ドラマ化されました。