最近読んでよかった4冊を簡単に紹介します。
なお、紹介の順番は五十音順にしています。
「ケーキ王子の名推理1&2」七月隆文
バカがつくほどケーキが大好きな女子高生「未羽(みう)」。失恋の悲しみを癒すため訪れた自由が丘のケーキ屋で、パティシエ修行をしている学校一のイケメン王子「颯人(はやと)」に遭遇する。颯人は噂に違わず冷たいが、パティシエへの想いは人一倍熱い。世界一の名だたるパティシエ「青山大」に教わりながら、ケーキコンクールに挑む。ケーキにまつわる謎解きで、恋やトラブルもお菓子の知識で鮮やか解決。出てくるケーキがどれも本当に美味しそうで、ケーキの説明と買えるお店も書かれています。素敵なスイーツミステリー。
「ランクA病院の愉悦」海堂尊
海棠尊には珍しい短編集で、ブラックユーモアにあふれた短編が5作品、近未来の日本の医療の(恐ろしい)姿を描いています。海堂さんはあとがきで「私は愛国者なので日本にワクチンを打っておきたいと考えている。この短編集もそんなワクチンの一冊である。ここに書かれた物語はフィクションだが絵空事ではない。そう思って心して読んでほしい」と書いています。恐ろしい未来の日本の医療をご覧ください。
「流星の絆」東野圭吾
神奈川県横須賀市にある洋食店「アリアケ」の三兄妹「功一」「泰輔」「静奈」は、夜中に家を抜け出して流星群を見に出掛けるが、雨が降ってきて帰宅する。すると、両親が刃物で惨殺されていた。三兄妹は養護施設で幼少期を過ごした後、生きるために3人のチムワークを武器に詐欺師となる。事件から14年が経過し、時効を迎えようとしていた時期、3人は洋食チェーン「とがみ亭」の御曹司「戸神行成」を次なるターゲットとした。しかし、「泰輔」は、行成の父親「戸神政行」が、犯行現場から出てきた人物に似ていることに気付く。「とがみ亭」の名物のハヤシライスの味が父親のものとそっくりであることから、三兄妹は政行が両親殺害とレシピを盗んだ犯人であることを確信する。最後の100ページは、息をもつかせぬ急展開で、どんでん返しもあり、事件の全容が明らかになります。一気読みさせる力は、さすが東野圭吾。ラストは「自分ではなく登場人物が書かせた」と、東野圭吾は各種インタビューで語っています。文字通り、そんな感じで書かれているのだと思います。