Q&A2410 海外在住、PGT-A実施中 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 夫42歳、妻41歳、AMH 13.5 pmol/L(=1.89 ng/mL)

 

以前モザイク胚(モザイク20〜40%未満でしたが7箇所の染色体がモザイクあり)の移植についてお伺いしました海外在住のものです。移植の結果BT10でHCG54、その後継続することができず化学流産となりました。前回で最後の移植にしようと思いましたが、妊娠力があるかもしれないという希望が持てたので、今月再度採卵しました。精子はTESAで冷凍保存後、顕微鏡受精です。先生がおっしゃる通りイノシトールやビタミン類をしっかり摂取し、規則正しい生活と適度な運動を心掛けたところ、37歳の時と同じくらいの結果が今回出ました(現在Day3です)。とても感謝しております。

今回お伺いしたいのは下記の通りです。
①後数日で42歳になります。連続採卵すると卵の質は落ちますか。42歳になるので、出来るだけ早く採卵したいと思うのですが、主治医からは高刺激の後で卵巣が疲れていると卵の質が悪くなる可能性がある為、採卵後2回目の生理で来た方が良い。希望ならば可能と言われます。卵巣は毎回腫れることなく、37歳の時にまた違う国で高刺激で連続採卵した際は悪い結果ではありませんでした。高齢になると違うのでしょうか。
②高刺激は胚盤胞になる可能性があるとブログで拝見しました。具体的に高刺激とはどういうことでしょうか。毎日連続注射で高刺激でもホルモンの量によりますか。今回の連日注射はGonal 300IU+Humog 75IU 5日間。その後Gonal 225IU+Humog 150IU+Cetrotide0.25mg 7日間。その後トリガーでした。こちらは先生がおっしゃる胚盤胞になる確率を上げる高刺激になりますか。一年前に同じ内容の注射で成熟卵子13個、2PN4個(内Gグレードは1個)、胚盤胞2個(モザイク1個、異常胚1個)でした。昨日の結果は成熟卵子11個、2PN7個(内Gグレードは4個)です。
③今回採卵Day3で、下記の結果でした。先生でしたらどれを初期胚凍結保存し、どれを
PGT-Aのために胚盤胞まで育てますか。3C(P), 8C(G), 10C(G), 7C(G), 8C(F), 3C(P), 6C(G)

 

A 

連続採卵すると卵の質は落ちるというのは必ずしも正しくありません。年齢を問わず、周期毎に調子の良い時と良くない時がありますので、生理周期3日目の採血データと卵胞数(AFC)で判断することをお勧めします。

②通常、高刺激とは連日注射を打つ刺激周期の事を意味するようです。高刺激は沢山の卵胞が獲得できるため、1回の採卵あたりの胚盤胞が増えるという意味であり、胚盤胞になる確率を上げる訳ではありません。

③おそらく、G=good(8~9点)、F=fair(4~7点)、P=poor(2~3点)の意味だと想像しますが、そのグレードの如何にかかわらず、41歳の女性でしたら、胚盤胞になる方は全て胚盤胞にしてPGT-Aを、胚盤胞にならない方には初期胚で全て凍結を行うのが良いと思います。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。