Q&A2298 妊娠中の内リンパ水腫でイソバイド | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q リプロダクションクリニック大阪で夫のTESE手術と顕微授精を行い妊娠し、現在8カ月になりました。
治療中は本当にお世話になりました。

妊娠6カ月から左耳がこもる感覚があり、耳鼻科を受診すると低音部の聴力が落ちていて、内リンパ水腫と診断され、イソバイドを飲んでいます。薬を減らすと低音部の聴力が低下し、1カ月以上ずっと薬を飲んでいるのですが、妊娠後期に入り、赤ちゃんへの影響が不安になってきました。薬局では妊婦に多い病気で、出産したら治るのではないかと言われましたが、ネットを調べてもそういった記事が見つかりません。イソバイドの赤ちゃんへの影響と、内リンパ水腫が出産に伴い治るものなのかを教えていただければと思います。

 

A イソバイド=イソソルビド(Isosorbide)は、血液の浸透圧を増大させることで血管中に水分を貯留させ浮腫を除く作用があります。このため、利尿作用、脳圧降下作用、眼圧低下作用、内リンパ圧低下作用があり、浮腫、脳腫瘍、緑内障、メニエール病などの疾患に用いられます。御多分に洩れず、妊婦へは有益性投与となっております。基本的に浸透圧製剤は血管内でのみ働きますので、心配ないものとお考えください。なお、内リンパ水腫が出産に伴い治るものなのかは判断しかねますが、妊娠中は循環血液量が非妊娠時の最大1.5倍になりますので、妊娠中は内リンパ水腫になりやすいものと考えられます。

 

なお、このQ&Aは、約3ヶ月前の質問にお答えしております。