Q&A2431 37歳、AMH 0.02、採卵13回、受精卵4個、移植2回 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 2017年から治療を開始して、もう2年近く、毎月のように採卵しています。
AMHが0.02と低く、クロミッドやレトロゾール、HMG注射やゴナールエフを使い分け刺激していますが、ほぼ1個しかとれません。卵胞は3つか4つ現れますが、空胞や変形卵が多く、最終的にとれるのは1つです。10数個とれる方が多い中、1回に1つしかとれないのはとても焦るし残念ですが、1つでもとれるだけありがたいと受け入れてきました。しかし最近はその1個すらとれなくなっています。クロミッドの刺激だと確実に1個とれることが多いのですが、内膜が薄くなってしまいます。今は新鮮胚移植を目指しているのですが、自然周期だと育つのに時間がかかって移植のタイミングがずれてしまうので、レトロゾールの刺激で内膜をキープしつつ採卵して新鮮胚移植という予定です。しかし、レトロゾール刺激にしてから、3周期途中で成長が止まってしまい、採卵までたどり着くことができません。新鮮胚移植を目指すには、クロミッドも自然周期も適さないので、レトロゾールの刺激しか方法がないと言われています。この2年で13回採卵して、とれた受精卵は4個、移植できたのは2回です。凍結胚は2個の初期胚のみです。2回の移植のうち
1回は新鮮胚移植で化学流産、1回は凍結胚移植で陰性です。私はレトロゾールとの相性が悪いと思っているのですが、それでも信じてレトロゾールで新鮮胚移植をこのまま目指すべきか、奇跡的を信じて自然周期に賭けるか、クロミッドで凍結胚移植に挑戦するか、それとも37歳という年齢も考えて一刻も早く今ある凍結胚を使いきって移植をするべきかわからなくなっています。また、先生がいらっしゃるような東京などの有名なクリニックでは、他の治療方法があるのでしょうか。その場合には地方から通うこともできるのでしょうか。

 

A 日本人(を含め東洋人)は凍結胚移植が最も成功率が高いですので、複数個の凍結胚移植をお勧めいたします。従って、採卵と移植が別々になりますので、採卵周期に内膜の心配をする必要がなくなります。基本的に、レトロゾールを用いると卵胞数が減少し、クロミッドを用いると卵胞数が増加しますので、クロミッドを中心とした刺激を推奨します。AMH 0.02でしたら、1〜2個しか採れないと思いますので、無理して胚盤胞を目指さず、初期胚(2〜3日目)で凍結し、ホルモン補充周期で2個移植を実施してください。日本に限らず世界中どこでも使える薬剤のラインアップはほぼ一緒ですから、東京だから特別な治療ができるわけではなく、肝心なのは医師の知識と経験と洞察力だと思います。昔の知識しか持たない医師は、治療の選択肢に幅がありませんので、一辺倒の治療になります。地方でも私のブログの趣旨をよりどころに治療をされている医師がおられる可能性はありますので、まずはお近くの医療機関にご相談いただき、どうにも難しいようでしたらリプロへの通院をお勧めいたします。

 

なお、このQ&Aは、約2ヶ月前の質問にお答えしております。