Q&A2339 46歳、できるだけ凍結胚を有効に活かしたいです | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 私は45歳3ヶ月で不妊治療を始め、現在46歳6ヶ月、年齢を考えて貯卵を優先し、9回の採卵で8個の凍結初期胚が移植待ちです。年齢及び金銭的なことを考え、あと1回で採卵を終了し、移植に入りたいと思っていますが、できるだけ今ある胚を有効に活かしたいと思っております。

これまでに移植は2回行いましたが、hCG 0.5〜1.0,その後慢性子宮内膜炎が強陽性で治療済です。これまでの2回の移植は、初期胚新鮮胚移植、凍結初期胚2個移植となります。今後の治療方針は、基本的に2個ずつ戻すことになりそうです。

ここで質問なのですが、例えば、人工授精2日後に凍結初期胚を戻した場合、2段階胚移植に似た効果を期待できますでしょうか。または、精液の暴露により免疫寛容の効果はありますでしょうか。その場合、ホルモン補充はどのように考えればよろしいでしょうか。

 

A 慢性子宮内膜炎がある状態での移植はカウント外になりますので、ここからが勝負です。

もし人工授精によって受精卵ができるなら、2段階胚移植に似た効果が期待できるかもしれませんが、本当に受精卵ができているかどうかは定かではありません。

人工授精では精子を注入していますので、精液の暴露にはなりません。性交渉あるいはシリンジ法をすれば、精液暴露による免疫寛容が期待できます。

ホルモン補充周期でホルモンを補充するのは当たり前ですが、排卵は起こりませんので人工授精の意味はありません。精液暴露のために性交渉を行うメリットはあるでしょう。一方、自然排卵周期で不足分をホルモン補充することは極めて重要です。体内からのホルモン不足により上手くいかない可能性を帳消しにできるからです。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。