Q&A2522 子宮後屈の移植は? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 前回もご質問に答えて頂き感謝しております。
 

貴院で採卵後の凍結胚の移植を希望していますが、私自身、子宮後屈のため胚移植が難しいのではないかと心配しています。胚移植をする際に子宮後屈だと着床しにくいとききました。私は8年ほど前、骨盤部位をMR検査した時に、子宮後屈だと所見に記載があり、胚移植でうまくいくのか心配しています。松林先生にお聞きしたいのは子宮後屈の胚移植場合、どのように対応されていますでしょうか。何か工夫されていることがあれば教えて下さい。

子宮後屈だと胚移植の際は難しくなるらしく、ネット検索をしていると以下の記載を発見しました。「後屈の場合は子宮が後ろに曲がっているため、お腹の上からのエコーでは子宮が見えにくい方向へと遠ざかります。そのためカテーテルの先端がはっきりと見えにくくなります。対応策としては、やはり膀胱充満が大切となります。水はエコーの像を見えやすくするためです。もう一つの対策としてはお腹の上からのエコーではなくて、経膣エコーを使用して移植する事です。見えないまま適当に移植するという事はあってはならないので、後屈でカテーテルが見えにくい場合は経膣エコーを使用しています。」

 

A 子宮後屈も前屈もリプロでは問題なく移植できるようにしています。すなわち、全ての方に経膣エコーで移植を実施していますので、どの方向に子宮が向いている場合でもエコーでくっきり見える状態で難なく移植が可能です(つまり膀胱充満は不要です)。したがって、子宮後屈のため胚移植が難しいことはありませんし、着床しにくいこともありません。安心して移植に臨んでください。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。