妊娠治療に年齢制限を設けることについての一般の意見 | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

本論文は、妊娠治療に年齢制限を設けることについての米国民の意見をインターネットで調査したものです。

 

Fertil Steril 2019; 111: 497(米国)doi: 10.1016/j.fertnstert.2018.11.019

Fertil Steril 2019; 111: 459(米国)doi: 10.1016/j.fertnstert.2018.12.005

要約:米国のSurvey Monkeyサイトを用いて5分間で回答できるアンケート調査を実施しました。アンケートは7問で、体外受精の是非、ドナー卵子やドナー精子の是非、年齢制限についてです。1574名が回答し、1427名(91%)が全問に回答しました。67%の方が女性に年齢制限を設けるべきとし、57%の方が男性に年齢制限を設けるべきとしました。ASRMは55歳以上の女性には胚移植をすべきではないとしていますが、これに賛成と答えた方は64%でした。また、55%の方は男女ともに年齢制限を設けるべきとし、12%の方は女性のみに、3%の方は男性のみに年齢制限を設けるべきとしました。50歳以上で米国西部に在住の方、妊娠治療を行なっている方をよく知っている方は、男女に年齢制限を設けることに肯定的ですが、性的マイノリティーの方、血の繋がったお子さんのいない方、独身の方、離婚された方、パートナーに死別された方は、年齢制限を設けることに否定的でした。

 

解説:アンケート調査もインターネットの時代に様変わりしています。Survey Monkeyの会員は3000万人を超える無料オンラインアンケートです(有料バージョンもあり)。妊娠治療に年齢制限を設けることについては賛否両論があり、クリニックによって独自の基準を設けているのが現状です。本論文は、妊娠治療に年齢制限を設けることについての米国民の意見をインターネットで調査したものであり、およそ半数の方が年齢制限を設けるべきとしています。コメントでは、学会や国(米国では州)が決める際の参考意見として欲しいとしています。

 

下記の記事を参照してください。

2016.12.17「Q&A1307 年齢制限は正当な理由か?